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97話 リュウトvsソラ



「さてと、郷原くんはどう動くかな」



 ユグドラバトル第3試合、俺と郷原くんの試合が始まった。

先ずは相手の出方を伺って……



「速攻でケリつけてやるぜ和取ィ!! 〝魔装ブレイズアルム〟着火ァッ!!!!」



 ボワァ……ッ!!



「コンロかな?」



 郷原くんが右腕に装着していたのは、まさかの魔装だった。

腕の横に車やバイクのマフラーみたいな大きな筒が2本付いていて、そこから炎が噴き出ている。



「おおっと郷原選手、さっそく魔装ブレイズアルムを起動しました!!」



「いつもは終盤で出してくるんだけど、格下相手にも容赦ないねえ」



 こちらに向かって炎が噴き出る魔装ブレイズアルムとやらを構える郷原くん。次の瞬間……



「燃え死ね和取イイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!!!!!!」



 ボァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!



「おわっ危なっ!? アッチチチ!!」



 2本の筒状の魔装から噴出した炎は、まるで火で出来たヘビのようにうねりながらこちらに向かってくる。

それぞれが独立して追尾する機能があるようで、そこまでスピードはないが回避するのに苦労する。



「うわ熱っ!? 直撃しなくても熱風がすごいな……!!」



「ガーッハッハッハァ!!!! 無様に逃げ回れ和取ィ!!」



 郷原くんはあの魔装の強さに全幅の信頼を置いているのか、その場から動かずに追尾する炎を眺めながら悦に浸っている。



「あの炎ってどこまで伸びるのかな……ちょっと試してみるか」



 俺は郷原くんの火炎放射攻撃を回避しつつバトルエリアの壁端まで移動し、そのまま壁に飛び移って上に向かって走り始めた。



「な、なんだそりゃあ……なんで壁を垂直に走れるんだァ……!?」



「和取選手これはすごい! 郷原選手の火炎攻撃から逃れる為に壁を登り始めました! いや、登るどころか直角に走っています!!」



「随分珍しい装備を使ってるようだねえ。あんなのは自分も見たことないよ」



 どうやら郷原くんや実況の人も含めてトリアリーコンバットの効果に驚いているみたいだ。

地下階層のモンスターからドロップされた素材を使ってるから今までに作製された記録が無いのかも。



「おっ、天井付近まで来れば届かないみたいだな」



 郷原くんの魔装ブレイズアルムから噴出する炎の追尾距離にも限界があるのか、トリアリーコンバットでバトルエリアの天井まで走って逃げたら届かなくなった。

まあ、こっちもこっちで攻撃できないんだけどね。



「いや待てよ? ここからならゴブリンスパイダーみたいに強襲すれば……」



 ちょっと、試してみるか。



「おいゴラァ和取ィ!! 逃げ回ってないで降りてこいやあっ!!」



「さっきは逃げ回れとか言ってたのに……」



 2本の炎の渦を頑張って伸ばしながらどうにかして俺に攻撃を当てようとする郷原くん。

なんかちょっと滑稽だな。



「和取選手によるまさかの壁登り回避で膠着状態になってしまいました!! このままですと時間切れで引き分けも考えられますっ!!」



「現状のルールでは降参しない限り戦意ありと見做されるからねえ。ルールの穴を突いてきたのかな?」



 どうやら実況解説では俺が逃げ回って時間切れを狙っていると考えているらしい。

まあ、全然そんなことないんだけどね。



「ふう……よしっ!!」



 ブゥンッ!!



 両手に持っていた黒鉄甲の打突旋棍を郷原くんに向かってブーメランのように投げつける。

この距離からだと威力も落ちてしまうけど、そこは今回問題にはならない。



「へっ、こざかしい飛び道具なんざ使いやがって……!」



 回転しながら飛んでくる2本のトンファーを処理する為に、魔装ブレイズアルムの標的を俺から黒鉄甲の打突旋棍に変更する。

どうやら回避せずに迎え撃つスタイルらしい。



「燃え尽くしてやるぜェっ!!」



「まあ、そっちの攻撃は囮なんだけどね」



 

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