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私のノートのお友達は悪い子っぽいけど、じつは良い子で、じつは悪い子?

作者: 明石竜
掲載日:2026/02/08

「一穂、試験勉強ちゃんとやってるの?」

「やってるよママ」

「本当かな? また漫画やアニメ雑誌読んでたんじゃないの?」

「本当にやってるって」

 二月下旬のある日の夕食時、中学二年生の松永一穂は母とあまり楽

しくない会話を弾ませていた。

 一穂は夕食後すぐに自分の部屋へ戻り、学習机備えのイスに腰掛けノ

ートを広げシャーペンを持ち、数学の問題集の続きをし始める。

 けれどもそれから三分後には、ベッドに仰向けに寝転がりノートをぼ

ーっと眺めるだけなっていた。

「全然解けなぁい。また50点切りそう」

 ため息まじりにこう嘆いたその直後、予期せぬことが。

「あれ?」

 どこからか見知らぬ女の子の声が聞こえて来たのだ。

「何? 今の声」

 不思議に思った一穂は周囲をぐるっと見渡した。

(誰もいないよね?)

 そう思った矢先、

「うわぁ!」

 一穂はあっと驚き、口を縦に大きく開けて絶叫した。突如、ノートの

中から飛び出して来たのだ。

 一人の少女が。

 中学生くらいに見え、ぼさっとしたほんのり茶髪のショートヘアー。

服装はグレーのセーターに赤いミニスカート、水色のカラータイツが特

徴的だった。

「どこよ、ここ? きみ、誰?」

 その子は気が動転している様子だったが、当然の反応ともいえよう。

「私は、一穂だけど……」

 一穂は呆然としていた。

「あたしは恵子よ。きみは一穂ちゃんかぁ」

 恵子はお顔をじーっと見つめてくる。

(この子、私がノートに落書きしてた女の子だ。飛び出して来たなんて。

こんなこと、あり得ないよね……)

 一穂はノートからその絵が消えていることを確認するや、右手をゆっ

くりと自分のほっぺたへ動かし、ぎゅーっと強く抓ってみる。

「いったぁっ!」

 痛かった。

 現実、だったらしい。

 まだ一穂は信じられなかった。

 次の瞬間、

「一穂ぉ、なんか叫び声がしたけど一体どうしたの?」

 ガチャリと部屋の扉が開かれ母が登場。 

「なっ、なんでもないって」

 一穂は慌てて答える。

「なんか変ねー」

 母は不審に思いながらもすぐに部屋から出て行ってくれた。

「ちょっと、あたしが怪しい人みたいじゃない」

 恵子は被せられた毛布を払いのけ、不機嫌そうに愚痴を呟く。

「じゅうぶん怪しいでしょ」

「あたしからすればあなたの方が怪しいよ。あたしは魔法使いなんだけ

ど、何か叶えて欲しい願いはある?」

「恵子ちゃん魔法使いなの?」

「そうよ、あなたが設定した通りにね」

「そんな設定してたっけ?」

 一穂はさっそくノートを確認。

「あっ、確かにメモッてある」

「自分で書いたこと忘れるなよ。きみ、学校の成績も悪そうだね」

 恵子は嘲笑うように言う。

「めっちゃ悪いよ、特に数学は学年でビリの方だし。恵子ちゃん、私、

今度の数学の学年末テストで50点切ったらママにアニメ雑誌全部捨てら

れちゃうの。なんとか良い点取らせて欲しいな」

 一穂が申し訳無さそうに伝えると、

「それなら、この鉛筆を使えばいいよ」

 恵子はスカートポケットから取り出し一穂に差し出す。

「重たっ! 普通のシャーぺンより使いにくそう」

「コンピュータ内蔵だからね。これで書いたら正しい答がスラスラ書けちゃうよ。

明日焦らないように使い慣れといた方がいいよ」

「それじゃ、そうしよう」

 一穂はさっそく試し書きしてみる。

「健闘を祈るよ」

 恵子はそう伝えノートの中へ飛び込んだ。

「絵に戻ってる。夢じゃないよね? 鉛筆あるし」


         ※


 翌日、八時四〇分頃。数学の試験が始まると一穂は例の鉛筆で解答し

始める。

(本当にスラスラ解ける。進●ゼミの漫画みたい)

 テンションが一気に高まり見事、殆どの解答欄を埋めることが出来た。

(80点くらいあるかも)

 そんな期待を抱き、あっという間にやって来た三日後の返却日。

 一穂は点数を確認した瞬間、

「嘘ぉ!! 今までの最高得点だ!」

 狂喜乱舞する。86点だったのだ。


 一穂は帰宅後、ノートをひっくり返して恵子を召喚し、

「恵子ちゃん、ありがとう。私の点数めちゃくちゃ上がったよ」

 満面の笑みで礼を言う。

「えっ! 上がったの?」

「この鉛筆のおかげだよ」

「一穂ちゃん、それ、ただの鉛筆に錘を仕込んだだけだよ。そんな夢みた

いな筆記用具あるわけないじゃん」

 恵子はくすっと笑った。

「えー! じゃあなんで私、あんなに高得点を?」

「あたしの言う通りにしたからだと思うよ。あのあとこの鉛筆使って問題

解いてたじゃん。それが功を奏したみたいだね」

「恵子ちゃんひどいな。でも良かったよ。ママに見せに行こう」

 一穂は大喜びでリビングへ。

「ママ、これ見てよ」

「どれどれ」

 母は渡された答案を眺めるや、

「一穂、50点ないじゃない!」

 眉をくいっと曲げ一穂にニカッと微笑みかけた。

「そんなバカな。あれ? なんで36点なの?」

 一穂は目を大きく見開き唖然とする。

「一穂、約束どおりアニメ雑誌捨てるわね」

「そんなぁ、ちょっと待って」

 一穂の嘆き声を聞き、

「あたしが魔法で書き換えといたよ。正解部分もね」

 恵子は嘲笑った。

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