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「お嬢ちゃんがここに来たのは偶然ではあるまいよ。どうじゃ、わしに協力してくれんか?」
「いいわ」
ドラセナは即答した。
「大勢の人が犠牲になるのは、見過ごせない」
「ファファファ、ありがたい」
ローワンが見つめる地平線を、ドラセナも見つめた。
月明かりの下、光るものがこちらにやって来る。
白馬に乗った、銀の鎧を着た男だ。
兜は被っておらず、ハーフエルフの金髪がたなびいている。
男はドラセナとローワンに気付き、やや離れたところで馬を止めた。
「誰だ?」
彼の声は、すでに憎しみに満ちていた。
「わしはローワン。こちらは…そうじゃ、まだ名前を聞いておらんかったな」
「ドラセナ」
「わしら2人は、お前さんの蛮行を止めに来た」
「ククク」
レリオスは笑った。
「お前たちのような類の奴を100人は殺したぞ。今すぐ消えろ。そうすれば見逃してやる」
「それなら、ダイモンの街も見逃してくれんか?」
「そうはいかん。あの街は滅ぼす」
「交渉決裂じゃな」
ローワンが、肩をすくめた。
レリオスが地に降りる。
戦いの気配を察した白馬が、3人から離れた。
「お嬢ちゃん。わしは、あ奴の魔力を受け止める。その間に鎧から覗く核を攻撃してくれ」
「核?」
「呪いの鎧の力の源じゃ。あ奴が全力で攻撃するには、それを晒さねばならん」
「分かった」
「ただし、それもわしが防御しきれたらの話じゃ。もしもの時は、お嬢ちゃんだけでも逃げてくれ」
ドラセナは答えなかった。
無言で、両手剣ダーガンファングを構える。
レリオスが、ガントレットをはめた両手を前に出した。
両掌から、眼も眩むような稲妻が走る。
が、その攻撃エネルギーは、ローワンの唱えた呪文によって、空中で受け止められた。
周辺の空気が熱くなる。
「フハハ! その程度か、じじい!」
レリオスが嘲笑した。
「むうぅ」
ローワンが唸る。
「これはいかん! お嬢ちゃん、逃げるんじゃ! わしの魔力では、呪いの鎧の力を充分に抑えられん!」
しかし、ドラセナはハーフエルフに突進した。
ドラゴンズドーターの強靭なフィジカルが、この場を制する鎧の波動を掻き分けていく。
だが、レリオスに近づけば近づくほど、敵の圧力は増し、暴風の如きオーラで歩みを邪魔される。
「ぬあぁ!」
ドラセナは歯を食い縛り、じりじりと前身した。
まだ剣で攻撃できる距離ではない。
「間抜けどもめが!」
レリオスの銀鎧の胸が開き、黒い球体が覗いた。
「それが核じゃよ! しかし、無理じゃ! お嬢ちゃん、逃げろ!」
魔法使いの制止をドラセナは無視した。
彼女の生き様が、逃走を否定している。
罪なき人々を殺させはしない。
姿を現した黒球が、激しい光を発した。
「フハハ! 死ね!」
レリオスの勝ち誇る声と同時に、ドラセナの口から黒い炎のブレスが火を吹いた。
父の黒竜より受け継いだ能力。
敵のすさまじい攻撃エネルギーは相殺され、こちらのブレスも消えた。
驚きに眼を見張るレリオスに、ドラセナは少しずつ近づく。
ブレスは連続で使えない。
核を直接、打ち砕かねばならないのだ。




