表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラボクリエ企画「デイバース」  作者: ラボクリエ
3/8

真夜中の摂理(壁虎)

部屋の主が寝静まった夜。

 カチッ、カチッ、と壁掛けの黒い時計が音を立てて動いている。

 すると天井のすき間から何かが這い出てきた。

 黒くテカテカとした身体に六本の脚、長い触角。

 ゴキブリだ。世の人はその名を呼ぶのも嫌がってGなどと呼んだりする。

 とにもかくにも嫌われ者のゴキブリ一匹が、壁を伝って机に降り立つ。

 彼が見つけたのは食べかけのビスケット。

 小さく細かい欠片がバターの匂いを漂わせて、ゴキブリの食欲を揺さぶる。

 割れたビスケットの周辺に散らばる顆粒を、ゴキブリは口にした。

 普段は人の髪の毛や垢で腹を膨らませているゴキブリにとって、このビスケットはまたとないご馳走。

 夢中になってビスケットを食すゴキブリの近くで、壁を這うように接近する影。

 ピョンッ。

 それは一瞬のことだった。食事に夢中で警戒を怠ったゴキブリが、家に住み着く一匹のヤモリに捕まったのだ。

 何の余韻もなくゴキブリを飲み込んだヤモリは、ビスケットには目もくれず寝床に戻る。

 カチッ、カチッ。時計の音が木霊する夜の部屋にも自然の摂理は存在するのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ