さいしょ。
やあみんな。久しぶり。
ネットを繋げるのは実に数カ月ぶりなんだ。
いろいろ込み入った事情があってね。
さて、その込み入った事情とやらを君達に話さなくてはいけないね。
そうじゃないと僕の小説を読んでくれている君達に失礼だからね。
こういうのってどこから話せばいいのかな。うん、まずは出会いからだと思うんだ。
「ねぇ、君さ、プログラムさわれる?」
僕は大学に登校する道の途中で、いきなりこんなことを聞かれたんだ。
もちろん、その人が真夏の炎天下に道路の端っこに座ってパソコンを睨んでたもんだから、どうしたのか気になって聞いたのが始まりと言えば始まりなんだけどさ、その人がまたすごいなりをしてたんだよ。黄緑色のぼさぼさの長い髪をしててさ、黒いゴーグルをかけてるんだよ。もうさ、けだるさが体に満ちた僕にとってさ、それって久々の人生の補給ポイントな気がしたんだよ。
「うーん・・・さわれるって言っても、ちょっと習っただけだから・・・」
正直に話しちゃったんだよね。これが。
でもそんなことはお構いなしに、ラップトップのパソコンをぐいと僕に向かって突き出してきくるんだよ。でも太陽の人のせいでディスプレイが見えないの何のって・・・。
「なら、ここに来て座れって」
いいなりになる。ここが人生の分岐点になったのかもしれないね。あいつの隣に座った時から、僕らの運命は決まってたのかもしれないね。
懐かしいなぁ。確かあの時も外国人の匂いがしてた・・・。
あいつがプログラムで躓いてた理由は簡単なもんだった。#をつけて、ダブル←→シングルで万事oKってわけ。見かけによらず機械オンチなのかもなんて思ったけれど、それはプログラムに限った話だったみたい。まぁ後で説明するけどさ。
「なぁお前、うちのマンションに来る?」
どうやら僕の腕前をお気に召してくれたらしい。あんなのちょっと触ったことある人なら誰だって分かるのに。
当然、僕は天才ハッカー様様の態度でいいよと答えた。
つづこうかどうしようか