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異世界転生の儀式中に死んだ俺  作者: 三文小唄
さらに飛ばされて
6/22

彼女の名は唯

日本に飛ばされ、自分の家に戻ったトオル。そこでルーナと一晩過ごしたわけだが、朝目覚めたとき大事なことに気が付く。

――そう、昨日からご飯を食べていないのだ。

「起きてくださーい。起きてよー」

 いまいち寝覚めが良くない俺を起こそうとする者がいた。今まで一人暮らしが長かったせいで、それは新鮮な気持ちにさせられた。

「あと、五分……」

「それ、五分経っても起きないやつですー」

 仕方なく、目を覚ますとルーナがそこにいた。

 みると彼女はお腹をさすっている。それは痛いといった意味ではなく、単にお腹が空いているということを彼女の顔から察した。

 そうだ、そういえば俺はお腹が空かない。

 だから、ルーナの食事のことをすっかりと失念していた。

 彼女は寝る前から、何も食べていない。お腹がすくのも当然と言えた。

「お腹がすきましたよー」

「わかったわかった、よし今から食べ物を買いに行こう」

 俺が立ち上がり、いつものように財布を探すそうとするが、そこで思い出す。

「ああ、俺の身体のポケットに入ったままかあ……」

 そうだ、あの時はコミケ会場で戦利品を集めていた。

 つまり、外に出るときに持ち出すものはすべて体と共に消えてしまっているのだ。

 なお、家の鍵も一緒に消えたわけだが、ここに入れたのは、とある理由で合鍵を用意していたからだ。

「そうだ、今日あいつ来るじゃん……」

 そう思ったその時、がんがんと激しく階段を上る音が響き、俺の家の扉は開かれた。

「おはよーっす! トオル!」


 彼女、笹山唯は俺の家によく遊びにくる。

 最初の出会いは、よくいく喫茶店のスタッフとお客の関係だった(なお、僕がお客で唯がスタッフである)。しかし一度話し込むとそこから意気投合し、よく遊びに来るようになったのだ。意気投合といっても好きなアニメや漫画などがかぶった程度である。唯は喫茶店で働いているため、コミケなどのイベントにはいくことができない。そのため、こうして俺が代わりに買いに行く、といったことが割と日常的にあった。今日も、昨日の(あまりにも長すぎた昨日の)戦利品を取りに来たのだろう。

 しかし、唯が見たのは白いウサギのぬいぐるみに話しかけている一人の少女であった。

「え!? あれ!? 部屋、間違えたかな……失礼しましたー!」

 彼女は焦って去ろうとする。

「ま、待ってくれ!!!」

 俺は彼女を止めようとする。お金もない今助けがほしかったからだ。

「え!? その声はトオル!? どこ!?」

 彼女はあたりを見回す。

 が、俺の姿をとらえることができない。

「ここだよ、ここ」

 しかたなく俺は彼女の足元まで歩いていき、足をたたく。

「ひ、ひああ! ぬいぐるみが動いたああ!」

 彼女は驚いた拍子に、外のフェンスに頭を打ち付け、そのまま気絶してしまった。

「ルーナ……。すまんが手伝ってくれないか」

「うう、わかりました」

 ルーナはいまだお腹をさすりながら、彼女、笹山唯を部屋の中に運ぶ手伝いをした。


ルーナがお腹を空かせてるとき、彼女笹山唯は現れました。

次回、彼女の喫茶店にお邪魔することに。唯は納得するでしょうか。

唯は怖いものが苦手なのです。霊媒師と相性最悪だね!

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