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55話 お祝い



「それじゃあコハルさん、中級ライザー昇格おめでとう! 乾杯!」



「乾杯っす~!」



「ありがとうございま~す!」



 カコンッとジョッキ同士をぶつけた後、中に入った黄金色の液体を一口。

うーん……苦いな。



「ごく、ごく、ごく……ぷっは~! ビールおいし~!」



「コハルさん良い飲みっぷりっすね~。ビール好きなんすか?」



「どうだろー? 最近二十歳になって飲めるようになったばかりだから」



「乾杯からのビール一気は中々のもんだと思うよ」



 俺は普段チューハイとかカクテル系の甘いやつしか飲んでないからなあ……コハルさんに合わせてビールにしたけど、無駄にカッコつけるんじゃなかった。



「良いな~うちも早くお酒飲めるようになりたいっす」



「アオイちゃんは今16だっけ。むしろそっちのほうが羨ましいよ……はあ、若返りたい」



「20才ならまだまだ若いと思うけど……」



「ソラさんは分かってません! 現役JKは世界最強なんですよ?」



「そういうもんなのか」



 そんなことを言いながら枝豆をぱくぱくと食べておかわりしたビールを半分ほど流し込むコハルさん。

言ってることに対してやってることがオッサンムーブすぎる……

ちなみに日奈多さんはオレンジジュースを飲みながら楽しそうにお肉の世話をしている。

俺も次はオレンジジュースにしよう。



「確かにうちは16才の現役JK……特に理由もなく謎の万能感に酔いしれることもあるっす。しかし、そんなうちでも勝てない存在がいるんすよ」



「現役JKでも勝てない存在?」



「ほうほう、聞こうじゃないか」



「それはですね……和取先輩の妹ちゃんたちっす!」



「いやなんでだよ」



 そういえば少し前にヒナとルナを連れて日奈多さんがバイト中のモスドに行ったんだっけ。

あの二人はまあ最強というか……俺にとっては最恐かもしれない。



「ソラさん、妹がいるんですか?」



「あーまあ、中学生の妹が二人ね」



「ヒナちゃんとルナちゃんって言って、双子のめっちゃ可愛い妹ちゃんなんすよ」



「美少女現役JCの双子の妹!? そんなの最強じゃないですか! ソラさん、写真とか無いんですか!?」



「えっ? あー、まあ一応あるけど……」



 俺はスマホのアルバムを開いて妹たちと一緒に撮った写真を二人に見せる。



「わ、わあ……本当に可愛い」



「これって和取先輩の部屋っすか?」



「俺の部屋っていうか、俺の家だね。ほら、この間3人でモスド行ったでしょ? あの前日うちに泊まりに来てたんだよ」



「えっちっすね」



「えっちだね」



 何がだよ。



 ―― ――



「もぐもぐ……カルビうまっ! さすがうちが丁寧に焼き上げただけあるっす!」



「どういう自画自賛?」



 しばらくとりとめのない話をしながら久々の焼肉とお酒を堪能し、お腹が落ち着いてきた所で気になっていたことをコハルさんに聞いてみる。



「コハルさん、第20階層のフロアボスってどんな感じだった?」



「ごく、ごく、ごく……ぷっは~! へぇ? なんですか~?」



「えっと、第20階層のボスなんだけど……」



「あ~ボス! ボスはですね~」



 コハルさんは気付いたらビールをジョッキで10杯近く飲んでほぼ出来上がっていた。いや最強かよ。



「ゴブリンですよゴブリン~! ゴブリンエンペラーですよ~!」



「ゴ、ゴブリンエンペラー……」



「ゴブリンっすか~。なんか強そうな気もするし、むしろ弱そうな感じもするっすね」



 そういえば第11階層から第20階層はゴブリン系のモンスターが出現するって聞いてたけど、ゴブリンエンペラー……ゴブリンの帝王ってことか。

昔だったら『ゴブリン? 雑魚でしょ』みたいなイメージがなんとなくあったけど、某スレイヤー漫画を読んでから『ゴブリン怖……1匹残らず殲滅しなきゃ』ってイメージが強くなったんだよな。



「日奈多さん、ゴブリンは甘く見ない方が良い。特に女子は」



「えっちな漫画の話っすか?」



 えっちな漫画の話だよ。


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