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異世界転生の儀式中に死んだ俺  作者: 三文小唄
さらに飛ばされて
22/22

ルーナから教わった灯り

 うねうねとその体をくねらせる4体のスライム。それらはフードを目深にかぶり、その青や緑の肌を隠していた。遠目で見ればまず間違いなく人に見える。

 4体は一斉に俺たちを睨んだ。実際に目はないので睨んでるのかわからないが。

 スライムの一体、その腕が再び唯、ルノワに伸びる。

「ピグミー! あれをとめろ!」

「あいよっ! 任せてくだせえ!」

 俺を抱えていないほうのピグミーゾンビがかろうじてその触手ともいえる腕を食い止める。

「あ、危なかった……。もうなんなのよ、あいつら!」

「ルノワちゃん、立てる? トオルたちのとこに下がろう!」

 二人とも怪我はなく、すぐに下がることができた。

「ぐあっ!」

 先ほどまでスライムの腕をつかんでいたピグミーゾンビが別のスライムの触手攻撃で後方へと吹き飛ばされる。

「これはまずいな……。宿屋のおじさん、これがわかってて水汲みを俺たちにやらせたんだな……」

 後悔は先に立たず、このスライムたちに対して俺たちは何もすることができない。

「ピグミー、お前たちであれをやっつけることってできるか?」

「そうですなあ、俺たち1対1ならやれないことはないですが、4体ともなると、相手取るのは厳しいですぜ」

「そ、そうか……」

 万事休すか……。

「待って! トオル、私の召喚獣も入れれば勝てると思うわ!」

 いつの間にか地面に文様を書き始めていたルノワがそう叫ぶ。その文様は魔法陣のように複雑な円陣を描いていた。

「でもまだ魔法陣が完成してないわ、それまでトオル、時間稼ぎ頑張って」

「頑張れって、俺じゃどうしようもない……」

 吹き飛ばされたピグミーゾンビが戻ってくる。

「ちぇ、ちょっと油断したぜ、トオルさん、あんたも魔法使えるんだろ、それ使ってけん制しましょうや」

「いや、魔法陣がなけりゃ俺も魔王つかえな……あ」

 そういえばルーナからもらった魔法陣が掛かれたメモがあるじゃないか。たしかあれは小さな青い炎が出るくらいだけど、何もないよりましだな。......よし」

 俺とピグミーゾンビはスライムに向かって走る。

「まずは一体ずつ蹴散らすぞ! やつらを分裂させるぞ、各個撃破だ!」

 俺は魔法陣の書かれたメモを取り出し魔法を唱える。

青炎灯(ブルーランタン)

 ちょっとした青い炎が手のひらに灯る。それを持ってピグミーゾンビと共に突っ込む。そして青い炎をスライムの中に押し込む。

「これでどうだ!」

「……」

 ささったぬいぐるみの手をスライムは見つめる。なおも燃え続ける炎が腹で暴れているが、そのスライムはダメージが入ってないように見えた。

「……」

「……これ、ダメなやつか」

 スライムは大きく触手をふるうと、ぬいぐるみの俺を軽く吹き飛ばした。

そりゃ、ぬいぐるみすら燃えない炎じゃあねえ、スライムは倒せませんよ。

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