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7話 魔装



 〝魔装〟



 フロアボスを討伐した際に低確率でドロップされるという、タワー内で使用可能な装備アイテムの一種である。

しかもユグドラタワーでは1度討伐したフロアボスとは再戦することが出来ないため、手に入れるチャンスは現状とても少ない。



「ま、魔装をくれるのか? 本当に?」



「本当にあげちゃうわよっ! ただし、ソラが悪いヤツをやっつけてくれる約束をしてくれたらねっ!」



「えっと……今日中とか? それだとちょっと厳しいんだけど」



 ライザーカードを確認すると、この地下1階層に来て10分ほどが経過していた。

本来の活動可能時間がカウントされているとしたらあと30分くらいしか時間が無いし、そうでなくてもバイトの開始時間までには帰らないといけない。



「約束さえしてくれれば魔装をあげるわっ! その代わり、明日もちゃんと来てよねっ?」



「あ、ああ……わかった。俺が戦ってパモチたちの住処を解放するよ」



「本当? やったーっ! じゃあ約束ねっ? 指切りげんまんっ」



「う、嘘ついたら……?」



「ハルマゲドンねっ!」



「世界滅びちゃうよ」



 これはもう、何としてでも明日もここに来ないと……



「それじゃあこれから〝オーダーメイド魔装〟を作るから、いくつか質問に答えてねっ!」



「オ、オーダーメイド魔装? そんなの聞いたことないけど」



「ソラにピッタリの魔装を作ってあげるってことっ! それじゃあ質問していくわよっ!」



 地上の階層で今までに入手された魔装は、討伐したフロアボスの特徴や能力に関係するもので、使用者の特性に合わせて調整されるオーダーメイドのようなものは発見されていない。

一体どんな魔装が手に入るんだろう……



「質問内容には『賛成・ちょっと賛成・どちらでもない・ちょっと反対・反対』の5択で答えてねっ!」



「わ、分かった」



 なんかその質問って……まあいいや、とりあえず聞いてみよう。



「第1問! 定期的に新しい友人を作ることを心掛けている」



「えっなにその質問」



「はい、答えて答えてっ!」



「ど、どちらでもない……?」



「おっけーっ! じゃあ第2問! 何の予定もなく一日を過ごすことがよくある」



「ちょっと、賛成かな」



「いいねいいね~っ! 第3問! 大きなプレッシャーがあっても通常、冷静でいられる」



「……反対、かな」



「ドンドンいこうっ! 第4問! 仕事に優先順位をつけ、効率的に計画を立て、期限よりかなり前に完了させることが多い」



「ちょっと反対」



 いやこれ性格診断じゃん。

こんなんで本当にオーダーメイド魔装作れるの? ライザーの才能なさすぎて就職支援センターにでも飛ばされた?



「第6問! 行動方針を決めるとき、他の人の感情より事実を大切にする」



「……どちらでもない」



 この後も謎の質問はしばらく続き、全ての質問に答え終わると『ここでちょっと待っててねっ!』と言ってパモチはどこかへと飛んでいった。



 ―― ――



「ふう……空が青いなあ。あ、でっかい鳥が飛んでる。なんだろ、フェニックスかな」



 しばらく地下1階層のリフト前に座ってパモを待つ。

結局この階層に来てからほとんど移動しないでここにいる気がする。

何が起こるか分からないし、1階層の雑魚モンスターですら未だに苦労して倒してる俺としては下手に動いてトラブルに巻き込まれたくない。

モンスターにやられたら強制脱出させられちゃうし、相手がボスなら本当に死んでしまうことだってある。



「あ、ちょうちょも飛んでる。のどかだなあ……あれ、違うな。ちょうちょじゃなくてパモチだ」



「お待たせ~っ! はい、これどうぞっ!」



「ありがとう……なにこれ? 種?」



 戻ってきたパモチから小石サイズの白い種のような物を受け取る。



「ソラ用に作った魔装だよっ! 指の背に乗せると装着できるから、好きな指に付けてねっ!」



「あ、ああ」



 俺はなんとなく、右手の中指の上にパモチから貰った白い種を乗せる。

すると種が急成長を始めてシュルシュルとツルを伸ばして指に巻き付き、そのまま硬化して指輪のような形状になった。



「これで装着できたのか?」



「大丈夫だよっ! 魔装がソラに馴染むまで少しかかるから、今すぐには起動できないけどねっ!」



「そういうもんなのか」



 ライザーカードを確認すると、ここに来て30分ほどが経過していた。

そろそろ活動可能時間が来てしまう。



「それじゃあ、今日はもう戻っても大丈夫かな?」



「え~もう行っちゃうのっ? 悪いヤツはやっつけなくていいからワタシと遊ぼうよっ!」



「これから仕事なんだよ」



「ふ~ん、つまんないのっ」



 それはそう。つまんないよなあ、仕事。



「それじゃあパモチ、また明日」



「ばいばーいっ! ちゃんと明日また来てねっ! 来なかったらハルマゲドンだからっ!」



「這ってでも行くよ」



 こうして俺は、色々あった初めての地下1階層を後にした。



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