4番井戸の主
ども、お待たせしました。続きでございます。
翌朝。日が昇るより前に俺達の借りている部屋の戸が開いた。
「おい、君たち、起きたまえ、水汲みの時間だ」
親切なおじさん――もとい、宿屋の主人はそそくさと俺達を起こしにかかる。半分眠気眼で目覚めた俺達はさっそく、条件通りに水を汲みに行くことになった。
俺自身、手伝えることはないはずだったが、仲間たちだけに行かせて自分は寝て居るなんて非道なことはしたくなかったので(実際そうしようとしたが、唯に止められて)ついていくことにした。
主人がいうには、この湖畔から水をくむのはこの村の美観的によろしくないとのことなので、そこから引いた井戸から組むとのことだった。そしてその井戸は複数ある。使える井戸は、村の長がそれぞれ区分しており、ここの宿は少し離れたところにある4番井戸を使うそうだ。
「よし、無一文の君たちを泊めてやったんだ。しっかりと汲んでいてくれよ。あ、もし途中でモンスターが現れて君たちがやられたとしても、不幸だったということで俺に責任はないからな」
俺たちを見送った主人の最後のセリフがやけにキナ臭かったけど、実際彼にお世話になってるわけだし、俺たちはその4番井戸まで向かうことになった。
俺たちは未だ重いその瞼をごしごしと擦りながらその井戸に向かって歩く。
「ねえ、これってどのくらい水を汲めばいいのかな」
「主人いわく、調理用と掃除用、そのほかいろいろ用途があるらしいぞ」
「ふうん、じゃあこのバケツじゃちょっと足りないね。何回か往復しなきゃいけないかも」
「うげえ」
唯が渡された桶を持ちながら、同じく同じ容量の桶を持ったルノワがげんなりと口を開く。桶は木でできた簡素なもので、バケツとほぼ同じ大きさ、俺が2,3体入るくらいの大きさだろう(もちろんぬいぐるみ姿で2,3体だ)。
歩いて数分程、ようやく見えた井戸にはなにやらいくつかの人影が見えた。井戸は区分されているが、同じ区分の宿屋の人たちだろうと、そのまま足を進める。
ルノワがさっさと終わらせようと、その井戸を囲む集団に割って入る。
「はいはい、ごめんなさーい、私にも汲ませてねー」
そのほかの人たちが、少しここらへんの村の意匠と異なった服装であるという事実に気づかずに。ルノワは水汲みを始める。
そして突然弾き飛ばされた。
「ちょ、ちょっとなにするのよ!」
後方に大きくしりもちをついたルノワは、お尻をさすりながらその集団に怒鳴る。しかしその集団の顔を見た途端凍り付く。
その集団の人達は顔がぐにゃぐにゃと揺れていて、あたかもスライムのようであった。
いや、服を着たスライムであった。
「なっ!」
スライムの一匹がルノワに襲い掛かる寸前、唯が駆けだして、ルノワを引っ張り出す。
「だ、大丈夫!?」
「う、うん。ありがと、助かったわ」
俺たちはこうして4体の服を着たスライムと対峙することになったのだった。
ぐあああ、やっと書けた! べ、べつに忘れてたとかじゃないんだからねっ
でも読んでくれている人たちには落胆させたのは事実……。さっさと続きを書こうと思います!
また読んでくれると嬉しいですはい!




