表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
漂泊のベノス  作者: ism
【第四部・王都決戦編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/114

ランドワームとの攻防

ブラックドラゴンの群れが融合の末に変貌した巨大なランドワーム。

先端には大きな穴のような口が、木も瓦礫も周りのものは無差別に飲み込んでいく。


デズオンは苦虫を噛み潰したような表情で呟く。

「メレラの魔力がここまで…よもや、これほどの数のドラゴンをさしたる魔道的儀式も経ず容易く合成獣へと変えるとは…!このデズオン一生の不覚!」


ハーズメリア城上空に舞い上がったメレラを追い、相対するザンデロス。


「こんなもんに頼ってねえで俺とサシでやり合えよメレラ!」

「もちろんお前とはここでケリをつけてやろうザンデロス。だが邪魔なお前の手下どもを放っておく訳にもいくまい。ついでにランドワームをさらに肥え太らす血肉となってもらう」

その言葉と同時に、なんびとも近づくことは出来そうにない強力な魔力を放射しながらぶつかりあうザンデロスとメレラ。


「なんてデカさだ…!」

一方、ランドワームの下敷きにならぬよう王宮を出て少しでも距離をとるため懸命に駆けるベノス。


「ベノスー!」

青い竜が上空からベノスに向かってくる。エルトロだ。


エルトロに気づいたランドワームの巨大な口が、猛スピードで後方から迫る。

「エルトロ!来るな!」


高速でベノスのもとへ飛行し、ベノスを拾い上げようとしたその瞬間。


ランドワームの口がエルトロとベノスを丸呑みにした。


「エルトロ!!ベノス殿!!」


キーラの声が響く中、ランドワームはすぐさま標的を変えデズオンに向かって突進する。

だがデズオンは紙一重でかわし、王都の外周に広がる森林の方へ誘導する。

木々を薙ぎ倒しながらデズオンを追撃するランドワーム。その巨体から考えられないスピードで追い縋ってくる。


「キーラ!ルドレオルザ!近づくでない!お主らの飛行能力ではすぐに食いつかれる!上空で待機せい!」


ハーズメリア城および王宮や城壁、無人の王都の街並みはランドワームの巨体が猛烈な勢いで這いずったためにまるで大災害に見舞われた後のような状態となっている。


「でえぇい!!」

気合いととも巨大な刃のような凄まじい雷炎を放つデズオン。


ランドワームの体表を焼きながら引き裂き、黒い体液が噴出する。だが攻撃やダメージをものともせずデズオンに迫る。

すんでの所で回避し丸呑みは免れたものの、ランドワームの巨躯が竜化しているデズオンの赤い身体をかすめ、デズオンは勢いで吹き飛ばされる。


なんとか空中で体勢をたて戻し、次の攻撃を加えようと魔力を集中しようとしたその時、ランドワームが異変を起こす。


まるで癇癪を起こしたかのように巨体を波打たせ、身体の先端を何度も地面に叩きつける。

ズーン、ズーンと、とてつもない地響きが起きる中、ランドワームの腹部がボコリと盛り上がる。


盛り上がった部分に亀裂が走ったかと思うとそこから大量の体液とともに何か飛び出す。


ベノスを背に乗せたエルトロだった。


エルトロはそのまま上空まで一気に浮上する。


「よっしゃあ!」

と、ランドワームの体液にまみれエルトロが叫ぶ。

ベノスのマントも体液で黒く染まっていたが、込められた魔法の力か、バサっと翻すともとの白銀色がもどった。

「それにしてもなんて分厚さだ!斬っても斬っても前が見えなかった!」


「一緒に飲みこまれてくれて助かったぜベノス!俺だけじゃランドワームのフンになってたって!」背に乗るベノスに感謝するエルトロに

「こんなデートは金輪際勘弁してくれ!」

と軽く返すベノス。


キーラとルドレオルザ、デズオンが上空へ舞い上がったエルトロとベノスのところに集まる。

「エルトロ!ベノス殿!大丈夫?!」

「あぁーすぐにでも風呂に入りたいよホント」

キーラの心配に体液まみれのエルトロが言葉をかえす。


「さしもの怪物もかなりのダメージを負ったのでは」

ベノスの期待もよそにデズオンはランドワームに目をやって言う。

「いや、あれをご覧に」


ランドワームの傷はみるみる塞がりはじめ、瞬く間にもとの状態に戻ってしまった。


「あらら〜骨が折れる相手だわこりゃ」

エルトロはため息まじりに呟く。


突如、ルドレオルザが真っ先に何かに反応する。

「デズオン様!何かがこちらに向かってきます!」

ルドレオルザのさす方角から高速でこちらに迫る光球を確認する一同。


「な、なんだぁ?!」

驚くエルトロ。しかしデズオンは瞬時に察する。

「…!来なさったか!」


ランドワームもその巨大な光球に気づき、それにめがけ突進する。


激しく衝突するランドワームと巨大な光球。


二つがぶつかった衝撃は凄まじく、ベノスらの眼下に広がる森の木々が土ごと捲れ上がる。



その衝撃はハーズメリア城上空で激しく攻防を続けていたザンデロスとメレラにも伝わっていた。


ザンデロスはメレラに向け強力なブレスを吐いたあと、ニヤリと呟く。

「….待たせやがってあのバカ」

気づいたメレラもわずかに表情を曇らせる。

「異空間で死に切れずわざわざ殺されに現れたか」


光球は、鎧を纏った巨大な騎士のような姿となり、ランドワームを力任せに地面に叩きつけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ