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第1話 『隣のわんこ系』

 ありえるか?と聞かれればNO一択。ありえるはずがないし、ありえてたまるかって話。

 ただ自分の手はいつもよりゴツゴツしているし、背も高いし声も低い。つまりは全く以て別人である。…入れ替わり?いやいや、それも男になるくらいありえないことなのはこんな状態であっても、何故か冷静な私の頭で理解できている。


「わけわからん…」


 それから一時間、私は兎に角手がかりになりそうなものを部屋で探した。まずクローゼットには黒いブレザーとそれにあわせた制服が一式にシンプル且つセンスの良い私服が数セット。勉強机には『聖シュバリエ高等学校第一学年』と書かれた教科書と生徒証があった。その生徒証には第一学年『間宮日和』と印刷されており、美少年になった後の顔写真がご丁寧にプリントアウトされていた。

 ということで入れ替わりでもないことが証明されたどころか、どこか知らない所にとばされた説も浮上している。『聖シュバリエ高等学校』ってどこ?私、聞いた事ないんだけど…。コンコンコンと扉の方から聞こえたから、とりあえず「はーい」と返事をした。


「編入生の間宮であってる?」


オレンジがかった髪と目をした男の子がそこに立っていた。自分とは違うタイプの容姿をしていて、自分を美少年と例えるなら彼は『イケメン』というにふさわしい…と私と思う


「編入…?」

「編入生じゃなかったらここにいないはずだし間宮で間違いねぇんだろ?」


あっはい、とイケメン君に返事をする。彼は身長が高いのかな?多分、十センチくらいの差がある。





「俺は陽元圭介はるもと けいすけ、お前の隣で寝てるんだ。仲良くしような!」





キラキラとした若々しい笑顔で言ってくるイケメン君基陽元くんに圧倒されながらも、よろしくと返す。


「お前ちっちゃいなー、身長何センチ?」


「何センチになったんだろう…陽元くんは?」


割とマジで何センチあんの、私。憧れの一七〇センチとかあるのかなぁ…でもちっちゃいって……


「俺?俺は一七四。まぁ、これでもちっちゃい方でさぁ…」


一七四で小さい方?そんなの目安にはなるけれど君と十センチ差の私は小人なのでは…?一七四から十引くと一六四…つまりは一六四センチと仮定される俺の身長。前よりは大きくなったけどって感じではある。


「っていうかさ、陽元くんってやめねぇ?みんな俺のことは『ハル』って呼ぶんだ!」


いたずらっ子のように笑う『ハル』。じゃあ間宮じゃなくて『日和』でいいよ、と言うと目が何故かキラリと光ったように感じられた。なんというか、


「………犬?」


「よく言われる」


無意識のうちに口から出ていたようで、ズゥゥゥンと効果音がハルの背中に書かれているように見える、そう漫画のように。……本当に犬みたいだ、これが女であったときの従兄弟の姉さんが好きだと言っていた『わんこ系男子』というやつのはず。確かに姉さんの言う通り母性本能がくすぐられた気はする、が。現在は男の私がほぼ初対面で頭なんか撫でてみろ?やばい奴と勘違いされてお隣さんであるハルと良い付き合いができなくなるかもしれない、私としてはとても避けたい事態だ。


「まぁ何かあったら言ってくれ、すっ飛んで来るから!」


そう言って私が「うん、ありがとう。」と言う前にドタドタと足音を立てて走り去ってゆくハル。そしてどこからか「ハル、うっせーぞ!!」とも聞こえてきた。きっと足音常習犯なんだろう…


 とりあえずわかった事がいくつかある。ここが聖シュバリエ高等学校の寮であることと私は再度高校生をやらなければならないという事を把握することができた。ぶっちゃけていうと、もう編入とかくらいじゃ驚かない。性転換、知らないところへとばされている…のインパクトのおかげか高校生をもう一度ということをスッと理解することができてしまった。


 何故かしらの影響なのかなんなのかは理解できていない、でも生きていることは確か。…性別は真逆になってしまってはいるけれど。今思えば誘拐説とかも立てるべきではあったがハルによってそれはないとほぼ言い切れる。

 私には何故性転換してしまったのか、何故聖シュバリエ高等学校の寮にとばされているのか…ということを解き明かす権利と義務があると思う。その為には生きなければならないし、寝床がなくなるのも困る。


 ということで私は『高校生をもう一度やりつつ原因を探らなければいけない』のだった___

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