表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/102

5話 地下1階層



 第1階層に出現するスライムを倒し、ようやく手に入れたフロアキー。

しかし、そこには『-1』という謎の数字が刻まれていた。



「……第2階層用のフロアキーだから『2』じゃないのか?」


 

 俺はリフトへ向かう足を止め、ライザーカードで入手したアイテムを確認する。



【地下階層用フロアキー】

・転移階層:地下1階層

・入手条件:第1階層に出現するモンスターを1万匹討伐し、1度もフロアキーをドロップしない。



「地下階層用フロアキー……地下、1階? ほ、本当に地下のエリアが存在するっていうのか?」



 ユグドラタワーが出現して今年で10年。

色々と調査が進み、遂に今年、81階層に到達して超級ライザーとなった者が現れた。

それでも、このタワー型ダンジョンに地下階層があるなんていう話は都市伝説的な噂でしか聞いたことが無い。

タワー周辺の地面が何故か異様に硬化して掘削することが出来ないという調査結果があり、タワーの真下がどうなっているのか調べられないとニュースでやっているのを見たことがあるが……



「まさか……いや、本当にあるのか? 地下階層が?」



 俺はもう1度手に入れたフロアキーを見て、それからライザーカードのアイテム説明を確認する。



「な、なんだこの入手条件……」



 第1階層のモンスター1万匹討伐からの、1度もフロアキーのドロップ無し?

それって、1万分の1の確率ってことか……?



「いや、そもそもフロアキーの入手確率が約5%だから、えーと……0.95の、1万乗……」



 ダメだ、全くもって頭が働かない。

というか働いていても正しい答えが出せない自信しかない。

とにかく、物凄く低い確率ということだろう。



「地下1階層か……どうなんだろう」



 上の階層に上がっていくに連れて難易度も上がるから、下は逆に簡単になっていくとか?

というか、地下2階層とかもあるのかな。



「ここで考えていても仕方がない。とにかく、行ってみよう」



 地下階層へと行くことが出来るらしい黒いフロアキーを握りしめ、リフトへと向かう。



「たしか、ここにフロアキーを差し込むんだよな……まさか初めての階層解放がこんな特殊なやつになるなんて」



 リフトに入ってライザーカードをスキャンした後、フロアキーの差込口に黒いフロアキーを挿入。

リフトでのフロアキーの使い方は、前にコハルさんから聞いていたので多分これで合っているはず。

すると、フロアキーは差込口の中に吸い込まれていき、リフトの入り口横にある転移可能階層のボタンに『-1』が追加された。



「B1とかじゃないんだな」



 まあユグドラタワー内だし、そこまでエレベーターに寄せたりはしてないか。



「よし……行こう!」



 俺は赤く光る『-1』のボタンを押して、地下1階層へと転移した。



 ―― ――



 ポーン。と音がして、目の前の扉が開く。



「つ、着いたのか……?」



 どれくらい時間が経ったのだろう。

ひとつ階層を降りるにしては、随分と時間がかかった気がする。



「えーと、残りの活動可能時間は……あ、あれっ? なんだこれ」



 ライザーカードに表示された活動可能時間は『00:42:18』。そして『00:00:39』。



「な、なんで時間表示が2つも出てるんだ?」



 1つ目の時間は元々表示されていた活動可能時間のものだが、残り時間が42分のままカウントダウンが止まっている。

そしていきなり表示された2つ目の時間は、どうやら0秒からカウントアップをしているようで、こちらは止まっておらず表示がリアルタイムで進んでいる。

現在、1分30秒ほど。



「たしか元々の活動可能時間は残り45分くらいだったから、3分くらいリフトに乗っていて、ここにきて残りのカウントが止まったのか……?」



 全くもってどういうことか分からない。

カウントが止まっているってことは、残りの活動可能時間を超えても強制転移はしないのか?



「ま、まあそこは良いや。とりあえず、外に出てみよう」



 俺は恐る恐るリフトの外、ユグドラタワー地下1階層へと足を踏み入れた。



「……な、なんだここは」



 目の前には、青々と茂った木々や草花。

天井は高く、青空が広がっている。

フロアの真ん中には、巨大な木の根が絡み合ったような謎の物体が鎮座している。



「ここが、地下階層?」



 俺は一体、どこに来てしまったんだ……?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ