おわりに
以上で、本文は完結とさせていただきます。「埼玉の魅力が無いと言われる所以を探る」という趣旨によって投稿された文章ですが、いかがでしたか?
敢えて結論を述べるならば、埼玉の魅力が無いと言われるのは、東京の影響力があまりに強すぎるからでしょう。これは、東京が悪い、という訳ではなく、日本中の人々が集まる「中心地」としての都市を確立した東京の「力強さ」が影響していると思われます。
すべてが東京中心の世の中、その隣で同じ歴史を歩んできた埼玉は、完全に東京の影に埋もれてしまったのです。「(道路などの)足場としての埼玉」「(ベットタウンにおいて)寝るためだけの埼玉」のように、東京の延長としての役割、東京の都市機能の補填としての役割を担っているからこそ、埼玉へ行く、住む、といった明確な目的意識が存在しないことに理由があると考えられます。
逆に言えば、埼玉は都市計画の宝庫です。ですが、これは東京に隣接しているからこそ成立する計画です。ベットタウンを作る計画、鉄道を延伸させる構想、衛星都市を形成する構想など、すべては東京の補填に重点が置かれているから起こる計画です。
この立地は、必然的に埼玉を「東京を支える」という縁の下の力持ち的な役回りにしているのです。これについては、もうどうしようも ありません。むしろ、それが埼玉が歩んできた道であり、個性なのかもしれません。「個性がないことが個性」。いまいちパッとしませんが、それが埼玉なのです。
結論は以上です。最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。他の作品と平行して執筆していたこともあって、更新が遅れ、皆様には大変ご迷惑をおかけしました。それでも、高評価をくださった方々、感想を記入してくださった方々の存在は、本当に励みになりました。ありがとうございました。
最後に、当文にお付き合いくださった全ての読者の皆様に改めて感謝申し上げ、あとがきの結びに代えさせていただきます。
平成28(2016)年2月13日
野洲ゆうき