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33話 クイーン・ブラックジェットローチ



「う、薄暗いな……」



 解放されたグランルータの内部『蜚蠊女王の洞』を進んでいく。

むせ返るような木の匂いを感じながら、狭くて薄暗い洞の道をしばらく歩くと、ユグドラタワーの地上階層にあるフロアボスの部屋に似た広い空間に出る。



「ギギギギギィ……」



「いた……アイツだな」



 広場の面積の3割近くを占める巨大なモンスターが奥に陣取っている。

モンスターの見た目は、なんと説明したらいいのだろうか……手足の無いブラックジェットローチをイモムシのような感じに伸ばしたというか、ピ〇ミンに出てくるクイーンチャッ〇ーみたいというか……だいぶ生理的に嫌悪感を感じる。



【クイーン・ブラックジェットローチ】

・生息地:地下1階層ボスエリア

・ドロップ:フロアキー、赤の魔石、蜚蠊女王の血肉結晶



「クイーンか……前に倒した最大サイズのブラックジェットローチより二回りくらいデカいな」



 ていうかさっきまで薄暗かったのに広場に来たら急に明るくなった気がする。

木の中だからロウソクの灯りとか使えないし、どこからこの光源は来てるんだ……?

まあユグドラタワー自体が未だに謎だし、その謎のタワーにある未踏の地下階層のボスフロアの仕組みなんて俺が考えても分かるわけないか。



「うわ、あの背中に乗ってるのってもしかしてブラックジェットローチの卵か……?」



 クイーン・ブラックジェットローチの背中にはまるでロケットランチャーのような巨大な物体が二つ乗っている。

恐らく卵しょうというやつで、あの筒に守られるようにして中に大量の卵が入っているはずだ。

あれが全部孵化したら振出しに戻って俺が地下1階層に初めて来たときと同じ状態になってしまうのか……ピクシード族たちの為にも、ここで破壊しておかなければ。



「ふぅ……よし、やるか!!」



 クラフターに作ってもらった『黒鉄甲の打突旋棍』を装備して広場の中に足を踏み入れる。

こちらの足音に気付いたのか、それともこの広場に入った瞬間にフロアボス戦が始まったのかは分からないが、今まで大人しかったクイーン・ブラックジェットローチが動き出す。



「ギィ……ギギギギィ……!」



「あ、あんなデカいのに俺の攻撃効くのかな……ちょっと不安になってきた」



 しかも俺が使ってる武器、あのモンスターの子供を素材にしてるし。

なんかそう考えると俺の方が悪者みたいに感じてきてしまう。



「ギギギ……ギィ!!」



 バシュッ!!!!



「うおっ!? マジかよ!! 自分の子供だろそれ!?」



 戦闘開始の合図代わりにクイーン・ブラックジェットローチが背中の卵しょうをミサイルのように発射する。

追尾機能があるのか、こちらを狙ってピンポイントに飛んできた卵しょうを両手の武器で受け止める。



 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!



「ぐうううう重い……!!」



 巨大な命の塊の重みがこう、物理的にも精神的にもズシリと……



「ふんぬっ!!」



 ボッガアアアアアアアン!!



「よし、ホームラン」



 トンファー型の武器『黒鉄甲の打突旋棍』でクイーン・ブラックジェットローチの発射した卵しょうを受け止めてそのまま打ち返すと、卵しょうが吹っ飛んで広場の壁に突き刺さる。



「ロケットランチャー……卵しょう……ロケット卵チャーってことか?」



「ギギギギギィ~……!!」



「さあもう1発! バッチコーイ!」



 こうして俺とクイーン・ブラックジェットローチとの戦闘は大量の命を犠牲にしたホームランで開幕した。



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