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漂泊のベノス  作者: ism
【第四部・王都決戦編】

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81/118

ハーズメリア城上空の死闘

巨人の眼から放たれる光線は、ザンデロスとメレラに絶え間なく降り注ぐ。


「なっ?!何やってんだあのバカ!」

ザンデロスは光線を紙一重でかわしつつ、ゆっくりとこちらに向かってくる光の巨人に目をやる。


「くっくっくっ…背負った宿命に突き動かされ、もはや敵味方の区別もつかなくなったか。実に滑稽だ」

メレラは巨人が放つ光線を結界で防ぎつつ、一瞬気をとられたザンデロスを見逃さなかった。

深紫の翼の背後のどす黒い召喚穴から顔をもたげる複数の異形な魔物の首が、ザンデロスにむかい一気に伸びた。


隙をつかれたザンデロスは召喚穴から飛び出して迫り来る巨大な蛇とも蜥蜴ともつかぬ魔物を迎撃するも数に押されてしまい数匹に巻きつかれ、身体の自由を奪われた。

「ぐっ…!離しやがれ!」

拘束を解くべく全身から業火を放つザンデロス。

異形の魔物を瞬時に消し炭にしたものの巨人の放つ光線への反応がわずかに遅れてしまった。


「ぐあっ!」

光線がザンデロスの左肩を貫く。


が、ザンデロスは即座に体勢を立て直し集中力を極限まで高め、被弾した左肩の具合・次々と降り注ぐ巨人の光線の軌道・メレラの次の手を瞬時に見極める。


分厚い結界を展開、巨人の光線をかわしメレラの魔法攻撃を弾き飛ばしつつ反撃を加える。

左肩を負傷した直後、1秒にも満たない攻防。


「さすがは白竜公。あの攻撃を受けながらこちらにも即対応するとは」

メレラは敵ながらザンデロスの戦闘における瞬間的な判断力・対応能力を讃えた。


「涼しい顔してるが、かなり消耗してるのがバレバレだぜ?」

ザンデロスは追撃しつつメレラに言葉を返す。


異界に通ずる穴を維持しつつ呼び出した複数の異形の魔物を使役。さらにメレラ自身もザンデロスの結界を数撃で消し飛ばすほどの攻撃魔法を放ちながら防護結界をはりつづけている。

ザンデロスの読み通りメレラの消耗は激しい。

しかしそれはザンデロスも同様だった。


「ふふふ、互いにな。先に魔力の尽きた方が死ぬ、ということだ」

メレラの言葉にザンデロスは強く吐き捨てる。

「死ぬのは間違いなくテメェだけどな!」


巨人もこちらに歩みを進めながら攻撃をゆるめない。


メレラと巨人ラブロウの双方に最大限の注意をはらいながら戦闘を続けるザンデロス。


だが突然、巨人が大きくバランスを崩し地面に倒れ込んだ。

ずぅぅんと地響きが鳴る。


ザンデロスはメレラと攻防を展開しつつ、数キロ先の蟻が運ぶものも判別できる竜の眼をもって巨人とその周囲に目を凝らす。


「ベノス?!」

巨人の足元には、竜族の魔法剣を携えたベノスの姿があった。


「いい加減しろ。この魔法猿が」

ベノスは久々にラブロウへの蔑称を口にする。


巨人の足首には深々と刻まれた斬撃。

しかし傷は急速に塞がっていく。


巨人はゆっくり身体を起こしながらベノスの方に顔をむけはじめた。


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