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60話 ギフテッドライザー



「えっ? 中学生くらいの女の子ですか?」



「そうそう。コハルさん見たことない?」



 第15階層を攻略して本日のライザー活動を終了した俺は、ユグドラセンターのカフェテラスにいたコハルさんを見つけてティータイムをご一緒することに。

ついでにさっき出会った女の子の事を知っているか聞いてみる。



「あっもしかしてウェーブのかかった金髪を真ん中分けしてるフランス人形みたいな可愛い女の子じゃありませんでした?」



「あー……そういえば淡い髪色でハーフっぽい顔立ちだったかも。かなり小柄で、おでこを出してる感じの髪型だったかな?」



 会ったときにだいぶテンパってたっていうのと、魔装変身でヴェノムイーター状態になってる時は若干視界が変わる為、正直あまり細かい所までは覚えていない。



「多分その子です! あの子は『竜童マリー』ちゃんっていうギフテッドライザーの女の子ですね。たしか中学2年生だったかな?」



「マジか……中2ってことは妹とタメかあ」



 現役高校生のギフテッドライザーって謳い文句でテレビに出てた子は知ってるけど、中学生は初めてかも。

基本的にギフテッドライザーと呼ばれる子供たちは一般的な駆け出しライザーよりも才能がある子が多く、ユグドラタワーのシステムもそういった早熟な面を見抜いているのかもしれない。



 その一方で、ギフテッドライザーの才能を妬ましく思う低ランクライザーたちもいるわけで……ユグドラタワー内でライザー同士が危害を加えることは出来ないとはいえ、中学生の女の子が一人でライザー活動をしているというのは、同い年の妹を持つ身としては心配してしまう。



「ソラさん、マリーちゃんに会ったんですか? すっごいラッキーじゃないですか!」



「ラッキーなの?」



「マリーちゃんって、普段は学校があるからお休みの日にしかライザー活動しないんですよ。えーと……あっいたいた。向かいの喫茶店にいる金髪美人の女性、分かります? あの人がマリーちゃんのお母さんです。ああやってマリーちゃんが戻って来るまでセンターで過ごしてるんですって」



「たしかに綺麗な人だね……っていうかあの顔立ちと髪色……もしかして、外人さん?」



「どうなんでしょう、私もそこまで詳しくは……ソラさん、ちょっとナンパして聞いてきてください」



「嫌だよ」



 っていうかナンパは無理だよ、人妻じゃん。



 ―― ――



「よーし、結構良い感じだ」



 ユグドラタワーの第15階層を攻略してからちょうど1週間が経過した。

あれからは大体1日1階層の攻略ペースで活動を続け、休息日を挟みながら遂に残すところは第20階層のみとなった。

ここを攻略すれば俺のフロアランクは21になり、イノシークが蔓延る地下2階層のフロアボスに挑めるようになるという訳だ。



「よくきたいらいにん。クスリ、できてるぞ」



「やっぱその言い方なんとかならない?」



 第20階層を攻略する前に、第11階層のタウンエリアに寄って作製を依頼していた活動時間を延ばすアイテム『EXタイムポーション』をクラフターから受け取る。

実はコハルさんから『EXタイムポーションはいくつか持っておくと良い事がありますよ』という謎のアドバイスを貰ったので、ゴブリンを倒して手に入れた緑の魔石を売らずに貯めておき、こうして定期的に『EXタイムポーション』を作ってもらっていたのだ。



「クラフターさん、ゴブリンスパイダーの倒し方を教えてください……」



「そんなのしらん」



 『EXタイムポーション』を受け取って第20階層へと向かおうとしたところ、タウンエリアの端にいるクラフターの横にしゃがみこんで愚痴をこぼす女の子を発見する。



「もうダメです……天才中学生とか言われて舞い上がって、わたしはもうここで限界なのかもしれません……」



「げんかいは、こえるためにあるものだ」



 っていうかあれ、この前会ったギフテッドライザーの子じゃん。

たしか名前は……竜童マリーさんだ。

聞こえ漏れてきた愚痴の内容によると、結局あれから第15階層を突破できてないっぽいな。



「はあ……あの時の黒い怪人ライザーさんにまた会えないかな……とっても強そうだったし、攻略の相談聞いてくれないかな……」



「(黒い怪人ライザー……ん? 黒い怪人?)」



 それってもしかして……魔装変身した俺の事か?



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