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20話 ファミレスwith現役JK



「とりあえずドリンクバーとー……やっぱミラノ風グラタンは外せないっすよねー。あっ和取先輩、甘辛味チキンシェアしましょうよ」



「あ、ああ良いよ」



「5本あるから最後の1本は殴り合いで勝った方が食べられるってことでいいっすか?」



「良いわけないだろ。日奈多さんにあげるよ」



 最寄り駅近くにあるイタリアン系ファミレスで日奈多さんと向かい合って座り、一緒に夕食をいただくことに。

なんだかんだ彼女と二人きりで食事をするのは今回が初めてなので少し緊張してしまう。

いつもはバイトの時間があまり被らないからな……



「前に食事をしたのは、日奈多さんが新人で入った時か……」



「あー店長が奢ってくれた時っすよね。あの時初めて和取先輩に会ったんすよね」



「夜勤続きでお昼に研修してた日奈多さんとシフトが被ってなかったからね」



 初めて会ったときの日奈多さんはなんというか、陽のオーラが強すぎてどう接して良いか分かんなかったな……

他にも高校生のバイトの子はいるんだけど、意外と大人しくて真面目な子が多かったから。

いやまあ、日奈多さんが不真面目ってことではないんだけど。



「むむむ……ドルチェもいきたいんすけど、今月ちょっとピンチなんすよねー……」



「今日は俺が奢るから好きなの頼みなよ」



「えっいいんすかっ!? いやでも、バイト暮らしの底辺ライザー先輩にそんな負担を強いる訳には……っ!」



「失礼だなお前。臨時収入が入ったから大丈夫だよ」



 俺は魔石の換金レシートを見せて資金に余裕があることを彼女に伝える。



「先輩さすがっす! 6000円もあったら豪遊できるっすよ! さすがセレブライザーっす! パパって呼んで良いっすか?」



「制服姿でそんなこと言われるとシャレにならないからやめてくれ」



 いやまあ、ファミレスで良かったけどね……なんとか先輩としての矜持が守られた。

2人で食事して全奢りできる料理屋ってなるとまあまあ限られてくるしな。

6000円は今の俺にとっては大金だが、社会人男性の所持金としてはそこまで高くない飲み会の1人前分の料金って感じだろうし。



「じゃあヴェネツィア風パイナップルドリアも頼んでいいっすか?」



「パ、パイナップルドリアとはずいぶん冒険するね」



「なに言ってんすか、人生は冒険っすよ」



「そのスケールで言われるとだいぶ小さく感じるけどね」



 ―― ――



「これ美味しくないっす……」



「ゲームオーバーになるのが早すぎる」



 日奈多さんはヴェネツィア風パイナップルドリアを1口食べてリタイアした。

別にパイナップルが好きなわけではなかったらしい。

ほんとになんで頼んだの?



「なんすかねえ、やっぱタバスコぶっかけまくったのが良くなかったんすかねえ」



「なんで食べる前から冒険に冒険を重ねちゃったの?」



 これが現役高校生クオリティというやつだろうか。まさに青春の味、というか過ち。

そういえば俺も学生の頃は似たような事やった気がする……ドリンクバーでオレンジジュースとアイスティー混ぜたり。

柑橘系だしレモンティーみたいな感じで美味しいと思ったんだけどなあ。



「和取先輩っ! あ~ん」



「ちょっお前そのスプーンむぐぅ!?」



 ドリアと一緒に日奈多さんが使ったスプーンを口に突っ込まれる。

まあ、別に間接キスとか気にする年齢でもないけどさ……



「どう? 美味いっすか? 現役JKの間接キス付きドリアっすよ」



「いやその言い方……って辛っ!? 酸っぱっ!?」



「あっはは~さすがにタバスコかけ過ぎたっすね~。はぐ……あ、なにもかけなかったら結構美味いっすわ」



「こ、こいつ……! ぱくっ」



「あ~! うちのアイスティラミス~!」



「ふぅ~。なんとか辛いのが治まった~」



「ちょっとなにしてんすか先輩っ!」



「ふっふっふ。これでさっきの愚行は許してやろう」



 後輩の女子高生バイトに一矢報いて満足する20代男性フリーター。

人生は冒険だ! を貫いてきた結果がこれか……



「もう怒ったっす! じゃあかわりに先輩のソーセージうちが食べちゃいますから!」



「それはなんか変な感じになるからチョリソーの盛り合わせって言ってくれ!?」



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