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異世界転生の儀式中に死んだ俺  作者: 三文小唄
異世界にとばされて
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二重の魔法陣に挟まれて

日常が主にメインとなるバトルファンタジーになっていくつもりです。

みんな平和的に、いろいろ解決していこう!という雰囲気の作品になるかと思います。

「さあ、異世界の獣を召喚しようぞ」

 

 建物の仲とは思えないほど広大な敷地に巨大な魔法陣が描かれている。それを取り囲むようにして数十人のローブを来た人たちがなにやらぶつぶつとつぶやいていた。

「われら悲願のため。この世界に破滅をもたらさん。異世界の魔獣を召喚し、いまこそ破壊の限りを尽くそうではないか」

 大仰なセリフと派手な振り付けで悦に浸る男が、魔法陣に手をかざす。その途端に、陣は光り輝き宙に浮き始めた。まばゆい暗黒色の円が小さく収縮し、その中央から天に向かって闇の柱がそりたつ。


「いでよ!!召喚獣!!」


 輝きは頂点に達し、あたりは闇一色となった。









「今日こそは成功させて見せるんだから」

 一方また別のところでは一人の霊媒師が歪んだ魔法陣を手描きしていた。

「よし……っと」

 描かれた円の中央に大量の灰を撒き、山となった頂点にうさぎのぬいぐるみを乗せる。

「これで私も一人前の霊媒師になるんだから!」

 「はあ!」とうなりながら手をかざす。呪術の詠唱と魔力の注入により魔法陣は光り輝く。その光はいつも以上に部屋を照らし、成功を予感させた。

「あ、なんかイケそう!!――ってああ!」

 その光は少女をすら包み込んで、真っ白な世界に掻き消えた。











 新山(にいやま)(とおる)は、コミケ会場に来ていた。ほくほくとした表情で手提げかばんに薄い本を入れていく。

「ぬふふ、今日は三日目だからな。大物ばっかりだ。岸山テル先生や氷まさと先生のはもう回れたし……、あとは企業方面に行かないと!」

 そう、戦いはまだ続いているのだ。目的の大半が果たせたとはいえ、残る半分を適当にやるのは始発組の名が廃る。全力で挑まなければな!

「東ブースから西に向かう通路、そこは人が混むから……」

 時刻は12時を過ぎている。外から回る通路が開いているはずだ。信号を渡ればすぐ西に着く。ここからだとそこが最も最速。ふふふ計算通りだ。

 俺は小走りに――ただし走らない――足を運ぶ。すると急に浮遊したような感覚にとらわれた。

足元を見ると地面に足がついていない。

「え? うわ、あ、ああああああああああああ」

 そのまま俺の身体は急上昇し雲を突き抜けた。

空に着いた時、俺の身体は怪しい光に包まれていた。だが安心してほしい。戦利品はまだ手元にある!!

 俺の身体を中心に黒い魔法陣が現れ、くるくると時計回り回転を始める。それはどんどんと勢いを増していき、極寒の冷たい感覚が全身を走る。

「やばい、なんかやばめ?」

 空にいること自体すでにやばめだったが、その黒い光はどうみてもなにかしらの害意が見て取れた。

 もうすでにその円は二重三重と重なって大きくなっている。

 その時、また変な感覚が体を襲う。それは黒い光と違って暖かく、白い魔法陣だった。

 白い魔法陣は黒と同じように俺を包んでいた。反時計回りに拡大していくそれは、まるで黒と対称的だ。

 ぐるんぐるんと相反する力が俺を覆う。

 視界がブレて、あたりが黒く白く染まる。

「一体……これはなん……なんだ……」

 俺はそのまま意識を失った。









「わーいやったー!やったー!」


 そんなうるさい声で目を覚ました俺は、ゆっくりと視界が晴れていくのを感じた。

起きたばかりなのかあたりは少しぼやけて見える。うるさい声もどこかくぐもって聞こえた。

「あれ? 気づきました? 霊体さん」

 その声の主は俺に話しかけてくる。少女はかなりご機嫌なようだ。

ようやく目が慣れたのかはっきりと見えるようになった。意識も覚醒してきた。

 擦った眼であたりを見回す。

 目の前には少女が一人だけ。なんだか怪しげな恰好をしている。

 ここは部屋のようだが、壁には何度か爆発したかのような跡が見受けられる。落ちているガラス瓶やどこかあやしい壺はみごとに壊れていて、とても人の歩けるスペースなんてなかった。

 ふいに身体に灰がかぶっているのに気づき、手で払う。


 そして驚く。



 指が……ない。


 というか人間の手じゃない。


 少女は問う。

「霊体さん、あなたの名前は何ですか?」

 ウキウキといた表情で彼女は俺に迫る。

 霊体?何のことだ。それより今俺は一体どうなっているんだ。なんで俺の手がない!

「あ、待ってくださいよ~。逃げないでください!」

 俺は少女を差し置いて部屋から抜け出そうとする。

 しかし走って着いた扉の前に愕然とした。

「ドア……デカッ!!」

「そりゃそうですよ、あなた今ぬいぐるみの中にいるんですもの」

「……ッ!」

 視界を横にそらすと、大きな鏡があった。

 そこに映っていたのは、今まで17年間お世話になった自分の身体ではなく、真っ白くて可愛らしいうさぎのぬいぐるみだった。

「俺の……」

「……?」


「俺の同人誌はぁーーーー!?」

今回は異世界にやってきたトオルの話でした。

異世界に来たはいいものの身体はぬいぐるみだし、一体これからどうなるのでしょう!

はたして戦利品は見つかるのか!?

次回は

ドジっ娘霊媒師ルーナが活躍してくれます!

乞うご期待を!

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