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47話 ドロップ素材とNPC



「はあ、はあ……」



「ブ、ブッヒヒイイイイッ!!」



「はっ!!」



 バキィッ!!



「ブヒイイイイイイ……!」



 …………。



「ふう、これで全部倒したかな」



 草原エリアでイノシー獲りをしていたイノシークたちを討伐し、ズタ袋に詰められたイノシーを解放する。

これでこいつらはイノシークに進化せず、エルハイド族の食料としてここでのんびり生活し続けられるという訳だ。

……まあ、どっちにしろ無常な運命ではあるが。



「なんならイノシークになった方がワンチャンあるかもしれないけどな……いやないか」



 地下1階層の感じだと、まずは通常個体のイノシークを全て倒さないと、大本……おそらくフロアボスであろう、イノシークの親玉に挑めない気がする。

草原エリアにやってくるイノシークたちを倒してイノシーのイノシーク化を防ぎつつ、岩山にあるエルハイド族たちが囚われているというイノシークのアジトを攻略していく……それがこの地下2階層の進め方というわけか。



「おっ魔石だ! それに、素材もドロップされてるぞ」



 先ほど倒したイノシークが消滅した跡を確認すると、緑色の結晶と牙のような物が1本落ちている。

これはイノシークを倒した際に確率でドロップされる『緑の魔石』と『鬼猪の牙』というアイテムだ。



 【イノシーク】

・生息地:地下2階層

・ドロップ:緑の魔石、鬼猪の牙



「お、しかもこの魔石、高品質だ……!」



 緑の魔石は、通常は地上の第11階層~30階層でドロップされるアイテムだ。

よくドロップされるのは低品質のもので、中品質の魔石でも結構珍しい。

今日倒したイノシークの数は12匹で、魔石のドロップが6個と、鬼猪の牙が3個。

その中で高品質の魔石が2個……地上階層に比べると、かなり高確率で良質のアイテムが手に入る気がする。



「もう魔装を育てる為に魔石を消費する必要もないし、これを全部売ればかなりの稼ぎになるぞ……!」



 これはもう、焼肉くいーんで食べ放題……いや、寿司も良いな……スシベーでお高い皿の寿司を……



「ぼひー」



「……そういえば、おまえらって倒したらどうなるんだろうな」



「ぼひー?」



 イノシークから助け出したイノシーたちを眺めていると、ふとそんなことを考えてしまう。

このイノシーみたいな非戦闘タイプのモンスターやエルハイド族、地下1階層にいたピクシード族は討伐対象のモンスターではなく、地上階層のタウンエリアにいる『クラフター』のような、ゲームで言うところのいわゆるNPCというやつだろう。



「クラフターと同じ扱いだったらお前たちもめちゃめちゃ強かったりするのか?」



「ぼひぼひ」



「いや絶対そんなことないよなあ」



 タウンエリアにいるクラフターはある意味絶対に倒すことが出来ない最強のモンスターのようなもので、攻撃してもダメージが入らず、逆にこちらがやられて瀕死状態になるうえに、ユグドラタワーの入り口に強制転移されてその日はライザー活動が出来なくなる。

でも仮にイノシーだったり、ピクシード族のパモチと戦ってこっちが負ける想像はつかないんだよな……だったら俺が戦わなくてもブラックジェットローチを倒せるわけだし。



「エルハイド族の食料になってるってことは、俺が狩っても素材になったりするのかな……えいっ」



「ぼひっ?」



「なんちゃって。やらないよ俺は」



 ズタ袋から顔を出したイノシーの頭を軽く小突く。

なんとなくバリアのようなものに跳ね返された感触だったような、ただ単にイノシーの身体がぼよぼよんだったからそう感じただけなのか……まあ、こいつがクラフターみたいに強くはないってことは分かっ――



 ……。



 …………。



「……えっ?」



 一瞬意識が遠のいて、気づいたらユグドラタワーの入り口に立っていた。



「あれっ? 俺、今まで地下2階層の草原にいたよな……?」



 状況が飲み込めないまま、ライザーカードを確認する。



「……あれっ!? 今日集めた魔石と素材が無くなってる!!」



 今日一日、苦労して倒したイノシークからドロップされた緑の魔石と鬼猪の牙がライザーカードに表示されたインベントリデータからひとつ残らず無くなっていた。

どうやらイノシーを小突いたことでNPCに攻撃したと判定され、タワーの外に強制転移&アイテム全ロストになったらしい。



「う、嘘だろ……俺の今日の稼ぎが……」



 今日の教訓……無害なNPCには、優しくしよう。



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