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異世界転生の儀式中に死んだ俺  作者: 三文小唄
異世界にとばされて
3/22

霊媒師ギルドからの脱出

禁忌を犯してしまい、霊媒師ギルドに狙われるルーナ。彼女は捕まりたくない一心でこのギルド国から逃げることに。トオルはというと、とりあえず自身の身体を探すためルーナに同行する。

果たして無事逃げ切れるのか。トオルの身体はどにあるのか。

どうぞご覧ください。


 ここ霊媒師ギルドは、ひとつの小国家のような存在である。

 世界の霊媒師たちが集まり、ひとつの国として成立したものだ。

 一人前の霊媒師を目指すものやさらなる高みを望むもの、依頼などでやってきた冒険者などがこの国の人口のを占める。中には、死霊術や黒魔術、特殊な錬金材料やポーションなどを目当てにやってくる者たちもいた。


 その中で、ルーナは生まれも育ちもこの霊媒師ギルドの出であった。

 霊媒師ギルドは、霊媒師を目指すものなら生活の保護が与えられる。なんと寮にただで住まわせてくれる上に、月々いくらかのお金も支給されるのだ。

 先ほど抜け出したあの部屋も、ルーナが借りていた寮の部屋であった。


「おい、ここからどうやって抜け出すんだ。行く当てとかあるのか?」

「いえ、あてはありません。私ここ以外知りませんから。でもとりあえず別の国に亡命しましょう。あなたの身体が見つかれば元に戻せますし、そうすれば私の魔術の証拠も残りませんから」

「ほら、あそこ。門番いるな」

「ええ、いますね。あれを抜けないことにはほかの国に行けませんね」

「どうするんだ?」

「まあ、見ていてください。私だって霊媒師の端くれです。魔術でちょちょいのちょいですよ」

 彼女は地面に魔法陣を召喚する。するとその中央から継ぎはぎだらけの犬が現れた。


「(召喚(サモンズ)屍猟犬(デッドハウンド))」


 小声で魔法名を言い終わると、陣は解け、ゾンビのような犬が尻尾を振りながらルーナに歩み寄った。

「よーしよし、がぶちゃん。かわいいですね~」

「……」

 かわいいというよりは気持ち悪いの分類に入るだろうその犬は、動作だけは普通の犬とそう大差なかった。ルーナの銀色の髪の毛をなめまくる。

「ちょ、やめっ。がぶちゃん、やってほしいことがあるんだけど」

 一応召喚主だからか、命令に反応して待ちの態勢に切り替わる。

「あのねがぶちゃん、あの門番さんをどこか遠くに追いやってくれない?」

「ワンッ!」

 了解の意を示す鳴き声を残した後、その犬は門番のところまで駆けていった。

「あれで行けるのか?」

「もちろんですよ、あの可愛さを見ていなかったんですか? どんな人間もがぶちゃんのかわいいさにメロメロなんです。門番だって、逃げるがぶちゃんをつい追っかけたくなりますって」

「……なんだかダメな気がする」

 しかし想像とは裏腹に、犬は門番に追いかけられながら門番を門から引き離していた。見ると、犬の口には財布が加えられていた。あいつ、なかなか賢いな。

「ね、でしょ」

「お、おう……」


 誰もいなくなったがら空きの門。そこをルーナは俺を抱きながら走り抜ける。

門を抜けた先――そこには大量の杭が地面に刺さっていた。その杭の下はもれなく土が盛り上がっており、一目でこれらすべてが墓であることを知らせてくれた。

「ここは第七墓地ですね。ギルドの門はひとつを除き、ほとんどがギルド外の墓地とつながっているんです」

「おい、ならなぜその墓地のない門へ逃げなかった」

「だってそっちは人通りが多いんですもの。交易や貴族の通り道とかで結構大きいところですから」

「そうか。にしても、墓場多いな。そんなに歴史が深いところなのか? ここは」

「いえ、違います。霊媒師ギルドはそこまで歴史が深いというわけじゃないですよ。死霊術は古来からのものですけど、このギルドはここ百年ほどでできた国なんです」

 割と歴史が浅いのか。百年ほどしか経っていないのならそういわざるを得ないな。

 しかしたかが百年でこれだけの死者が出るとは思えんのだが。

 その疑問に彼女は応えた。

「ここは、もともと戦場だったんです。そこをとある霊媒師が切り開いて作ったのがこのギルド。死体があるほど霊媒師は強いですからね」

「なるほどなあ」

 となると、ここには怨念とかいっぱいありそうだなあ。スピリチュアルとか信じないタイプの俺だったが、現に生霊である今、ただただ不気味に感じるのであった。

「さあ、とっととこの墓地を抜けようぜ」

「はい! トオル」

 この墓地に手を合わせて慰霊を済ませた後、俺たちは墓地を抜けたのであった。

次回、ルーナは墓地の先にある未知なる道を進んで他国を目指します。

食料は大丈夫なのでしょうか。そこがいちばん気がかりです。


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