バンダナコミック01応募用シナリオ
サラリーマン【白河光樹】は様々なロボットゲームをクリアーしてきたロボットオタクである。彼が最近熱を入れているのは、ファンタジー系ロボットシミュレーションRPG『竜機大戦ヴァンフレア』という作品であった。このゲームは装機兵と呼ばれる西洋甲冑をモデルとした十五メートル級の巨大ロボットを操縦し敵対勢力と戦うというもので、ストーリーモードとフリーシナリオモードの二つのモードを楽しめる。ストーリーモードでは竜機兵と呼ばれる特別な装機兵を操縦する部隊がメインの話。フリーシナリオモードではプレイヤーが作成したアバターを使って様々なシナリオをクリアーし、アバターの強化や新しい装機兵を購入し強化を楽しめる。竜機大戦に大型アップデートが行われ、白河がゲームをスタートさせると彼の意識は途切れる。そして彼が意識を取り戻すと、そこは竜機大戦の世界であり、彼は自身で鍛え上げたアバター【ハルト・シュガーバイン】へと転生していた。
ハルトの脳裏には前世の白河として記憶と転生してからの日々の記憶が同時に甦っていく。そこに姿を現わしたのは、教官【ランド・ミューズ】であった。ハルトは現在、訓練生として卒業試験中のまっただ中であった。ランドに連れられ向かった先には卒業試験用の装機兵とハルトの同期生たちがおり、その中には竜機大戦の主人公【フレイ・ベルジュ】もいた。同期生から嘲笑われる中、ハルトは装機兵に搭乗し機体を起動させる。本物のロボットを動かし歓喜するも機体は故障し動かなくなってしまう。ハルトは今までも装機兵をすぐに故障させてしまう為、適正無しと周囲から思われていたのである。しかし、ランドはハルトの素質を見抜き彼を『第六ドグマ』へと向かわせた。
竜機大戦は『テラガイア』という世界が舞台であり、そこは生命エネルギー『エーテル』で満ちた世界であった。雲海と呼ばれるあらゆる者の侵入を防ぐ雲に覆われた『失われた大地』を中心として、その東西南北には大陸と国が存在していた。北方ノーザンノクス大陸の『ドルゼーバ帝国』、西方ウェスタリア大陸の『アルヴィス王国』、東方イシス大陸の『ワシュウ』、南方サウザーン大陸の『シャムシール王国』。ハルトは西方の国であるアルヴィス王国の国民であった。アルヴィス王国では錬金術の研究機関である『錬金工房ドグマ』において錬金術の研究が盛んに行われており、国内には王都付近にありかつ最大規模を誇る『第一ドグマ』の他に『第六ドグマ』までの六つの工廠があった。ハルトは第六ドグマに到着するとドグマの錬金技師長【マドック・エメラルド】と出会う。ランドから事情を聞いていたマドックは、ハルトが装機兵を故障させるのは操者――つまりパイロットから送り込まれる生命エネルギーが強力すぎるため機体の動力部が耐えられなかったと看破した。そしてハルトを格納庫に佇む純白の機体――竜機兵<サイフィード>のもとに案内する。<サイフィード>は竜機大戦の大型アップデートでプレイヤーアバター用に実装された竜機兵であった。
マドックの話によると<サイフィード>は現存する竜機兵の試作機にあたるのだが、今まで誰にも動かせなかったという。竜機兵は通常の装機兵と比べて大きく異なる部分が二つある。一つは動力部でドラゴニックエーテル永久機関と呼ばれる大出力のエンジンが組み込まれている。もう一つは機体内を循環するエーテルエネルギーを増幅するエナジークリスタル(以下エナジスタル)で、竜機兵にはドラグエナジスタルという特殊なエナジスタルが核として搭載されている。ドラグエナジスタルは巨大なエナジスタルを数年掛けて熟成圧縮させた物で製造過程で意思が芽生える代物であった。その為、竜機兵自身に選ばれ契約した者でなければ動かせない。現在<サイフィード>のドラグエナジスタルは外されており、それを所持しているのは聖女【ティリアリア・グランバッハ】(愛称ティア)であった。ティアは聖女としてアルヴィス王国内を慰問して回っており、今は偶然にもこの第六ドグマを訪れていた。実はティアはハルトの推しキャラでもあり、彼女に会えると知って有頂天になる。しかし、実際面会したティアはゲームでの清楚な性格とはかけ離れた天真爛漫でゲラゲラ笑うワンパクな少女だった。そのギャップにショックを受けるハルトであった。ティアが持っているドラグエナジスタルは彼女の祖父【クラウス・グランバッハ】の死後、母【セレスティア・グランバッハ】を経て受け継がれたものであり家族の形見であった。その事実を知り、ドラグエナジスタルの入手を諦めたハルトは格納庫に佇む<サイフィード>を見つめる。そこに現れたティアはハルトにドラグエナジスタルを託し、この力を正しいことのために使って欲しいと伝える。その直後、第六ドグマをドルゼーバ帝国の装機兵部隊が強襲する。
炎上し崩れ始める第六ドグマ。ハルトはドラグエナジスタルを<サイフィード>の胸部に収めるとティアと共にコックピットに入る。
「ドラゴニックエーテル永久機関始動。機体各部チェック……問題なし。背部メインエーテルスラスター稼働、エーテルマント生成開始! ――行くぞ、<サイフィード>!!」
<サイフィード>に操者として認められたハルトは機体を起動させる事に成功する。炎に包まれる第六ドグマの中は地獄絵図と化し脱出を図るハルト。すると工場内に侵入してきたドルゼーバの装機兵<ガズ>と戦闘に入る。剣状の武器エーテルブレードを装備した<サイフィード>は圧倒的なパワーで<ガズ>を撃破すると工場から脱出する事に成功する。しかし、外には十機の<ガズ>が待ち伏せしていた。数で圧倒的な不利に立たされるも極限まで鍛え上げられたハルトのステータスは<サイフィード>の性能を大幅に上昇させ、一太刀で各個両断し全滅させる。そしてマドック達は飛空艇<ロシナンテ>で<サイフィード>を回収し第六ドグマを脱出するのであった。
第六ドグマを脱出したハルト達は付近で最大規模の工廠である第四ドグマに身を寄せていた。<サイフィード>はマドックの調整により複数の機能が使用可能になり、その一つに術式兵装があった。術式兵装は機体のエーテルエネルギーを消費して使用する必殺技のようなものであり、装機兵の戦いにおける重要な兵装である。ティアの侍女でフレイの妹かつドMの【フレイア・ベルジュ】は装機兵<ウインディア>に搭乗しハルトと共に第四ドグマの主力となる。アルヴィス王国はドルゼーバ帝国から宣戦布告をされ王国内のいたる場所で戦いが起きていた。南方の防衛を任された第四ドグマは<サイフィード>と<ウインディア>を主戦力とした防衛戦を張るのであった。
ドルゼーバ帝国との戦争が始まって二ヶ月後、南方の戦線を維持していたハルト達であったが、飛竜形態の<サイフィード>でパトロール中にドルゼーバ帝国の巨大飛空要塞<フリングホルニ>に遭遇する。凄まじい弾幕をかいくぐって撤退したハルトは<フリングホルニ>の接近をティア達に伝える。その情報を王都騎士団にエーテル通信で報告すると南方の戦線を放棄し即時撤退を命令される。第四ドグマから味方が撤退準備を始める中、ハルトは殿として残り<サイフィード>一機で敵の大部隊を迎え撃つ。飛竜形態でドルゼーバの飛空挺を次々に撃沈していると一機の黒い飛竜が姿を現わす。その機体はかつて<サイフィード>と共に開発された兄弟機、竜機兵<ベルゼルファー>であった。<ベルゼルファー>は完成直後にドルゼーバに鹵獲されていたのである。その操者【アイン】はハルトに戦いを仕掛け第四ドグマを戦場に白と黒の竜機兵が戦いを始める。その最中<サイフィード>は恐怖により機能不全に陥り、呆れたアインはハルトに機体を降りれば命だけは助けると話す。しかしハルトはこの申し出を拒否し、愛機と共に最後まで戦い抜くことを誓う。ハルトの意志に応え機能が回復した<サイフィード>は強化形態であるドラグーンモードを発動し術式兵装コールブランド(斬撃)、バハムート(掌底)を立て続けに繰り出し<ベルゼルファー>を追い詰める。最後は飛竜形態による突撃――術式兵装リンドブルムによって辛くも勝利するのであった。
<ベルゼルファー>との戦いに勝利したハルトは先に撤退していた飛空艇<ロシナンテ>と援軍に来ていた竜機兵<シルフィード>と合流する。<シルフィード>の操者【シオン・エメラルド】はマドックの孫であった。竜機大戦の人気キャラとの出会いにハルトのテンションが上がる中、アルヴィス王国の海岸側にある第二ドグマを目指していた<ロシナンテ>に救援要請が入る。それは第二ドグマからの要請であった。飛竜形態の<サイフィード>と空戦を得意とする<シルフィード>は直ちに出撃する。一方、第二ドグマでは駐留していた竜機兵<グランディーネ>と竜機兵<アクアヴェイル>がドルゼーバ帝国の装機兵部隊を迎え撃っていた。さすがの竜機兵二機でも多勢に無勢によって苦戦する中、<サイフィード>と<シルフィード>が到着する。蛇腹剣ワイヤーブレードによる中距離戦で獅子奮迅の活躍をする<サイフィード>を中心にして敵部隊を押し返していく竜機兵チーム。ドルゼーバ側は二十五メートルの巨体を有する重装機兵<エイブラム>を投入する。ゲームの流れでは登場がまだ先のハズの<エイブラム>の出現に驚くハルト。その重装甲に苦戦するが、駆けつけた<ウインディア>の援護と各竜機兵の術式兵装の連携によって撃破に成功する。
竜機兵アクアヴェイルの操者にしてアルヴィス王国の第一王女【クリスティーナ・エイル・アルヴィス】(愛称クリス)と竜機兵<グランディーネ>の操者でランド教官の娘である【パメラ・ミューズ】と合流したハルト達。王都に向かう間に親睦を深める中、ハルトはクリスとティアが従姉妹である事実を知り驚く。しかもゲームでは清楚であったクリスはドS変態でありフレイアをドMに調教した張本人でもあった。濃い竜機兵チームのメンバー達を伴い飛空艇<ロシナンテ>は王都にある第一ドグマに入港した。地下に巨大な工廠を持つ第一ドグマは錬金工房ドグマの総本山と言える場所であり、そこでハルト達を待っていたのはマドックの一番弟子の優秀な錬金技師でシオンの母でもある【シェリンドン・エメラルド】だった。
ハルト、ティア、フレイア、クリス、パメラ、シオンは王都アルヴィスにあるアルヴィス城に赴き国王【ノルド・フォン・アルヴィス】と面会する。ハルトは竜機兵<サイフィード>の操者としての活躍を認められ竜機兵チームの隊長に抜擢され、さらに聖騎士の称号を与えられる。聖騎士は如何なる命令にも拘束されず独自の判断で行動する権限が認められる特別階級であった。自由である反面、己の正義が試される聖騎士の責任の重さに戸惑うハルト。一方、ティアには伯爵貴族との縁談が持ち上がる。二ヶ月間の戦いの中で親睦を深めていたハルトとティアであったが、この縁談の話を機にお互いの存在を一層意識するようになる。
それから一週間後、<サイフィード>のオーバーホールが終わり駆動系が最新のものに変更されていた。その作業を行っていたシェリンドンとハルトは技術面で話が弾み打ち解けていたが、一方でティアとはまともに会う機会もなく経過し彼女はお見合いに行ってしまう。第一ドグマに居残りのフレイアはティアを心配し気が気ではない。そんな二人を気に掛けるシェリンドンは、完成したばかりの竜機兵<ヴァンフレア>を見せる。ゲームでは主人公機であった<ヴァンフレア>との対面にハルトは喜ぶ。するとそこにはゲームの主人公フレイが整備士として働いていた。以前の斜に構えた態度は鳴りを潜め別人のように自信を失っていたフレイ。ハルトは彼からドルゼーバ帝国の襲撃によって同期が戦死した状況を聴く。その現場にいて何も出来なかったフレイはトラウマを抱えコックピット恐怖症になり王都騎士団を辞めていた。そんな折、アルヴィス王国内から一時撤退していたドルゼーバ帝国が再び部隊を投入してきたと報告が入る。その第一陣が向かった先はティアがお見合いをしている都市『リーン』であった。しかも敵部隊を搭載している飛空艇の編隊は王都にも向かっていた。竜機兵チームは王都防衛に配備される中、ハルトは仲間たちの後押しもありティアを救うべくリーンに向けて<サイフィード>で出撃する。
ドルゼーバ帝国の装機兵部隊によって戦火に晒されるリーン。リーン在駐の騎士団を束ねる貴族たちは部下たちに戦闘を押しつけ避難しており現場は混乱していた。ティアは現場で戦い続ける騎士団の指揮を取り立て直しを図るが、そんな彼女にドルゼーバ帝国の装機兵<ガズ>と<ヴァジュラ>の部隊が襲いかかる。その絶体絶命の状況に現れたのは<サイフィード>であった。数多の戦場を戦い抜いた白い竜機兵はたった一機で戦況を覆す。そこに以前第二ドグマを襲った重装機兵<エイブラム>が投入される。巨大な体躯とパワーに加えて分厚い装甲の<エイブラム>に対しハルトは<サイフィード>に新しく追加された竜機兵専用兵装ドラゴニックウェポン――エーテルカリバーンを使用する。その圧倒的な攻撃力で<エイブラム>を破壊した<サイフィード>はリーンでの戦闘が終わるとティアが待つ岬の花畑に向かう。そこでハルトは花びらが舞う中、ティアに自分の思いを告白し共に王都に急ぎ戻るのであった。
ドルゼーバ帝国の大部隊が王都アルヴィスを襲撃する。王都騎士団は王都への敵侵入を防ぎ応戦する。一方、王都付近に位置する第一ドグマにもドルゼーバ帝国の装機兵が大量に押し寄せる。その中にはブラッディナイトの異名を持つ【アグニ・スルード】率いるスルード隊もいた。スルード隊が使用する新型装機兵<シュラ>の猛攻によって炎の海と化す第一ドグマの地上工場区では竜機兵チームが奮闘していた。多勢に無勢でありながらチームワークを活かし地下への進入路を死守する竜機兵チームであったが徐々に追い詰められていく。フレイアは<ウインディア>で<アグニ専用シュラ>に立ち向かうものの機体性能差は圧倒的で危機的状況に陥る。そのピンチに現れたのはフレイアの兄であるフレイであった。彼は妹や仲間たちを助けるためコックピット恐怖症に苦しみながらも量産型装機兵<セスタス>に搭乗しアグニに立ち向かう。しかし、力及ばずフレイとフレイアの機体はアグニ機の炎に包まれ戦闘不能に陥る。
『あははははははははは!! 燃えろ、燃えろーーーーーー!! 全部燃えて消し炭になっちゃえーーーーーーーー!!!』
『――させねえよ!!』
<サイフィード>の光の刃が炎を斬り裂きフレイとフレイアは九死に一生を得る。ギリギリ間に合ったハルトは怒りを胸にアグニと戦闘を開始する。その時、フレイアの意志に同調した竜機兵<ヴァンフレア>が起動し彼女を操者として受け入れクリス達と連携してスルード隊を壊滅させる。一方、<サイフィード>はドラグーンモードを発動しエーテルカリバーンを装備すると<アグニ専用シュラ>を圧倒し撃破する。そこに以前死闘を繰り広げた竜機兵<ベルゼルファー>が現れるとアグニ機を回収して撤退していった。アルヴィス王国を襲撃したドルゼーバ帝国は撃退され両国の間に休戦協定が結ばれ戦争は一時的に終了した。
アルヴィス王国騎士団を牛耳ってきた貴族たちは ドルゼーバ帝国との戦争における利己的な行動を問題視され騎士団の運営から一掃された。その中にはドルゼーバ帝国と裏で繋がっていた者もおり、それらに関しては貴族としての階級剥奪が行われた。アルヴィス王国内では様々な改革が急ピッチで行われ、特に騎士団の命令系統の統一化と戦力強化が急務とされ、かつて騎士団長を務めた経験のある【ロム・ベルジュ】と【ガガン・ズンガーラ】が招集され騎士団の士気が向上する。錬金工房ドグマにおいても貴族からの介入が少なくなり新たな一歩を歩き始めていた。国が慌ただしくなる中、ハルトは入院しているフレイのもとを訪れ竜機兵チームの一員になって欲しいと話す。フレイは自分にそんな資格は無いと一度は拒絶するが、フレイの力が必要だとハルトは説得を試み「待っている」と告げた。ハルトの言葉に胸を打たれたフレイは看病に訪れた妹のフレイアに自らの想いを告白し和解、竜機兵チームの一員になることを決意する。後日、正式にチームの一員になったフレイは重武装を施した支援機<ドラタンク>の操者となる。フレイアも竜機兵<ヴァンフレア>の操者として改めて加わり竜機兵チームの戦力は大幅に向上し、彼らを中心とした部隊を『聖竜部隊』と呼称するようになった。そんな状況において聖騎士に任命されていたハルトの叙勲式が執り行われ、各貴族から縁談の申し出が幾つも舞い込む。聖騎士はその特性上、伴侶を複数持てる階級であった。このゴタゴタでハルトはティア、クリス、フレイア、シェリンドンの四人を妻に迎えることになったが、新婚生活を楽しむ間もなく新たな任務が聖竜部隊に下されるのであった。
<サイフィード>と<ベルゼルファー>が死闘を繰り広げた第四ドグマには飛空要塞<フリングホルニ>が依然として駐留していた。休戦協定が結ばれたにも関わらず王国内に留まる<フリングホルニ>の責任者【シリウス・ルートヴィッヒ】と接触するため聖竜部隊は完成したばかりの大型飛空艇<ニーズヘッグ>で出撃した。船長のシェリンドンを始めブリッジクルーは彼女の研究室のメンバーが務める。彼女たちは<ニーズヘッグ>を設計したチームでもあった。エーテルフェザーという次世代型飛行ユニットを搭載した<ニーズヘッグ>は、従来の飛空艇とは一線を画する性能を誇り短時間で<フリングホルニ>に接触する。シリウスの希望によりハルトは彼と一対一で面会する。そしてシリウスの正体が前世の親友【黒山修】である事実を知る。結果としてシリウス達はアルヴィス王国に亡命する事となり<フリングホルニ>は『第七ドグマ』と名前を変え聖竜部隊の基地としての役割を持つに至った。
それから間もなくして南国のシャムシール王国がアルヴィス王国に宣戦布告し聖竜部隊が派遣され戦闘が開始される。<ニーズヘッグ>のカタパルトから射出され砂漠の大地に降り立つハルト達の前に立ちはだかったのは、ハルトやシリウスと同じ転生者により構成された部隊『エインフェリア』であった。隊長【ジン・スパイク】が駆る<モノノフ>、【ロキ・エルム】の<フェンリル>、【ノイシュ・ローズ】の<ドゥルガー>、【ヤマダ】及び【ヒシマ】が搭乗する<ハヌマーン>との戦闘が始まる。竜機兵チームとエインフェリアの戦いは痛み分けに終わり、戦場にシャムシール王国の国王【カーメル・ネロ・シャムシール三世】が操縦する黄金の装機兵<クラウ・ラー>が現れる。この戦いの真の目的は転生者たちの力で竜機兵操者たちのレベルを押し上げる事であった。聖竜部隊はカーメル三世に連れられシャムシール王国の都市オシリスに移動し、そこで彼から驚くべき真実を打ち明けられる。
カーメル三世が告げたのは、テラガイアは遙か昔に起こった戦争によって崩壊した惑星をある科学者集団が再生させたものであり、その再生システムの中枢【システムTG】がテラガイアの環境を調整しているという事実であった。そしてテラガイアは現在の三年前から一年後の四年間を八百四十二回繰り返していて、この四年の間にテラガイアでは戦争が起こり経緯は異なるものの最終的に凄惨な結末とテラガイアの崩壊が起こり、システムTGが膨大なエネルギーを使って時間を巻き戻してきたという。一方、惑星を再生させた科学者たちは自らを小型の機械――ナノマシンで不老不死の身体に作り変えており、テラガイアに生きる新人類を監視する組織『クロスオーバー』を立ち上げていた。八百回以上も自滅を繰り返してきた新人類に対してシステムTGは最終手段として上位世界から転生者を呼び、クロスオーバーは自分達が戦争を裏からコントロールし最終的には新人類を完全統治する道を選んだ。ハルトは自分がテラガイアに転生した理由を知り、この世界を破滅のループから脱出させる為に戦うことを誓う。カーメル三世の話が終わるとオシリスをクロスオーバーの一人【アザゼル】が操る大型装機兵<ナーガ>が急襲する。その目的はループを繰り返すテラガイアにおいて唯一記憶を維持しているカーメル三世の抹殺であった。オシリスを守る為に竜機兵チームとエインフェリアは共同戦線を張る。装機兵のレベルを超越する<ナーガ>に苦戦するもハルトは<サイフィード>の新たな術式兵装『黄金の園』――ナイト・オブ・アヴァロンを使用して破壊する事に成功する。こうしてアルヴィス王国とシャムシール王国は同盟を結び、カーメル三世は<クラウ・ラー>の設計データをマドックに託した。<クラウ・ラー>は世界がループを始める前の最初の時間軸において竜機兵の戦闘データを用いて開発された機体であった。マドックとシェリンドンはそのデータをもとに新型竜機兵の開発を開始するのであった。
両国が同盟を結んで一ヶ月以上が経過し平和な日常が送られていた。だが、そんな平和は天空から舞い降りた破壊の天使たちによって呆気なく終わりを迎えた。クロスオーバーが開発した熾天機兵の二機<シヴァ>と<ブラフマー>、それに加えて量産機<サーヴァント>が数十機。それらの戦力によって第一ドグマの地上施設と王都アルヴィスは火の海と化してしまう。竜機兵チームは出撃し侵入した敵部隊の破壊に向かう。王都に向かったハルトが目の当たりにしたのは、炎に包まれる町並みとそこに鎮座する<シヴァ>であった。ハルトはシオンの<シルフィード>、恩師ランドの<ウインディア>、ガガンの<ガガラーン>と協力して王都内の敵を殲滅しようとするが<シヴァ>の戦闘力は圧倒的であり苦しい戦いを強いられる。さらに混乱に乗じて地下から巨大な装機兵――妖精王<オーベロン>が姿を現わす。その内部にはアルヴィス王国の大臣【ジュダス・ノイエ】と生体ユニットとして組み込まれたティアがいた。ジュダスの正体は転生者であり、その知識をもとにゲームでもラスボスの一機であった<オーベロン>を見つけ出したという。この混沌渦巻く状況下でハルトは恩師であるランドを失い、自らも<オーベロン>に敗北し<サイフィード>は大破してしまう。竜機兵チームは敗走し彼らを載せた<ニーズヘッグ>は第七ドグマへと撤退した。
一命を取り留め意識を取り戻したハルトは絶望的な状況と自分の無力さ、そして大破した相棒の無残な姿を目の当たりにし挫けそうになる。しかし、ティアを助けたいという想いと仲間たちに支えられ再び戦う意志を灯らせる。マドックとシェリンドンはそんなハルトに完成したばかりの新型機――聖竜機兵<サイフィードゼファー>を託す。ハルトは<サイフィード>のドラグエナジスタルを<サイフィードゼファー>に収め聖なる竜機兵は起動した。そして王都を占拠するジュダスと彼に協力するドルゼーバ帝国の大部隊を相手に<ニーズヘッグ>と竜機兵チームが王都に乗り込む。ハルトと仲間たちは必死にティアに呼びかけ、彼女を<オーベロン>から救出する事に成功する。そして――。
「行くぞ、相棒!! 聖竜合体!! カイゼルサイフィードゼファーーーーーーー!!!」
<サイフィードゼファー>は支援機の<カイザードラグーン>と合体し聖竜機皇<カイゼルサイフィードゼファー>となって<オーベロン>との決戦に臨む。
「ジュダス! 同じ転生者としてお前がやった事は絶対に許さない!! これで決着をつけてやる。ドラゴニックウェポン……エーテルエクスカリバー!! ツインドラゴニックエーテル永久機関フルドライブ! 術式解凍――キング・オブ・アヴァロン!!!」
新たな黄金の園『キング・オブ・アヴァロン』によって妖精王は消滅しハルト達は王都奪還に成功するのであった。
そして、戦いはドルゼーバ帝国だけでなくクロスオーバーも加わり激しさを増していく。機械仕掛けの竜騎士たちの戦いはまだまだ続くのであった。