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休暇。

いやね、さっきは世界に歯向かった云々言っちゃったけどさ、実際は地味ーなもんだったわけ。確かにあいつのハードウェアに対する知識と技術はそれなりに凄かったよ。けどさ、所詮は一人で設計、作成できる程度のもんだったわけだよ。小細工をしかけたサッカーボールとかね。ふたを開ければもうちゃちなもんだったよ。

「これ、ここをこうしたいから、プログラム作って。」

でもさ、これがなかなか楽しかったんだよね。ふたりでハードとソフト分担して何かを作っていくってのが。真夜中にあのマンションの部屋でさ、薄明るい柔らかいライトが部屋を照らしててさ、すっごい静かな中さ、今日も疲れたな―なんて言いながら缶のファンタ飲むんだよ。いやぁ、やってることはしょぼいんだけど、なんだか、俺達って、すごいことやろうとしてるよな、みたいな中に入っちゃってさ。

プログラムもあいつの要求することにはたくさんの言語を使わなくちゃいけなかったから大変だったよ。いや、伝わりにくいと思うけどさ、めちゃくちゃ大変だったんだよ。あれほど勉強したことは人生でこれまでもなかったしこれからもなさそうだね。ほんと、先生が欲しかったよ。

ただね、二週間もするとね、さすがに…ね?僕もそこそこに力をつけてきたからさ、ちょっと余裕が生まれてきたわけ。人間とはそういうものだと思うから慣れとか飽きは仕方のないことだと思うんだ。プログラムの勉強はしてたけど、ちょっとずつ、あいつとの生活がぬるくなってきたんだよね。最初のころに期待したあいつに対するイメージが薄れて来たわけ。こいつ、変な格好してるけど、たいしたことしてねぇじゃんってさ。ただまあ、そんな中でもあいつ自身は常に自分の作るものに対して自信を持ってたし、奴が持つ過激な思想に相変わらず僕は虜だったんだけどね。

「なあ、なんかもっとすごいことやりたくね?」

あいつもそれに賛成した。やっぱりなんだかんだ。向こうも退屈になってきてたのかもしれないね。


僕らは探した。「すごいこと」をね。いやあ、俺達中学生みたいだよな、って何回言ったか。まあオモシロイものを一日中二人で探し出し合うのもなんだか楽しかったんだけどね。

そうこうしてるうちに僕は夏休みに入って、気づいたら両親が離婚してて、それは関係ないんだけどさ。ちょっとここで言いたかっただけ。なんせ僕が今回のことを話してるんだからね。あいつがこれを読んだらどんな顔をするだろうか…。まあ、想像はつくけどね。

そんなこんなで僕にはいろいろあったんだけど、向こうにもいろいろあったらしくてさ、僕が実家に帰ってた間なんとやつはNYに飛んでたんだよな。僕らの作った製品を会社に売り込んでたとか何とか。いやあ、嘘だと思ったね。どこまでそれを通すんだろうとも思ったけど、まあとにかく金が入ったらしくて僕らはその日から金に気をつける必要が無くなったんだ。

億単位で。

製品を売って得られた金かどうかはその時はわからなかったけど、実際にあいつはその程度の金を持ってた。

さあ、そこからだよ。オモシロイものをつくる選択肢が広がったわけだ。

他社承認… つづく

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