僕と会長と時計(光宇治)
チク、タク、チク、タク。
暗闇に包まれた空間の何処からか秒針の動く音が響く。
暗くて良くは見えない。
どうやら僕の胴と手足には縄が括られている様だ。
そして背中に誰かが寄り掛かっている気配がする。
すやすやと気持ち良さそうな寝言まで聞こえてくるし。
意を決して背中でど付いてみると、「きゃっ」と聞き覚えのある声が気こえてきた。
「かっ、会長?」
「ああ敏也君。おはよう」
「おはようじゃなくて、どうなってるんですかこれ」
「そこに時限爆弾があるじゃない? このままじゃ爆発しちゃうかも」
「……はい?」
話が唐突すぎてついていけない。
「ほら。時限爆弾に青いコードと赤いコードがあるじゃん?」
「まあありがちですね」
「もしかしたらどっちか切れば助かるかも」
「いや、手足塞がってるから無理ですよ」
「歯で噛みきれば良いじゃん」
歯っ?
「敏也君どっちか一つ好きなの切って良いよ。爆発しても私は責めないから」
「……じゃあ、赤で」
噛みきるのに苦戦し、ようやく噛みきれた頃はカウントが残り2秒だった。
びびび‼
解除失敗!?
でも爆発しないのが少々不思議だ。
「あっ、これ目覚まし時限爆弾だから。ドッキリ大成功ー」
どうやらまた会長にからかわれたらしい。




