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6話 地下世界の住民



「ここ、ユグドラタワーの地下なんだよな……一体どうなってるんだ……?」



 青い空(?)に白い雲……いや、霧かな。明るいけど太陽のような光源は存在していない。

フロアの真ん中にある巨大な木の根は空のような天井まで伸びていて、途中から濃霧で覆われ姿を隠している。



「それにしても、随分と広いな……」



 ユグドラタワーの地上階層は、1フロアの面積が郊外にあるショッピングモール1棟分くらいと言われている。

それでも十分広いのだが、ここはそれどころの広さではない。

天井が高いというのもあるが、自分の感覚だと地上の階層の10倍近い面積があるように思える。



「もしかして、異世界にでも転移したんじゃ……いやでも、壁はちゃんとあるな」



 後ろを振り向くと、第1階層で見たのと同じ素材の壁で周囲が覆われているのが確認できた。

つまり、おそらく、多分……ここは本当にユグドラタワーの中なのだろう。



「まさかタワー内にこんな所があったなんてなあ……」



 そんな感じでしばらくリフトを出た所で周囲の確認をしていたとき。



「あらっ? あなたもしかして地上世界のヒトねっ?」



「うわっ!?」



 いきなり耳元で甲高い女の子のような声がしてびっくりしながら振り返る。

するとそこには、手のひらサイズの小さな女の子が背中の羽をぱたぱたと羽ばたかせながら飛んでいた。



「モ、モンスター!? ってか喋った!?」



「あら失礼ねっ、ワタシはモンスターなんかじゃないわ。ピクシード族のパモチっていう名前があるのよっ」



「パ、パモチさん?」



 ポ〇モンかな? てかピクシード族ってなんだ……?



「さん付けは要らないわっ。それで、あなたのお名前はっ?」



「お、俺はソラだよ。よろしくね、パモチ」



 恐る恐る地下1階層に足を踏み入れた俺は、なんかよく分からない内にパモチとかいうティンカーベルみたいなやつと知り合いになった。



 ―― ――



「それでパモチ、ここは一体なんなんだい? ユグドラタワーの中なんだよね?」



 とりあえずこの地下階層について何も情報が無いので、パモチに色々と聞いてみることにした。



「ここは地下1階層よっ。そのなんとかタワーとか言うのは知らないわっ」



 そういえばユグドラタワーっていう名称はこっちで勝手に呼んでるだけだった。



「この塔は、パモチたちからなんて呼ばれているんだい?」



「知らないわっ」



 知らないんかい。



「じゃ、じゃあピクシード族っていうのは……」



「ワタシたちのことねっ。ピクシード族はこの階層の住民よっ」



「なるほど、地下1階層の住民……他に、この階層に住んでいる動物とか……種族? なんかはいるのかな?」



「ワタシたちピクシード族の他にも色々いるわっ。でも今はほとんど〝悪いヤツ〟のせいで隠れちゃってるのっ!」



「わ、悪いヤツ?」



 もしかして、上の階層に出現するモンスターのことだろうか。

モンスターは討伐しても一定時間が経過するとなにも無い空間から再び出現するけど、ピクシード族はそういうシステム的な感じじゃなくて、この階層で人間のような生活を営んでいるってことか?



「そうだ! ソラ、あなたとっても強そうだから、悪いヤツをやっつけてくれないかしらっ」



「強そうだなんて言われたの、生まれて初めてだよ」



「悪いヤツがワタシたちの住処だった〝グランルータ〟を占領しちゃったのっ!」



「グ、グランルータ?」



「あのおっきな大樹の根よっ!」



 なるほど、中央にある巨大な根っこが絡まったみたいなやつはグランルータというのか。

あそこをナワバリにしていたピクシード族が、モンスターに襲われて住処を奪われたってところかな。



「お願いソラ、悪いヤツをやっつけてワタシたちのグランルータを解放してっ!」



「ま、まあ出来ることなら助けてあげたいけど、今の俺の実力じゃ……」



「今ならなんとソラに合った〝魔装〟をプレゼントするわっ! これを装備したソラならきっと大丈夫よっ!」



「うーん、魔装を装備できるならまあ……」



 …………。



「えっ? ま、魔装?」



 

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