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夢の毒

作者: 悪食男爵

君が見せてくれたのは、美しく儚い、夢


そして、夢は覚めるもの


夢から覚めた先は、冷たい現実


目の前に剣を突きつけられたように


鋭い切っ先の現実を僕は突きつけられた


突きつけられた現実には甘さなどなく


ただ無情に僕を見下すだけ


美しくもなく


鋭く無情な現実は


簡単に僕に穴を開けた


穴からは、幸せが流れ落ちた


君が見せてくれた夢での幸せ


それが流れ落ちる


それを埋めるように、虚無が流れ込む


だけど虚無は失った幸せほどの量はなく


空いた穴の空白からは痛みが漏れる


空白を埋め、痛みから逃げるには


夢で手に入れた幸せを全部失わせなければならない


夢の幸せは毒のようなもの


空白が埋まるのを妨げてしまう


だけど一度美しい夢を見てしまった僕は


それをすることができなかった


捨てることができなかった


夢に縋って居たかった


忘れたくなかった


ずっと見て居たかった


君が見せてくれた夢を


君が指し示してくれた『現実』を


君と描いた、未来を


だけど幸せの流出は止まらない


穴は大きくなる


空白は広がり続ける


痛みは限界を知らせるように叫ぶ





誰か、僕を助けてくれ







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