100話 バーサークアリゲーマン
「ギャッヴィィッ!!!!」
「おっと危ねっ!!」
バーサークアリゲーマンとの戦闘が始まってそこそこ時間が経過した。
しばらく好き勝手に暴れさせれば体力が尽きて弱体化すると思ったけど、全くもって攻撃の勢いが衰えない。
「知能を捨てて身体能力とスタミナに全振りしてるってことか……!」
「ギャヴィイ!!」
現在は相手の体力を削るために脚部のみ魔装化させて防戦一方だったんだけど、このままだとこちらが先にHPゼロになりそうだ。
「やっぱ、狂戦士には狂戦士をぶつけないとダメだな……っ!! 〝魔装変身〟!!」
『カモン! マソウチェエエエエンジ!!』
ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!!!
『マソウチェンジ! コォンプリイイイイイツッ!!』
「……ふう、変身完了ダ」
バーサークアリゲーマンとの戦闘が始まったときから脚部の魔装化は発動していたので、こちらもそれなりに体力を消耗している。
今の全身ヴェノムイーター状態もそう長くは保てないだろう。
「短期決戦で、片づけないとナ」
「ギャヴィ……!」
バーサークアリゲーマンは身体能力がかなり高く、スピードと攻撃力に関してはヴェノムイーター状態の俺とほとんど同じくらいのステータスを有している。
それでいてすぐにガス欠にならないスタミナもあり、これまでに戦ってきたモンスターの中でもかなりの強さだと思う。
しかし、こういうタイプのモンスターにも弱点はある。
「攻撃は最大の防御っていうガ、お前もしかして、攻撃に偏りスギてんじゃないのカ?」
「ギャヴィッ!?」
「今度は、こっちの番ダ」
バーサークアリゲーマンがやったように、前傾姿勢からの猛ダッシュで相手の懐に突撃する。
「ギャッヴィイ!!」
両腕をクロスしてこちらの攻撃を受け止めようとするバーサークアリゲーマン。
だが、俺の攻撃はそんなもんじゃ防げないぜ。
ドシュッ!!!!
「ギャァアアアアアアアアッ!?」
「貫通力には、自信があるんダ」
魔装ヴェノムイーターの装備効果は、魔装変身や魔装化で身体能力をアップさせるだけでなく、攻撃の貫通力強化も付いていて、守りの堅い相手でもこちらの全力の攻撃を食らわせることが出来る。
どうやら俺の貫通攻撃は、バーサークアリゲーマンにもちゃんと効いたようだ。
俺はそのまま相手の反撃を食らいながらも攻撃の手を止めず、最後に渾身の一撃を叩き込む。
「ヨシ、これで……終わりダッ!」
バッキイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!!!!!!!!!
「ギャ……ギャッヴィイイイイイイイイイイイイイッ……!!」
俺の攻撃はガードしたバーサークアリゲーマンの両腕を貫通して胴体まで達し、彼のコアを破壊した。
「ギャ、ギャ……ヴィ……」
…………。
「ふう……な、なんとかなった……」
魔装変身を解除してその場に座り込む。
目の前では、コアを破壊されて消滅していくバーサークアリゲーマンの姿が。
「か、身体がめちゃめちゃ重い……」
満身創痍の身体を何とか動かしてバーサークアリゲーマンのドロップアイテムを回収する。
地下4階層のフロアキー、巨大な青の魔石……
「で、この眼球みたいなのがバーサークアリゲーマンの血肉結晶か」
また例によってこの血肉結晶をここに設置すれば、アリゲーマンたちを復活させることが出来るのだろう。
まあ、ダッチーたちのことを考えたら俺にはそんなこと出来ないんだけどな。それに……
「正直、バーサークアリゲーマンとはもう戦いたくないな……まあ、でもこれで……」
ユグドラタワー地下3階層、攻略完了だ!