表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/99

90話 新たな防具



「おい、いらいにん。ずいぶんおそかったな」



「ご、ごめんごめん……引き取りに来るのをすっかり失念してて」



 地下3階層の攻略をフロアボス前まで進めた俺は、郷原くんとのユグドラバトルが開催される日までに、タワーの地上階層の攻略を出来るだけ進めてフロアランクを上げておこう……という所で、第21階層のタウンエリアにいるクラフターに防具の作製を依頼していたことを思い出して急いで引き取りにきた。

少し前に『完成したから取りに来い』というお知らせがライザーカードに届いてたんだけど、最近色々あってすっかり忘れてしまっていたのだ。



「ほれ、これがキサーマのあらたなぼうぐだ」



「キサーマ……」



 しばらく引き取りを放置したせいでご機嫌斜めなクラフターから依頼していた防具を受け取る。

これは前に会った梅雨川エルさんからの情報で、手持ちの余っている素材を掛け合わせて防具を作ってくれる工房があるということで作ってもらったものだ。

防具系の装備品は持ってなかったので、一体どんなものが完成したのか楽しみだ。



 【トリアリーコンバット】

・入手方法:防具職人のクラフターに作製を依頼

・使用素材:所持素材から適宜・適量使用

・装備効果:縦横無尽



「おお、これは……ブーツ?」



 クラフターから受け取った防具は、ふくらはぎ辺りまで高さのあるゴツめのブーツだった。

全体的にダークな色合いのカッコいいブーツなんだけど、靴底の素材は謎に半透明だ。



「これをはくと、グリップりょくばつぐん。どこでもあるける」



「どこでも歩けるってどういうこと?」



「どこでもは、どこでも。カベでも、テンジョーでも、みずのうえでも、どこでもじめん」



「マジで!?」



 壁はまあ分かるけど、天井とか水上までいけんの?

めちゃめちゃすごいアイテムじゃん……



「あ、ソラはあるけない」



「えっ俺? 俺限定で使えないの?」



「ちがう、オマエじゃない。ソラはソラ。くうきのかいだんはのぼれない」



「空気階段?」



 お笑い芸人の話かな……んなわけないか。

要するに、空……空中なんかの気体の上は歩くことができないということだろう。

でも水の上は行けるんだよな? やっぱめちゃめちゃすごいわ。



「よし、早速試してみよう」



 ―― ――



 ユグドラタワー・地下1階層。



「ソラッ! 久しぶりねっ! ワタシに会いに来てくれたのかしらっ?」



「ま、まあそんな感じかな」



 ピクシード族のパモチが目の前でブンブン飛ぶ音を聞きながら、地下1階層にある泉に向かう。

最初は地下3階層の沼地で試そうと思ったんだけど、よくよく考えたら今はボスエリア用の透明な壁が出来て入れないし、ドロドロの地面でおろしたての防具が汚れたら嫌なので地下1階層にやってきたというわけ。

ここならグランルータの大樹もあるから、上に向かって垂直に歩いたりも試せるかも。



「トリアリーコンバット、装備っと……おお、ちゃんと出てきた」



 武器を装備するときのようにライザーカードを操作して防具を選択すると、インベントリに収納されていたトリアリーコンバットが具現化して自動で足に装着される。

てか今まで履いてた靴とかどうなったんだろう……まあそこはとりあえずいいか。



「ソラッ、そのゴツゴツした靴はなにっ?」



「クラフターに作ってもらった新しい防具だ。これを履いた状態で水の上に乗ると……」



 …………。



「いや、本当に大丈夫か……?」



 なんか急に不安になってきた。

冷静に考えて水の上とか歩けるわけなくない?



「わくわくっわくわくっ」



「よーし……和取ソラ、いっきまーす!」



 威勢のいい掛け声とは裏腹に、俺は泉に向かって慎重に一歩踏み出した。



 ……ぺた。



「お、おお……」



 ぺた、ぺた。



「おおー……!!」



「ソラすごいわっ! 水の上を歩いてるっ!」



「マジで歩けた!!」



 透き通るような泉の水面を見下ろすと、水上歩行に成功して大興奮な俺とパモチの顔が反射して映っていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ