骨
モールで骨の怪物と遭遇。果たしてどうなるか。
「な、なんで俺が唯の身体に!?」
「そんなことより、ここから逃げましょう! スカルリザードが二階に上がってきています!」
ルーナにそういわれ、一先ずここから逃げるようにして移動した。もちろん、さっきまで俺だったぬいぐるみも持っていく。
「なんで、こんなことになったんだ」
「おそらくですが、トオルの霊体が唯さんに乗り移ったんだと思います。トオルは今霊体です。意識のない唯さんなら乗り移ることができたんだと思います」
「な、なるほどなあ」
何はともあれ、これで唯の身体を逃がすことができた。
あのスカルリザードってやつの吐く息に触れたら即死んでしまう。そんなのはごめんだ。
「にしても、あの化け物どっから来たんだ」
「ここにもともと存在しないのなら、私の世界から来たんでしょう。私たちが通ってきた霊道を通って。でも、スカルリザードは実体でした。それならば、誰かが意図的に魔法をかけてこっちに送り込むしかありません。それができるのは……霊媒師だけです」
そうだ。霊道は霊しか通れない。実体である以上、誰かが霊体化させて送り込んできたと考えるのが妥当だった。霊媒師ということは霊媒師ギルドの者ということで……。
つまりは追手だった。
「やべーじゃん! これ、絶対ルーナ追ってきてるよね!」
「……」
口では言わないものの彼女は首を縦に振り、肯定した。
まさかここまで追ってくるとは。それほどの禁忌を犯したということなのか。
「一旦外にでよう」
モールの外に出る。すでにほとんどの人が逃げたのか、誰もいない。
そんな中、のっそのっそとスカルリザードも出てきた。奴はこっちの場所を把握しているようだった。
「なんであいつはこっちに来るんだ。場所がわかってるのか?」
「なんでわかるんでしょう……あ」
ルーナはなにかに気づいたようだった。
「すみません、どうやらこれのせいかもです……」
そうしてとりだしたのは真っ白い骨だった。どことなく嫌な雰囲気がにじみ出てる。
「がぶちゃんがよく噛むやつなんです。つい持ってきてしまいました」
「いいからそれあいつになげろ!」
俺は、その骨をルーナから奪い取り奴の近くに投げた。
すると、今まで俺たちに向かってきたスカルリザードは、その骨に嚙みついた。
「……」
「……」
「これからどうするよ?」
「あの状態なら倒せそうですね」
「よし、倒せ」
ルーナは、ぶつぶつと何か唱えると魔法を展開した。
「浄化」
すう……とスカルリザードから黒いオーラが消え、あとには骨だけが残った。
「これで良しっと」
「一時はどうなるかと思ったぜ
「でもこれでここにいるってばれちゃいましたね、召喚士がスカルリザードの消滅を感じ取るはずですから」
「うん……まあ、あの骨が無かったらまた見つかるなんてことはないでしょ」
ルーナの持っていた骨はスカルリザードの骨と一緒において俺たちは帰路に着いた。
「あ……」
「どうしたんですか?」
「この身体、どうしよう」
「あとで、またぬいぐるみに戻しておきますね」
「頼む」
わりとあっさり解決した風に帰路についちゃいました。
でも、ここからどうなるんでしょうか。召喚した霊媒師には居場所がばれてしまっています。