愛されるということ
六話目です
ちょっとしたファルサナ家の親子喧嘩のお話です
それではどうぞ
模擬訓練を終えてアルマ達六人はそれぞれ帰宅の路についた
アルマ「ただいま〜」
ママ「アルマ、お帰り」
アルマ「あ、ママ………」
パパ「おや、アルマお帰り」
アルマ「パパ、ただいま……」
パパ「どうしたんだい?、元気ないね?」
アルマ「うん………ちょっとね」
パパ「??」
ママ「さぁご飯できたわよ、食べましょ?」
アルマ「うん……」
暗い雰囲気を残したまま三人で夕食を食べ始めた
パパ「ママの料理はいつも美味しいなぁ」
ママ「パパったら褒めすぎよ」
アルマ「………………」
アルマは家に帰ってきてからずっとこんな感じだった
パパ「アルマには、話しておくことがあるんだ、……実は今日学院長先生が…アルマ「知ってるよ」……えっ?」
アルマ「学院の演習場で会って話は聞いたよ」
パパ「知っていたのか……」
アルマ「なんで?……なんでママ達はあの話に納得したの?!」
パパ「なんでって、レベルが高いのはアルマ達しかいないんだろう?」
アルマ「それだけでOKしたの?!」
パパ「確かにそれだけだよ」
アルマ「なんでそれだけのために私が異能力犯罪者を捕まえなきゃ行けないの!少しは私の気持ち―――っ!」
パシンっ!
ママがアルマの頬をひっぱたいた
アルマ「何するの?!ママ!!」
ママ「いい加減にしなさい!パパの気持ちを少しは考えてみなさい!」
アルマ「ママなんかもう知らないっ!」
ママ「アルマっ!待ちなさいっ!」
アルマはいきなり家を出ていってしまった
ママ「……ごめんなさい、パパアルマの事……」
パパ「仕方ないさ、アルマもそういう年頃なんだよ」
ママ「でも、心配だわ……私連れ戻しに行ってくる…!」
パパ「待ちなさい、今は一人にしておきなさい」
ママ「わかったわ……」
一方、いきなり家を出たアルマは途方に暮れていた
アルマ「まったく、ママの分からず屋!少しくらい私の事考えてくれたっていいじゃない!」
すると、歩いているうちにある声が聞こえてきた
リリア「……やぁっ!たぁっ!ていやっ!」
アルマ「(……リリア?こんなところで練習してるのかな?……この公園、私とリリアが出会った場所だ……)」
声の主はリリアだった アルマは頑張ってるリリアに話しかけられず黙ってみていた
リリア「はぁ……はぁ……ちょっと休憩……あっ、アルマ!」
アルマ「あ、リリア………」
リリア「どうしたの?こんな遅くに?」
アルマ「あっ、うんちょっとね…………」
リリア「うん?」
アルマ「そうだ、今日リリアのお家に泊めてくれない?」
リリア「えっ?私の家に?とりあえず私の家に行きましょ」
アルマとリリアは一緒にリリアの家に向かった
リリア「ただいま」
アルマ「お邪魔…します」
リリアママ「リリア、おかえり……あら、アルマちゃんじゃない!どうしたの?」
アルマ「えっ、あのっその………」
リリア「アルマは泊まりにきたのよ、いいでしょ?」
リリアママ「あっ、別にいいわよ、ご飯もうすぐだから二人でお風呂入っちゃいなさい」
リリア「はぁい、行きましょアルマ」
アルマ「うん……」
アルマとリリアは二人でお風呂に向かった
リリア「で?なんで泊めてなんて言ったの?」
アルマ「うん……私、今日ママと喧嘩しちゃったの……」
リリア「喧嘩?あんなに優しいママと喧嘩したの?」
アルマ「うん………実は……」
アルマは喧嘩したことの話やチーム結成の話をリリアに打ち明けた
リリア「そっか、パパにそう言われたんだ」
アルマ「うん、パパがあんなこと言うからついカッとなっちゃって………」
リリア「そっか、あのときもアルマ私のために怒ってくれたもんね」
アルマ「だって、リリアのためだもん」
リリア「そっか、ありがとう」
アルマ「でも、ママひどいんだよ?私の事叩くんだもん」
リリア「それはアルマの事が心配なんだよ」
アルマ「えー、そうかなぁ」
リリア「そうだよ、アルマの事を愛してるからなんだよ」
アルマ「愛してるから……」
リリア「アルマの事が心配だから愛してるからアルマのママはアルマの事叱ったんだと思うよ」
アルマ「ママ……」
リリア「だから、アルマのせいじゃないし、ママがひどいんじゃないんだよ」
アルマ「うん……なんでママとパパに強く当たっちゃったんだろ……謝らなきゃ…」
リリア「ちょっと、今から行くつもり?今日はよしなさいもう遅いし」
アルマ「でも………」
リリア「今日は泊まっていきなさいアルマのママには私のお母さんから言っておくから」
アルマ「うん、ありがとうリリア」
一方、アルマの家では
ママ「そうですか、アルマが………わかりました」
ガチャン
パパ「アルマはどこにいるんだい?」
ママ「アルマは今、リリアちゃんのお家にいるんですって、あれから反省したそうですよ」
パパ「そうか、明日帰ってきたら本当の事を話そう」
ママ「ええ、そうですね」
パパ「まぁ、リリアちゃんの家に居るなら安全だな」
ママ「そうですね、アルマわかってくれますかね……?」
パパ「きっとわかってくれるさ、私達を愛してるなら」
ママ「きっと、愛してますよアルマはきっと愛してます」
パパ「そうだな」
一方、リリア宅では――
アルマ「んーっ、いいお湯だったぁ」ぐぅ………
お風呂から出てきたアルマのお腹が鳴った
アルマ「あっ………」
リリア「アルマ、あんたご飯食べてないの?」
アルマ「うん、ご飯中に喧嘩して飛び出してきたから」
リリア「じゃあ、うちで食べなさい」
アルマ「うん、ありがとうリリア」
リリア「いいわよ、お母さんアルマのご飯用意して」
リリアママ「はいはーい、ママには連絡しといたからね」
アルマ「あっありがとうございます」
リリアママ「いえいえ〜、さぁみんなで食べましょ」
3人「「「いただきます」」」
アルマはリリア宅で晩ご飯を食べ始めた
アルマ「あっ、これおいしい!」
リリアママ「そう?簡単なものなんだけどね」
アルマ「いえ、そんなことないですよ」
リリアママ「本当?ありがとうねアルマちゃん」
リリア「お母さん、おかわりちょうだい」
アルマ「えっ、リリアまだ食べるの?」
リリア「うん、今日は練習もしたしね」
アルマ「あーそっか」
リリア「うん、異能力を使うとどうしても体力の消耗が激しいからお腹が減っちゃうのよリリアママ「はい、リリアちゃん」ありがとう」
アルマ「へぇ、人それぞれ違うんだね」
リリア「アルマは違うの?」
アルマ「うん、私はお腹が減るより疲労がたまっちゃう感じかな」
リリア「へぇ、そうなんだ」
そうこう話している内に晩ご飯を食べ終わった
3人「「「ごちそうさまでした」」」
アルマ「とても美味しかったです」
リリアママ「ありがとうアルマちゃん」
リリア「アルマ、私の部屋に行きましょ?」
アルマ「うん!」
リリアはアルマを連れて部屋に入っていった
リリアママ「本当に仲が良いわね」
【リリアの部屋】
アルマ「わぁ、リリアの部屋久しぶりだねぇ」
リリア「そうね、三年生の最初以来だっけ?」
アルマ「確かそれくらいかなぁ」
リリア「もうそんなに経つのかしら?」
アルマ「うん、でもリリアの部屋あんまり変わんないね」
リリア「そうね、私だってそんなに趣味は変わんないわよ」
アルマ「この可愛いうさちゃんとかね」
リリア「い、いいじゃない気に入ってるんだもの」
アルマ「リリア可愛い物好きだもんね」
リリア「アルマは好きじゃないの?」
アルマ「あたしも好きだよ、でもリリアみたいじゃないけどね」
リリア「私だってそんなに好きって訳じゃないのよ?」
アルマ「わかってるって、あたしは本の方が多いかな」
リリア「アルマは本読むの好きだもんね」
アルマ「うん、本読んでると色々勉強できるもの」
リリア「そうね、今度アルマのお家にいってもいい?」
アルマ「うん、いいよ」
リリア「ありがと、今日は遅いからもう寝ましょ?」
アルマ「うん、あれ…………あたしのお布団は?」
リリア「わっ、私と一緒に寝るのっ嫌?」
アルマ「ううん、嫌じゃないよ♪じゃあ、寝よ♪」
2人は布団の中に入った
アルマ「おやすみ〜リリア」
リリア「おやすみアルマ」
二人は仲良く眠りについた
【翌朝】
「ん………ふぁぁぁっ…よく寝たぁ…」
「おはよう、アルマ」
「あっリリア、おはよう」
「アルマ……あんた寝癖すごいわね………」
「ふぇ?寝癖?」
「鏡で見てみなさい」
「うん………わっ、忘れてたぁ」
「何が?」
「あたし、枕変わると寝癖すごいんだった………」
「そうなんだ、じゃあ私が直してあげる」
「ほんと?ありがとう」
リリアはブラシでアルマの寝癖を直してあげていた
「………ねぇ、アルマはすっ好きな人とかいないの?」
「好きな人?男の子とか?」
「う、うん」
「好きな男の子はいないかなぁ」
「そうなんだぁ」
「うん、パパは好きだけどね」
「私だってお父さんは好きよ」
「リリアは好きな男の子はいないの?」
「わっ私はいないわよっ」
「へぇ、本当に?」
「き、気になってる子はいるけど………」
「誰?!何組の子?!」
「おっ教えないよっ?」
「いいじゃん、みんなには秘密にするからさ」
「………しょうがないなぁ……みんなには内緒だからね?」
「うん♪」
「実は……………………なの」
「へぇ♪あの7組のラウル君なんだぁ♪」
「みっみんなには内緒だからね?」
「分かってるって♪」
「アルマ、髪の毛終わったよ」
「ありがとう」
アルマは直してもらった髪の毛をポニーテールに結った
「よしっ、これで終わりっと」
「アルマって綺麗だよね………」
「えっ?なっ何いきなり……」
「男の子だったら放っておかないと思うけど」
「そっ、そうかな………」
「そうだよ、アルマは気になってる子とかいないの?」
「気になってる子?えーと…………」
「教えなさいよ、私だって教えたんだから」
「えー、……うん、いいよ」
「本当?じゃあ、教えて」
「うん、実は…………………君だよ」
「へぇ、2組のライカ君かぁ」
「みんなには内緒だからね?恥ずかしいから」
「うん、二人だけの秘密ね」
「うん!」
「リリア〜、アルマちゃ〜んご飯だよ〜」
「はぁい、アルマ行きましょ?」
「うん!」
リリアとアルマは朝ごはんを食べるため一階へと降りていった
「おはよう、お母さん」
「はい、おはよう」
「おはようございます」
「おはよう、アルマちゃんよく眠れた?」
「はい、とても♪」
「良かったわ、それじゃ朝ごはんにしましょ」
【いただきます】
三人は朝ごはんを食べ始めた
「お母さん、お父さんは?」
「もうお仕事に行ったわよ」
「早いね」
「今日は会議があるらしいのよ」
「ふーん」
「今日はパパいるかなぁ……」
「今日はアルマちゃんのパパいるみたいよ」
「そうなんですか?」
「うん、さっきうちにいらっしゃったから」
「ええっ!?」
アルマの驚きのあまり立ち上がった
「パパ、何しに来たんですか?」
「お昼前にはお家に帰ってきなさいだそうよ」
「そうですか……」
「アルマちゃんのパパ心配してたわよ?」
「そうなんですか?」
「ええ、とても寂しそうにしてたわ」
「パパ………」
「アルマ………」
「あたし、帰らなきゃ……」
「待って、アルマ心配なのは分かるけど、ご飯くらい食べて行きなさいよ」
「でも………」
「まだ時間はあるし、そんなに急がなくったって大丈夫よ」
「ほら、お母さんもああ言ってるし」
「うん………」
アルマは椅子に座ってご飯を食べ始めた
「どう?アルマちゃんおいしい?」
「はい、おいしいです♪」
「…(さっきのアルマとは大違いね……)」
「ん?どうしたのリリア食べないの?」
「えっ?………食べるわよ」
「ふーん」
「な、何よ?」
「何でもなーい♪」
「…?あっそう」
「あらやだ、リリアったらご飯粒ついてるわよ」
「えっ?////」
「とってあげるわ………もう大丈夫よ」
「あっ、ありがと……///」
「ふふふふっ」
「あっ……アルマ!あんた知ってて言わなかったわね!」
「だって、リリアったら全然気付いて無いんだもん」
「教えてくれたっていいじゃない!」
「はいはい、いいから早く食べなさい、アルマちゃん食べ終わってるわよ」
「えっ!?」
「ふふっ、ごちそうさまでした」
「はい、お粗末様」
「じゃあ、リリアあたし服とか着替えてくるね」
「あっ、待って、私も―「早く食べなさい!」……はい」
リリアとアルマは朝ご飯を食べ終わり身だしなみを整えていた
「ねぇ、アルマ…少しは元気出た?」
「うん………でもママ達に何て謝ればいいのかな…?」
「そんなの普通でいいじゃない」
「普通って言われても難しいんだけど……」
「………アルマの本当の気持ちを伝えればいいじゃないかな?」
「本当の気持ち………」
「そう……アルマのママ達に伝えたいことを言えばいいよ」
「そっか……そうだよね」
「そうだよ、頑張ってね」
「うん………そろそろ行」
「そっか……じゃ気を付けてね」
「うん……ありがとねリリア」
アルマは一階に降りてリリアのお母さんにお礼を言っていた
「色々ありがとうございました」
「いえいえ、アルマちゃんまた来てねいつでも待ってるからね」
「はい♪…それじゃお世話になりました」
「気を付けてねアルマ」
「うん、またねリリア」
アルマはリリアと分かれ家に帰って行った
「あたし……ちゃんとママ達に謝れるかな……」
アルマはそんな心配をしながら自宅へ帰って行く
「そうだ、あたしの伝えたい気持ちを伝えれば……きっと大丈夫!」
アルマはそんなことをいいながら自宅のドアを開けるのだった
「ただいま〜……」
「あら、お帰り早かったわね?」
「うん、ちょっとね、パパ居る?」
「……?居るわよ、それがどうかしたの?」
「二人に伝えたいことがあるんだもん」
「とりあえず、パパのところに行きましょ」
アルマはママと一緒にパパの居るリビングに向かった
「パパ、ただいま」
「ああ、お帰り」
「ママ、パパの横に座って」
「座るのはいいんだけど、何するの?」
「それを今から言うから待ってて!」
「はいはい…(パパ…)」
「……(心配しなくていいと思うよ)」
「……(……そうね)」
アルマは椅子に座り、深呼吸してから口を開いた
「パパ、ママ、昨日はひどいこと言ってごめんなさい……」
「……(まぁ……)」
「…(ほらね)」
「あたし、パパとママがどんな気持ちで叱ってたのか気付かなくてひどいこといっちゃった……パパとママはあたしのこと愛してくれてるんだよね?」
「……そうよ、パパとママはアルマのことを愛しているよ」
「パパ達が何で学院長先生の話を承諾したか、聞いてくれるね?」
「………うん」
「いい子だ」
パパはアルマに学院長先生の話を承諾した理由を話し出した
「最初は反対したんだよ、大切な愛娘を危険な目に合わせたくないって」
「うん………」
「でもね、最高クラスの異能力を持つアルマ達がやらないといづれ訪れる災厄にシュレッドシェルは多くの被害が出ると言われたんだ」
「災厄………?」
「そう……そんな被害は出したくない」
「私もそんなのやだ」
「そこでパパはアルマを戦わせることを引き替えにそのチームに協力させてもらうことにしたんだ」
「協力って……えぇぇぇっ!?」
アルマが驚き椅子から立ち上がった
「パパはアルマ達のことを協力するよ、パパは魔法と異能力について研究しているからね」
「それで学院長先生の話を承諾したんだね」
「そうだよ」
「なんだぁ、あたし、パパのこと勘違いしてたよぉ」
「仕方ないよ、昨日伝えて置けば良かったね」
「ううん、あたしもちゃんと聞いとけば良かったよ」
「まぁ、アルマを愛しているのは変わり無いからね」
「わぁ……」
パパはアルマのところに行きアルマを抱きしめた
「アルマ、ひとつだけ約束してくれるかい?」
「なぁに、パパ」
「絶対に無茶はしないこといいかい?」
「うん、約束するよパパ」
「いい子だ、アルマ」
パパはアルマを撫でてあげた
「パパ、くすぐったいよぉ」
「愛情表現だよ」
そんなこんなでファルサナ家の喧嘩は一段落したようだった
感想などもらえるとありがたいです