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62話 ギフテッドライザーの苦悩



「ヴェノムイーターさん……! 握手してください……!」



「あ、あア……」



「きゃ~おっきい手! 爪もすごい……! 尻尾も、触っていいですか……!?」



「だ、大丈夫ダ……」



 ナンパ男たちから竜童さんを助けた(?)俺は、タウンエリアの隅っこで彼女から物凄いボディタッチを受けていた。

なんというか、子供にワチャワチャされる大型犬の気分だ。



「口、カパッてやってくれませんか……!?」



「くち……こうカ?」



 ガパッ!!



「きゃは~! 食べられちゃうっ……!!」



「食べないヨ」



 この子、中学2年生なんだよな……恐竜の博物館に来てる男子小学生みたいな反応だけど……



「ヴェノムイーターさん、さっきは助けてくれてありがとう……! わたしは、竜童マリーって言います……!」



「竜童マリー……さン」



「マリーって呼んでください……!」



「マリー、さン」



「マリー……!」



「マ、マリー」



「はいっ……!」



 よく分からないが、竜童さん……いや、マリーは魔装変身中の俺に対してめちゃめちゃ好意的だ。

自分でもバケモンみたいで不気味だなーって思うくらいの見た目をしてるんだけど、まあ中学生くらいの子だと逆張りでダークヒーローとか好きだったりする子もいるかもな。

しかもこの年でライザーやってるような女の子だし。



「マリーは、ギフテッドライザーなんだナ?」



「そうです……わたしは14才の最年少ギフテッドライザー……わたしの、唯一の取柄……」



「唯一の取柄……ライザーとして活躍する事ガ?」



「はい……」



 マリーはそう言うと、少しだけ悲しそうな笑顔を見せた。



「わたしは、勉強も運動も出来なくて、クラスのみんなと話すのも苦手で……学校の授業も、ぜんぜんついていけなくて……」



「…………」



「先生の言ってることとか、たまに分かんなくなっちゃうし……難しい事を言われたら、いっぱい考えないと答えられない……」



「そうカ」



 ……ああ、心が痛い。

男子小学生みたいだなどと思ってしまった数分前の自分を殴りたい。



「でも、ユグドラタワーでモンスターを倒してがんばると、みんな褒めてくれるんです……! わたしにとって、モンスターを倒すのは学校の授業よりむずかしくない……なかったん、だけど……」



「……倒すのが難しいモンスターが現れたんだナ?」



「はい……第15階層の、ゴブリンスパイダー……とってもむずかしい、です」



 なるほどな……ギフテッドライザーという自分が活躍できる場所を見つけて頑張っていたら、壁にぶつかって進めなくなってしまったと。



「ヴェノムイーターさん……アドバイス、くれませんか……?」



「アドバイス……マリーの得意な戦い方ハ? 武器はあるのカ?」



 ユグドラタワーの攻略を進めるにあたって、自分の戦闘スタイルとモンスターの相性というのはかなり大事になってくる。

それはおそらく、フロアランクが上がって上の階層に行けば行くほど無視できない問題だろう。

だからこそ、その相性不利を補うするために複数人でボスに挑めるようになっていくというシステムなのかもしれないが。



「武器はまだ持ってません……わたしの戦い方は、その場で待って、相手が近づいてきたら……握りつぶします」



「そうカ、握りつぶス……ん? 握りつぶス?」



「摑まえて、コアのあるとこをぎゅってして、ぱん! ……おわり」



 いや終わりって。なんかめちゃめちゃ怖いんだけど。

そういえばさっき握手した時、自分がこんな姿だからスルーしてたけどマリーの握る手にかなり力がこもってるなーとは思ったんだよな……



「マリーは、握力が強いのカ?」



「多分、強いかも……学校の体力テストで測ったときは、80kgでした……」



「なるほド、80kg……」



 …………。



えっ80kg!? 握力が!?



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