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15話 地下初陣



「ギギギィ……!」



「さあ来い、ゴキブリ野郎!」



 ユグドラタワー地下1階層に出現するモンスター、ブラックジェットローチ。

仔犬や猫ほどの大きさがある昆虫型……というかほぼゴキブリな見た目のモンスターは、よくよく観察するとお尻の部分がジェットエンジンのようになっていて、時折アフターファイヤーを噴出している。



「頑張って~ソラッ! ワタシは草葉の陰から見守ってるから~!」



「死んでるじゃん!」



 パモチは多分茂みに隠れて応援してるってことが言いたいんだろうな。

ユグドラタワーさんはまだちょっとこの世界の言語学習に不備があるようだ。



「ギギッ!!」



「わわ~っ!? こっち来た~!!」



「おっと……そっちじゃない、だろっ!」



 バゴッ!!!!



「ギギギッ!?」



 パモチをロックオンして襲いかかるブラックジェットローチに素早く蹴りを入れて動きを止める。

どうやらブラックジェットローチがこの階層の先住民(?)であるピクシード族から故意に住処を奪ったというのは本当のようだ。



「……うん。魔装のお陰か分かんないけど、身体がかなり軽いし、いつもより思い通りに動いてくれる気がする」



 なんならバイトしてた時よりも動きが良くなっている気がする。

まあ、ハンバーガー作りとユグドラタワーでの戦闘の動きを比べてどうなるものでもないんだけど。



「ソラ~! そいつはお腹側の防御が弱いわよっ! グリンッてひっくり返してバンバンボンよっ!」



「腹部の装甲が弱点……りょーかい!!」



 後半ちょっとなに言ってるか分からなかったけど、初見の相手の弱点を教えてくれるパモチ。

現れたブラックジェットローチも1匹だけだし、やっぱこれチュートリアル戦闘的なやつなのでは……?



「ギギギィ……ギギッ!!」



 短距離の加速ではジェットエンジンの最高速度が出せず俺に止められると分かったのか、ブラックジェットローチは俺から少し距離を取って旋回したあと、尾部のジェットをフカしてエンジン全開で突撃してきた。

でも、それでも俺にはヤツの動きが視えていた。

これも魔装の力で強化された動体視力と身体能力のおかげだろうか。



 バババババババババッ!!!!



「……はっ!!」



「ギギィッ!?」



 ブラックジェットローチの懐に入り込んで前脚を抱え、全速力で突っ込んできた勢いを生かしたまま地面に叩きつける。

そのままひっくり返ってジタバタと暴れるブラックジェットローチの腹部に全力の蹴りを食らわせる。



「はあっ!!!!」



 ドスッ!! バッキイイイイイイイイイイイイイイイン!!!!



「ギッ」



 …………。



「ふう……なんとか倒せた」



 腹部の奥にあるコアを破壊されたブラックジェットローチが消滅していくのを確認して、俺は安堵の溜め息を吐いた。



「ソラすごいわっ! あの悪いヤツを軽々倒しちゃった! まさにヒーロー! ブラックジェットローチ殺しのキャプテンねっ!」



「嫌なキャプテンだな……」



「略してブラックキャッp」



「それは勘弁してくれ」



 ―― ――



「ふむ……今回は魔石か」



 消滅したブラックジェットローチの跡に赤い結晶のようなものが落ちていたので拾ってライザーカードで確認する。

恐らく第1階層のスライムからドロップされる赤の魔石と同じものだと思うけど、俺が今まで入手してきた魔石よりも二回りくらい大きくて透明度も高い……ような気がする。



【赤の魔石】

・品質:高

・サイズ:小

・入手条件:地下1階層のモンスター、または第1~20階層のモンスターからドロップ



「おお、やっぱり赤の魔石だ……って、高品質!? こんなの初めてだぞ!」



 高品質の魔石はかなりの低確率でドロップされると聞いたことがあるが、第1階層で何千体……いや1万体もスライムを倒してきた俺は1度も入手出来ていなかった。

そもそも中品質の魔石でさえも数百体倒して極小サイズが1粒ドロップされるかどうかという感じだったので、今回の魔石ドロップはかなりの収穫だ。



「これを売れば、1個で1000円以上はいくんじゃないか……? いや~、これはもう久々に発泡酒じゃなくてビールを」



「ソラ、その石を魔装に重ねるのよっ!」



「えっ魔装? 重ねるって、こういうこと……?」



 パモチに言われるまま、右手の中指に嵌めている魔装に入手した魔石をあてがう。

すると、まるで魔装に吸収されるように魔石が消滅してしまう。



「あ、あれ? 俺の魔石は……?」



「魔装が食べちゃったねっ!」



「……は? 食べちゃった?」



 わりい、俺の魔装が魔石食っちまった。



「なんでだよ!」



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