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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

まるで呪文 ぽちゃのダイエット攻防

作者:

初めまして。初投稿させていただきました。つたない文章で申し訳ないのですが、目を通していただけたら、すごく嬉しいです。

「ヤバい。痩せなきゃ。」


毎年、健康診断が近づいてくると、呪文のようにつぶやいてしまう。


どうしてなんだろう。

健康診断が終わった後、今から頑張れば、来年は大丈夫♪って思ってたのに。

もうその来年になってしまった。

自分のお気楽さに、呆れてしまいます。


何、この二の腕!気持ちいいぷにぷにお腹‼

自分の嬉しくない我儘ボディに、涙しか出てきません…。


《痩せる》って言葉を呟く度に、体重が増えていく気がします。

何だこれは?呪文なのか?呪いなのか?

いやいや、そんなのがあれば、一瞬にして痩せたいわっ!


「ねーちゃま。おなかもみもみしてる。」

「ね~みなと、何悶えてんの?」


うちの弟たちが何か言ってるようですが、今はそれどころじゃありません!


「今日からダイエットするからね!皆とご飯は別に食べるから。」

「「やだ‼」」


あ~。即、却下きました。

だかしかし、そこはこれからのダイエットの誘惑に負けないため、強気でいきます。


「ずっとじゃないし。健康診断終わるまでだよ。」

「一緒がいい~。」

「どうせ毎回失敗するじゃん。」


あ~あ~。聞こえません。

何だか挫けそうなこと言ってますねぇ。



うちの両親は仕事の都合で、現在は海外にいるため、私が弟たちの世話を任されてます。

父は私が1歳の頃、母が他界し、シングルファザーになってしまいました。

祖父母に預けては?との周りの声もありましたが、頑なに自分で育てると言い張った父。保育園と会社の行き来でへとへとなのに、いつも笑顔で構ってくれてました。


そんな我が家に、私が小学校1年の頃、新しい家族ができました。


「湊ちゃん初めまして。びっくりさせちゃって、ごめんなさいね。あきらです。これから家族になるの。よろしくね。」


明さんは、私の目線に合うよう膝をつき、笑顔で挨拶してくれました。

新しい家族。ということはお母さん。新鮮な響きです。

もう、物心ついたときから、母の存在は写真の中だけだったから。

私は嫌って感情よりも、複雑だけど嬉しいって感情でいっぱいでした。


「こんにちは、みなとです。」


どうしていいのか分からないなりに挨拶をすると、良くできましたと言わんばかりに、明さんに頭を撫でられました。

これで良かったのか不安で父に視線を向けたところ、父の横にいた男の子がこっちをじっと見ている事に気付きました。

見つめ返していると、それに気付いた明さんが、私を男の子の側に連れていってくれました。

小さいながらもお互い恥ずかしく、暫くもじもじしてたけど、男の子から挨拶をしてくれました。


「す、すばるだよ。おねえちゃん。」


男の子に、真っ赤になりながらもにっこり微笑まれ、私もつられてにっこり。


「えへへ。みなとだよ。」


私たち兄弟の誕生です。

皆でご飯食べているときに教えてくれましたが、明さんはシングルマザーで、父の幼なじみ。仕事面では、父の秘書さんでした。


辛い時期をずっと支えてくれた明さんに父が惚れ込み、何年も想いを伝えていましたが、断られ続けていたそうです。

小さい子に言っても分からないだろうに、父は嬉しそうにそう教えてくれました。


父よ、へこたれずよく頑張った(笑)

でも、今思うと、我が父ながら、しつこいよ。

明さん、よく逃げずに結婚了承してくれたなぁ。


そんな心の広い明さんから、や~っと了承の言葉をもらえたのが、なんとさっき!

父は嬉しさのあまり、そのまますばるを迎えに行き、皆で食事会の展開へとなったそうです。


私と同様、昴も驚いていましたが、そこは子供なのか、すぐ仲良しに。

その後、トントン拍子に話は進み、お互いの両親との挨拶の後、籍を入れて身内だけの結婚式、一緒に住むため、会社近辺のマンション購入、そして皆でお引っ越し。


ふ~っ。

明さんから了承をもらった父は、仕事が早かった。すべて1週間でやってくれちゃいました。

恋する男は、やることが半端ないです。


後から聞いた話では、結婚式をした教会は、明さんのお友達がやっている教会。

マンションは、父のお友達が経営しているマンションの一室を購入したそうです。


二人とも運がいいのか、人徳なのか。

すごいとしか言えません。


そんな二人のもとで、私たち2人は分け隔てなく育てられました。

もう最初から家族って思えるほど。


そんな幸せ一杯の我が家に、しょう誕生。


暫くは明さんも育児休暇で家に居てくれたので、色々と教えてもらい、大半の事は出来るようになりました。

明さん、何でも出来て凄すぎます!



翔が幼稚園に入った頃、父の会社に海外進出の話が持ちあがり、明さんは子供たちがいるからと、最初は父と一緒に行くことを拒んでいました。

でも、流石に無理だったらしく、皆で海外に住んじゃえって展開に。


しか~し、私は高校受験を控えていたので、行くのを拒否。

なぜか、昴と翔も私と離れるのを泣いて嫌がりました。


そんな私たちを見て、父と明さんは、それならばと、海外進出を諦めようとしましたが、そこはまた私たち子供3人で団結し、全力で嫌がりました。


お仕事頑張る、お父さんとお母さんの姿を見るのが一番大好きなの♪

3人でお家でいい子にしてるから、行ってらっしゃいって。


もうメチャクチャ二人を応援しまくりましたよ。

お陰で親バカな二人は、泣く泣く海外へ。

父と明さんのへこみ様は、申し訳ないくらいでしたけど。

今では、毎日の電話を欠かさずしてくれ、お休みの時は二人で嬉々として帰ってきます。


家にいた頃よりお互い話してるし、仲はもっと良くなった感じです。

そして私は見事希望の高校に。


高校行きながら家の事するのは大変だからと、家政婦さんをお願いしていたこともあったけど、今はいません。


なんと、父方の祖父が雇った家政婦さんは、初日は優しかったけど、子供だけと分かると豹変して、次の日には虐待してくる人でした。


昨日の今日で豹変され、私は最初は怖くて、何も言えず我慢をしていました。

けれど、弟たちにも被害が向かいそうになった時、私の中の何かがプツンと切れちゃいました。


私に背を向けて昴に向かって行く背中を、渾身の力で飛び蹴りし、これも火事場のくそ力?で、弟二人を担いで警察まで走りきり、助けを求めました。


その当時、昴は中学1年だったけど、まだちっちゃくて軽かったのが幸いしました。

今はもう無理ですが(笑)。

たった1年で私の背を追い越し、今では逆に兄と間違われるくらいです。


後から分かったのが、やらかしてくれた家政婦さんは、他の家でも色々と前科があったようで、今は檻の中。

うちだけじゃなかったとは。悔い改めてくれるのを祈るだけです。


家政婦協会の偉い人が謝りに来てくれましたけど、次の人はお断りさせてもらいました。

もう人に任せたくないし、怖い思いは嫌なので、3人でやっていこう決めたんです。


祖父母にも連絡がいって、すごく泣かれてしまったので、3人で一生懸命なぐさめました。

心配だから一緒に暮らそうとか、自分達がこっちに来るとかも言われましたけど、丁寧にお断り。


事の真相を知った両親も、血相を変え、仕事放り出して駆けつけてくれました。

やっぱり心配だから一緒に絶対暮らすって言ってくれましたけど、本当に大丈夫だからと弟たちと笑顔で送りだしましたよ。


まぁ暫くは渋って、1ヶ月は家に居てくれたけど、会社の人たちから、泣きの電話が再三掛かってきてましたからね。

子供ながらに、会社の人たちが可愛そうになっちゃいましたよ。


それからはずっと学業と主婦の二足のわらじで頑張ってます。


まぁ、弟たちは、暫く私の側から離れたがらず、お手伝いも率先してくれたました。

翔なんて、幼稚園なのに包丁さばきは、凄いです。

一応子供包丁で、私が側に居るときだけ使用を許可してます。


昴も大半の家事は出来るため、そんじょそこらの女子より家事方面の女子力は高いです。


そんな私たちは、決めたわけではないんですが、ご飯は必ず一緒にいただきます。


勉強や遊びも自分たちの部屋があるのに、家事をしている私が見えるリビングで。


友達を呼んでも部屋には行かず、リビングで。

流石にずっと居るのはおかしいと、私が気をきかせて席を外そうとしても、そのままでいいと嫌がる始末。


何故か友達も一緒がいいと言ってくれるので、普通に家の事をやったり、おやつやご飯を作ったりしています。


そんな兄弟と一緒にワイワイ話しながら食べるご飯は、楽しいしすごく美味しいです。


しか~し!見てるだけで半端なく食べていく姿に、こっちもつられて食べちゃうという恐ろしい連鎖。

自分の甘さもいけないけど、痩せることなく、現在に至る。

もうホラーです。


ダイエットは明日からという呪文は無効です。

やるなら即実行あるのみ。




「今回は本気だから!協力してくれてもいいじゃない。」


「だめ~。」

「無理無理無理♪」


「くっ。」


「ねーちゃま。一緒にご飯食べてくれないの?」


翔が可愛らしく首をかしげて見上げてきます。


か、可愛すぎます。

うちの弟、神です。

まだ幼稚園なのに、歯向かえるきがしません。


「分かった…。一緒にご飯は食べるよ。」


翔を抱き上げ、頬をすりすり。


「やったあ~。」


可愛らしい翔の声。

あ~。暫く、バスに乗らずに学校まで歩こうかなあ。


ダイエットに向けて悩む私の背後で、昴が親指を立て、満面の笑顔で翔を誉めている姿が。



(俺がもっと大人になるまで、湊の可愛さには、誰も気づかせねぇ。)

闘志みなぎる昴でした。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。m(_ _)m

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