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二泊三日

作者: 田中浩一

 中学生最後の夏休みに、母方の実家、鹿児島へ一人で帰る、その前日に母が、

「あのさ、お父さんとお母さんさ、あんたが二十歳になったら、離婚するから」と、まるで携帯キャリアを他へ移すわ、的な感じで突然言われた。

僕が、小学生の頃、父が浮気したのは知っている。それから、家庭内がギクシャクしてるのも、わかっている。

そうか、あれだ!「和尚憎けりゃ袈裟まで憎い」というやつ。

僕が、母さんに口答えする度に、

「あんたのそういうところ、父親にそっくり!」と言われ続けてきた。

父が憎いから、そっくりな僕も同じように憎いのだろう。

「母さんと父さんは、出逢ったときにすでに、『さよならの種』を育てていたんだわ」

そう言われても、僕には母が、単なるドラマのヒロインになりたがってるようにしか思えなかったけれど。

高校受験を控えた、この時期だからこそ、効果覿面(こうかてきめん)だと思ったんだろう。

 苦しめたいんだ、父の代わりに。


 翌日、朝早く東京を出た僕は、夜まだ明るいうちに鹿児島中央駅に着いて、そこからローカル線に乗り継ぎ、加治木駅に着いた。

小さな駅では、駅員さんが切符を受け取ってくれた。

「マサ君、こっちこっち!」

 僕を呼ぶ声に振り向くと、同い年のいとこの、サクラがベンチから立ち上がるところだった。

「ひさしぶり、大きくなったね」

 まるで、親戚のおばさんみたいな、物言いだけど。

「もう、5年以上だもんね。バスケで鍛えたから、伸びたのかな?」

「えぇ、そうかぁ、あたしの友達にもバスケしてる子いるよ。会わしたいなぁ。うちの近所の公園に、3オン3のコートもあるしね」

 サクラは僕の横に並びながら、僕の肩までしかない身長を伸ばし加減で、喋ってくる。

「これで帰るよ」

そう言って、手で指し示すのは、一台の自転車。

「えっ?二人乗りってこと?」

僕が、訊くと、

「大丈夫。鹿児島は都会と違って、お巡りさん、優しいから」そうなんだと、サドルを跨ぐと、サクラが荷台に座る。

紺色のジャージから、膝小僧が覗く。

「さぁっ、飛ばしていこう!」

サクラが言いながら、僕の腰に手を回してしがみつく。

「そんなに飛ばさないよ」

そう言いながら、僕の全神経は、背中に当たるサクラの胸に集中。5年の月日の経過を感じる。

走り出してまもなく、サドルの上も、窮屈になり始め、この苦痛と快楽はいつまで続くのかと思いながら、10分。

「とうーちゃーく!」

後ろが軽くなる。サクラが、飛び降りたのだ。

長めのTシャツで、できるだけ股間を隠して、玄関に立つ。

裏方に、自転車を片付けてきたサクラが横にならんで、チャイムを押す。

「何で自分チなのに」

思わず笑うと、

「だって、新鮮なんだもん」と、はにかむサクラ。

「はーい」

伯母さんの声。

引き戸がガラガラと音をたてて開くと、伯父さんと伯母さんが顔を出した。

「来たそうそう悪いけど、お墓に、お迎えに行くから。これもって」

さすが、母の姉だなと思わずにはいられない、テキパキしている。

その伯母が差し出したのは、提灯だった。

「迎え火ね」

サクラが言う。

「もう、ろうそくじゃないから、消えないのよ。心配しなくていいから」

伯母さんの言うとおり、覗き込むと、豆電球が付いていた。


 よく晴れた、夜だった。満月に近い月が金色の光を放ちながら、我が物顔で空に君臨していた。

緑の葉をそよがせながら、畦道(あぜみち)の周りに広がる田んぼが、囁き声で唄っている。

僕とサクラはいつの間にか、伯父さん伯母さんから遅れをとっていた。

それと言うのも、サクラがやたら道草を食うからで、

「あっ、蛙だ」だの「バッタだっ」だの「この緑の田んぼにダイブしたら気持ちいいかな?」などと、いちいち立ち止まっては、話しかけるものだから、短い時間のロスが積み重なって、10メートルは離された。

「サクラはお墓の場所は知ってんの?」僕が訊くと、

「モチのロン!」と答える。実は年をごまかして、中学三年生をしてるのではないかと思うほどに、昭和臭がする。

「それって、誰の受け売りなんだよ」

僕が笑うと、

「学校じゃ受けるんだよ。温故知新ってやつだよ」屈託なく笑う。東京の子と違うなぁって、刹那に思う。

肩に掛からないほどの長さの、揃えたおかっぱで、前髪を上げてピンで止めている。月明かりにも、色が白くて、二重の瞳が眠そうなくらいにくっきりとしている。

小学生の頃はよく、「サクラは眠いのか?」と、からかったりしていたけれど、今はそれが魅力になってるな、と思う。

「サクラは、モテるだろ?」

素直な質問。

「お箸より重いものは、持ったことないわ」

こいつは、歳、誤魔化してるぞ、と思う、この夜。

「遅れてるぞっ、走るか」

「うえっ!まじかっ」

 なぜだかビーチサンダルのサクラの、ペタペタと、沼から上がって来たカッパのような足音を、心地よく聴いていた。


 加治木中学校裏の、墓地に着く。

入り口のキー付きの蛇口で、金のバケツに水を汲み、狭い墓の間をすり抜け、御神木だろうと思われる、胴廻り2メートルはあるだろう、せんだんの樹を左に折れて、お墓にたどり着く。

ひととおり掃除も済んで、昔なら、墓前のろうそくの灯火を、提灯の中のろうそくに移すらしいけれど、今は形だけで結局、提灯下部のスイッチをいれると、電球が煌々と灯った。

「さっ、ご先祖様と帰るわよ」

無口な伯父さんも、伯母さんのその台詞に、笑う。

ろうそくの火が運ぶ途中に消えるとまた、お墓からやり直しだったんだよ。と伯父さんが教えてくれた。風の強い日は、大変だったろうなと、想像してみる。

電池が切れることなく、無事に家にたどり着く。そよ風が吹く夜とはいえ、夏の夜の行軍は、しとどに体を汗で濡らした。

ろうそくのゆらゆらした灯りに照らされた、ご先祖様の遺影達のそばに、明かりをつけっぱなしの提灯を、梁に掛けた物干し竿にぶら下げる。

「昔は、天井板がなくて、梁に直接掛けた、竹にぶら下げてたんだ」

伯父さんが言い、その頃は、提灯の数も多かったんだよとも、教えてくれた。


入れ物からして、回転寿司から買ってきましたとわかる、お寿司をつまんで、僕らは食事を終えた。

伯父さんと伯母さんは、お酒が入った。僕の両親も、鹿児島に来れば、こんなにゆっくりと仲良くなるのかな。

そんなことを思っていると、サクラが耳元で囁きかけてきた。

「ねぇ、川向こうの、春日公園にある3オン3に行こうよ」

時計を見れば、8時30分。

「バスケットボールって、衝くと結構、でかい音がするから近所迷惑なんじゃないかな?」

「大丈夫。周りはオール田んぼさ」

僕らは、つまみとお酒にほろ酔いの、昔話に花を咲かせる伯父さんと伯母さんを置いて、こっそりと家を出た。

春日橋を渡って一車線の舗装されてない道を少し行くと、左に公園が現れた。

まさに「現れた」感じで、田んぼの中に造成された公園で、緑のフェンスに囲まれて、奥には滑り台やジャングルジム、ブランコなど一通りの遊具は揃っていた。

その入り口近くに、バスケットボールのコートがあり、地面は濃紺に塗られていて、ボードもリンクも網も、真新しくて、久しぶりにやる気が湧いてきたところで、

「あれっ、サクラ、ボールは?」見るとサクラは手ぶらだ。

「大丈夫。来てるから」

そう言われて、コートを見れば、ボールをドリブルしている、女の子が一人いた。

さっきまでは、音すら気づかなかったのに、どこにいたんだろうと、思ったけれど、その時は深く考えずにいた。

(かえで)ー!ひさしぶり!」

サクラの声に、楓と呼ばれた女の子は、こちらを振り返った。

月夜に蒼白く、立つ姿の少女は、この世の人とは思えないほど、清楚に見えた。


油断していた。

女子だし、背も高くないし。だけれど、あっという間に、ダブルスコアになった。

その後は、点数を数えることをやめて、自動販売機にジュースを買いにいったサクラのせいで、うやむやになったけれど、だからこそ、助かったとも言える。

数えられてたら、立ち直れなかったかもしれない。

バスケだから多少の体の接触はあるのだが、楓は上手くすり抜ける。と、言うか、まるで空気のように僕の体を、スルーするような感じだった。

当たるっと思った瞬間、まるで暖かい空気のなかに、僕の体が包まれ抜けるような感じだ。

とにかく、惨敗だった。

楓は サクラと同じおかっぱで、前髪も同じく上げて、ピンで止めていた。だけど、顔に貼り付く部品が違うのか、同い年とは思えないほど、大人びて見えた。

そんなだけど、全体を見ると華奢で小柄な彼女はさしづめ、大人顔の小学生って感じに見えた。

小一時間も経ったろう、汗びっしょりになった僕と楓に、サクラがペットボトルを投げて寄越した。

「サンキュー」

僕の声。

「ありがとう」

初めて聞く、楓の声。幼い感じがした。

「バスケ、上手いね。ミニバスケとかしてたの?」

僕が訊くと、楓はペットボトルを持ってないほうの手で、おでこから顎まで汗を拭いながら、

「うん。小学生の頃はやってたよ」そう答えた。

小学生と中学生は、一年違いでも、大きな差があるのは知っているから、やっぱり楓の喋り方は、幼く感じられた。

「中学じゃ、どうだった?良いところまでいったんじゃないの?」

もちろん、バスケが一人のエースで、全戦全勝することなんてあり得ないことは知っているけれど、訊いてみた。すると、楓は黙ったまま、ペットボトルを飲み続けていた。

何か気に触ることでも訊いたかと、次の言葉を探していると、

「もう、10時だよっ、帰んなきゃ!」とサクラがすっとんきょうな声を上げるから、僕と楓は思わず吹き出して、笑った。

「家まで送るよ」

僕が当然のように言うと、

「あっ、大丈夫」そう言って楓が、軽く断る。

僕がサクラに、送った方がいいよな、と同意を求めると、サクラも、

「あぁ、楓は大丈夫だよ」と、にべもない。マジかよと思いながら、無理強いもしつこいかと思ったので、じゃあねと、手を振って別れた。

それでも、気になって振り返ると、そこにはもう、楓の姿はなかった。

田んぼの中の一本道。月明かりの下、遠くまで見渡せるのに、だ。

「足、はやっ!」

僕が言うと、

「マサ君、楓、美人だったでしょ?」いきなり訊いてきた。

ひょっとして、楓をそんな目で見ていたのかと、変な汗をかきながら、

「う、うん。サクラとは趣の違う、美人だったね」小難しい言葉を使って、サクラへのフォローも忘れない、なかなかの返答だ、と自画自賛する。

「美人とオッパイと、どっちが好き?」

女の子らしからぬ質問に、思わず自転車の二人乗りを思い出す。

「おっきくなくても、いいんだよね。だって、年取ると、2枚の『ナン』みたくなるじゃん。ほら、インド人が食べる、あれ。だから、美人かな」

いとこだからか、僕らの会話に遠慮は、ない。

「見た目か。マサ君はさ、女に騙される口だね」

「な、なんで?」

「女は顔じゃないよ。心だよ」

お前は寅さんかと、ツッコミたい。

「この世のものではないほどの美人、だよ」

噛んで含んだ物言いに、なんか引っかかる。

「それって、楓が幽霊ってことか?」

半笑いで訊くと、

「やっぱり、気づいてた?」とサクラ。

「冗談だよ。だって、幽霊にしちゃ、足もあったし、びっしょり汗もかいてたよ」

ベタな返事だとは思ったけれど、さっきまで、リアルにバスケをしていたんだから、仕方ない。

「幽霊だって、足がないと歩けないし、夏だから暑いし汗もかくさ」

サクラによっぽど、お前は幽霊博士かっ、と言ってやろうと思ったけれど、その真剣な顔を見て、やめた。

「マジでっ?」

改めて、尋ねる。

「マジでっ」

上目使いに、決を下す。

訊ねる言葉を探していると、やがて春日橋にたどり着く。その中程で、それまで黙っていたサクラが急に、

「あたし、誰か、わかる?」と訊いてきた。

「だ、だれって、サクラだよ、な?」

その時、気づいた。目付きが、違う。まさか、楓の幽霊に憑依されたのか?

「あたしさ、死ぬ前に、忘れ物がたくさんあって。ひとつだけ、取り戻せそうなんだ。お願いできるかな?」

声まで楓に聞こえてきた。

「あっ、僕で、できる、ことなら」

恥ずかしいくらい、しどろもどろで答える。

「ありがとう」

そう言うと、僕の首に両手を回して、キスを、された。

まるで、水中に潜ったように、あらゆる音が、消えた。

ただ、お互いの、微かな息遣いと、心臓の音だけが、伝わった。

僕は、両手をどうしたらいいのか、とりあえずサクラの、今は楓の、背中に廻して、抱き締めるでもなく、引き寄せるでもなく。

町の観光地、龍門滝から流れ来る、川の流れに夜空が映る。流れに逆らうように、雲はその場に、留まっていた。

離れるまで、もったいないからそのままでいた。

長い、キス。

離れると、サクラはクスッと笑ったみたいだったけれど、それは、あとから気づいたことで。

「マサ君は、やっぱり、騙されやすいよ」

小声のサクラの声は、カエルの雨乞いの唄にかき消された。

僕は、この世に、呼び戻された


お盆の中日は、朝から伯父さんと伯母さんに連れられて、最近出来たという大型デパートに行った。

伯父さんが、

「こんな田舎で、ジャージにサンダルじゃ行けないお店ができたのには、ビックリだよ」と言わしめたデパート。2期工事が済めば、映画館も出来てしまうらしい。

「 この町も、ここだけ都会並みよ」

サクラが僕を見て、笑う。

そうだねと、言うと、

「マサ君も、こっちに住んじゃえばいいのに」と目を合わせずに言う。

なんだか、僕の心を見透かされてるような気がした。

あの親から、離れられるなら、引っ越すか。そう、考えてまた、でも、それが正しい選択なのかと、堂々巡りを繰り返す。

答えは、出ない。


夜。

 伯父さんと伯母さんが、

「今夜はちょっと二人で、出掛けてくるね」と、まるで、少年少女のはにかみ顔で、出掛けていった。仲の良いのは良いことだけど、若い男女を二人きり残していくと言うのは、如何なものか。三連休の中日だから仕方ないか。休みは明日までだし。

僕が、信頼されてるってことかも。


夜8時30分。

「今夜も、行くか?」

サクラが、すっかり外着に着替えて、目の前に立つ。

「行く気、満々じゃん」

僕は、そう言いながらも、昨夜のことが気になったので、

「楓に会ったら、どんな顔をしたらいいかな?」と訊ねてみる。

「それって、昨日の、キスのこと?」

「う、うん」

「あれ、マジに楓があたしに憑り依いてしたと、思ってる?」

サクラのいたずらっぽい顔を見て、

「嘘かっ?」僕が訊くと、頭を傾げて、じっと、なにも言わず見つめてくる。

嘘だとしたら、あのキスはサクラの気持ちなのか?

「じゃあ、楓も生きてるのか?」

わざと訊きたいことを、入れ替える。

「それは、ない」

あっさりと、しっかりと答える。

僕らは結局、今夜も幽霊に会いに、出掛けた。


公園には、誰もいなかった。5分、10分待ったが、楓は現れない。

「風邪引いたかな?」

サクラが当たり前のように言う。

「幽霊が夏風邪?」

「だって、昨日、あんなに汗かいてたし」

「足もある、汗も掻く、風邪もひく、か」

僕の幽霊に対する認識が、更新されたところに、

「『幽霊の本当の話』に、書いてあったわ」とサクラが大真面目に言うので、

「お見舞いでも行くか?」と冗談で言うと、

「うんっ、行こう」と即決、速攻で僕の手を引っ張って、走り出した。

いざ、実行となると、亡くなった娘を持つ、ご両親になんて挨拶したらいいのかと、戸惑う。

着く前に、なんとか考えようと思った。


一本道がやがて、舗装路になり、同じような家々が建ち並ぶ区画に、着いた。

横並びの家の前を二人で歩いて行くと、そこだけポッカリ穴の空いたように、家のない空き地があった。

縦に長い長方形の空き地は、膝丈の雑草が生い茂るなかに、不動産屋の「売地」の看板と「ここで糞をさせるな!」の看板を見ることができた。

「ここか?」

僕は、すでに答えの出ていることの確認を、する。

「そう。火事で」

そう言うと、サクラは黄色と黒のまだらのロープの、上下2本の間をくぐって、内に入る。

僕も続けて、くぐる。

すると、空き地だった目の前の景色が、一変した。

僕の目の前には、楓の家の風景が広がっていた。

AR、バーチャルリアリティー。そんなものより更にリアリティーをもって広がる、目の前の世界。

隣には、僕の手を握って離さない、サクラが佇んでいる。

家の中の居間だろう。テレビがあり、ソファが一対、部屋の中央に構えていた。

その向こうに、白いポリタンクを両手で抱えた、楓が立っていた。

白いワンピース姿。裸足の白さがリアルだ。

他の家族は居ない。

ポリタンクを透かして見えるのは、ピンクの液体。

泣いていた。楓は泣いていた。

泣きながら、ポリタンクの蓋を開けると、ピンクの液体を撒き散らし始めた。

自分にも、掛かるけれどお構いなしに、居間が終わると、短い廊下に出て、キッチンへ行き、玄関に戻るとすぐ横の階段を上がる。

液体はそこで、底をついた。

ポリタンクを階段の中程に置くと、手の中に持っていた、ライターを点けた。

僕の手を握るサクラが、ブルッと震えたようだ。と、同時に、辺り一面、あっという間に、火の海になった。火は炎になり、黒煙と熱風を伴って、竜となった。

僕らは煙くもなく、熱さも感じなかった。

場面が変わった。楓の2階の自室だろう。ベッドに腰掛け、スマホを操作している。

机の上の時計が、8時を少し回ったことを知らせていた。

「お父さん。あたし、楓。ごめんなさい。今、おうちに火を点けたの。お父さんが大変な思いで、たくさんの嫌な思いをして、働いて働いて、家に帰ることもなく働いて、買ったおうちに、火を放ったわ。ごめんなさい。寂しかったの、あたし、すごく寂しかったの。ひとりで死ぬのは寂しいから、お父さんの大切なおうちと、行くね。ありがとう、いままで。さよなら」

僕と同じだ。僕も、寂しかったんだ。

「楓・・・」

思わず声が出た。でも、聴こえないようだ。

「お母さん、楓。ごめんなさい。おうちを燃やしちゃった。でも、お母さんならわかってくれるよね?今までたくさん話したもんね。でも、結局、お母さんもお父さんとおんなじ。あたしのことなんて、仕事の次だった。

働かなきゃ、食べていけないのは知ってるわ。お休みの日は疲れてるのもわかってた。だけど、もっとあたしのことを、見て欲しかったの。 これって、わがままかな?あたしみたいな、わがままな子は、いなくなっちゃえば、いいよね。

さようなら。なにもかも、さようなら」

僕の頬から落ちる雫に、初めて泣いているんだと気づいた。

サクラの僕の手を握る手に力が入る、震えている。

楓も僕と同じ、寂しさのなかで生きてきたんだ。

自分の中の寂しさを、無理矢理納得させて、良い子であろうと頑張ってきたんだ。

ひとりぼっちで家のなかで、話す相手は縫いぐるみで、本のなか、DVDの映画のなかに、自分を投影しては、その場をやり過ごした。

その繰り返しに、疲れたんだね。だって、生きてる意味を感じられなくなるもんね。

一番大切で、喜んで欲しい、叱って欲しい、一緒に哀しみ、楽しい気持ちを分け合いたい父も母も、振り向いてはくれなかったんだね。

僕の見る世界が、歪んだ。

涙に歪んでそれでも、やらなきゃならないことは、わかっていた。

僕が、父と母にして欲しいこと。きっと彼女もして欲しかったこと。今、この最後の時に、僕が、してあげられること。

「いっちゃダメっ」

サクラの声が、背中で聴こえた。

サクラから離した手を、すでに火の手のあがる部屋のなかで佇む、楓に伸ばす。

楓の肩に触れると、楓が弾かれたように、顔をあげた。そのとたん、僕は、熱さと煙のなかに、放り込まれたようだ。

僕は、楓を抱き締めた。


目が覚めると、霞の中にいた。

しばらくして、それが自分のまつ毛で、目が開ききらずに霞んでるように見えていることに気付いた。

かといって、閉じることも出来ない。

喉と鼻の奥が痛い。腕にも痛みがある。近くで、定期的な電子音が聞こえる。

どうやら、病院のベッドに寝かされているらしい。

声が微かに聴こえる。伯父さんと伯母さんのようだ。

サクラは?

そう思ったとき、すぐ右胸の辺りから、サクラが顔を上げるのがわかった。

目が真っ赤だ。上げていた前髪も、今は垂らしてくしゃくしゃになっている。

「今、なんか・・・」

小さな、そばの僕にしか聴こえない声で、サクラが囁く。

意識が戻ったことを、敏感に感じたみたいだ。

声が出ない。体も動かない。

火事の中にいた。でも、皮膚の痛みはない。やはりあれは、幻覚だったか。

でも、楓の肩に置いた手に伝わる温もりは、本物だった気がする。

窓の外は明るい。お昼が近いような明るさのように感じられる。

サクラが、ちょっとした異常を知らせようと、伯父さんと伯母さんを振り向いたとき、大きな1枚ドアが、スライドして開いた。

父と母だった。

こんなに早く来たんだ、しかも、二人揃って。

驚きと同時に、ホッとしたような、嬉しいような気がした。きっと、楓の気持ちを知った後だったからだろう。

なぜだかその時、20歳まで二人揃って僕を、育ててくれるなら、そのあと離婚したって構わないかなと、思った。

サクラが離れ、父と母が交互に僕の名前を呼ぶ。チラッと見えた母の目は、赤く充血していて、化粧も落ち加減だった。

父も、いつもの会社の作業着のままだ。

とにかく、とりあえずここまで来てくれたんだ。

なんだか有り難くて、自分自身がまだまだ、子供なんだと思い知らされたような気がした。

伯母さんが、医者先生を連れてきた。僕の担当らしく、両親が来たら呼んでくださいと言われてたようで、サクラを残して、大人たち全員が、出ていった。僕の容態の説明なんだろう。

すると、サクラが、

「楓、楓」と呼ぶ声が聞こえ、

「わかってるわ」と楓の応える声。

「連れ出すわ、絶対死なせはしないんだから」

サクラが一度、僕の胸に顔を埋めて、そう言うと、傍らにあった折り畳みの車椅子を拡げた。

鹿児島大学病院は、山の上に建っている。それも、かなりの急坂が要所にある、その上だ。

サクラは、車椅子の後ろに足を掛けて、ほとんどノーブレーキで、その急坂を駆け下りる。

あのまま、病院で死ねたら幸せだったんじゃないかと思えるほどに、猛スピードだ。

後ろでサクラが体を傾けて、右に左に舵を取っているけれど、きっとほとんどが楓のポルターガイストよろしく念動力で、舵取りをしているに違いない。

あっという間に、路面電車の乗り場の駅に着く。

ドアが閉まる直前、滑り込んだ。

「今頃、病院は、右往左往の大騒ぎだわ。でも、まさか、あたしたちが加治木に向かってるだなんて思ってないはず。気付いた頃にはマサ君は、元気ピンピンになってるって寸法よ」

僕の耳元で、サクラが小声で囁く。言葉遣いは相変わらず昭和めいているけれど、何か策があるようだ。

確かにあのまま原因不明で入院してたって、仕方ないのだし、とりあえず、鼻と口の管が抜けただけでも、大助かりだ。

鹿児島駅から、JRに乗り換えてあとは、加治木駅まで一直線だった。

駅には、警察もそれらしき職員も待ち伏せてはいなかった。迅速な行動が功を奏しているようだ。

向かい合った椅子の間に、車椅子を押入れ、サクラが僕に喋り掛ける。

僕は、そのときもそれまでも、意識があっても、動けず喋れないのだし、瞬きもできずにいたので、サングラスを掛けられた。

そうすることで、意識不明の男を運んでいる不審者と思われることを、回避する目的だろう。

「いい。きっと聴こえてると思うから、これからの行動を教えとくわ」

サクラは、腫れぼったい目で語り出す。それでも、意思の固さが目から(ほとばし)っていた。

「あの、楓の家のあったところに行く。そこで、楓に持ってかれたマサ君の心を取り戻すの。あの場所でないと出来ないことなの。

幽霊にたぶらかされた心を取り戻すには、それ以上の愛で取り戻すしかない。って、『幽霊の本当の話』に書いてあるわ」

その本が、正しいことを、祈る。

僕は、切にそう願った。


加治木駅にも、追っ手らしき姿はなかったが、降りてすぐ、パトカーが乗り付けてきた。

相変わらずの猛スピードで、車と人の合間を走り抜ける。

楓の声が聴こえないのは、こういう状況になったことに、責任を感じてるからかもしれない。

お盆の送り火が始まる夕暮れに、僕らは楓の家の前に辿り着いた。


「楓は二人いるの。ひとりはここに。もうひとりは、このロープの中の土地に。生きてる人間も、精神が分裂して、いく通りの人格が共存するでしょ。楓も、怨みつらみの楓がここに残ってしまったのよ」

サクラは説明する。

「死んでしまって楓は、両親に対する、憎しみが消えてしまったの。だから、誰の助けも要らない強い霊なんだけど、分裂してしまった地縛霊の楓は、性懲りもなくこの世に留まってるわけ。こいつにマサ君は騙されたって訳なのよ」

ひとしきり解説が終わると、僕は、踏み締められた草の上に寝かされた。

お寺のお坊さんも、教会のエクソシストも呼んでないのに、サクラだけで大丈夫なんだろうか?「幽霊の本当の話」は、頼りになるのだろうか?


藍色の空が、広がっていた。西の山を見れば、真っ赤な血の色の空が、せせら笑っていた。

騙されたのはわかった。悪い方の楓なんだな。でも、その事を知ったからといって、同情し、楓の寂しかった時の気持ちとシンクロした僕の気持ちを上回る、「愛」とは?


サクラが、僕の横に添い寝する。

手を繋ぐ。

「前に聞いたよね、美人とオッパイ、どっちが好きかって。楓は、美人でさ、あたしは眠気まなこだし、体で勝負するしかないなって思ったの。だって、楓に勝ってるとこって、胸しかないし。

でも、よく考えたら、あたしはマサ君のこと、小さな頃から知ってるんだって気付いたんだ。たまに、帰省するだけのマサ君だけど、じっと見てると、いろんな事が見えてくるんだよ。

嘘をつくとき、鼻の頭を触る。興味のない話には、話の終わりの前に、相づちを打つ。タイプの女の子の前では、猫みたいに大人しい」

サクラの話に思わず笑顔になる。頷くことばかりで、動けるならば今すぐにでも、サクラを抱き締めたい。


動かない体、そして喋らない口に苛立ちながら、何としてでもという、思いが強くなる。

このまま、死んでたまるか、死んでたまるか、という思いが募る。

生きること、生き続けること、満足して死ねる人生。それって、なんだろう?

死ぬなんて、それまで考えみたことなかったけれど、必ず、死は訪れるんだ。みんな怖くて真剣には、向き合わないけれど、死は、常に寄り添い歩いている。

こんなに僕に一生懸命なサクラを、裏切れようか?


小さい頃に、サクラが僕に言ってくれた言葉を、ふいに思い出した。

「あたしさ、マサ君のお嫁さんになってあげるよ」

周りの大人はみんな、子供の戯言(たわごと)と笑ったけれど、僕は嬉しかった。

なぜなら、その時もう、僕は家のなかで、ひとりぼっちだったから。

「ずっと、マサ君のことが好きだった。最初は、都会の子っていう憧れから、そのうち優しくて面白くて、背だって高くなって、憧れからほんとに、ずっとそばにいて欲しいと思ったの。帰省する一年一度のこの日がとてもとても、楽しみだった」

サクラはそう言いながら、僕の上に乗ってきた。真っ直ぐ仰向けに寝ている僕に合わせて、真っ直ぐうつ伏せに、重なってきたのだ。

僕とサクラの間に、まるでふたつの水風船があるみたい。

あぁ、サクラ、大人になったな。

小学生の時、自分の胸を叩いて、

「ぼよよん、ぼよよんになれ!」と言っていたのを思い出した。僕は、望んでないのに。

でも、そうか、そうだった。

「サクラは、女なのにオッパイないな」

そう言ったんだ。

まだ、小さなサクラに、小さなバカな僕が。

それを覚えていたんだ。


キスをした。サクラが僕の顔を両手で挟んで、涙が僕に伝ってくる。

サクラ、サクラ、サクラ・・・。

いつしか、僕は、サクラを強く、強く抱き締めていた。


意識が戻って、明るい月夜のもと、サクラが上に乗っかって僕にキスをしていれば、血気盛んな若い二人で、いろんな事に興味津々で、多感な僕らに、ブレーキが利くはずもなく。

お盆の送り火の夜、僕らはひとつに結ばれた。


身繕いをして、二人ならんで仰向けになり、夜空を見上げる。

「ずっと、こうなれば良いと思ってた」

サクラが、夜空を見たまま、言う。

「僕でよかったの?」

考えてみれば、いとこなのに。

「マサ君じゃなきゃ、ダメだったの」

サクラが僕の方に、顔を向ける。

相変わらず、目は泣き腫らしていたけれど、念願成就した達成感からか、少し、落ち着いてきて、優しく見えた。

サクラが、スマホを取り出す。

「んぎゃっ、凄い数の着信とメールだわ」

「誰から?」

わかりきってるけど。

「主に、あたしの母さんから」

伯母さんの顔が浮かんだ。

 サクラは電話のリダイヤルを押す。押してすぐに、僕にスマホを放ってよこす。

「えっ、マジかよ」

1回の呼び出しで、伯母さんが出た。心なしか声が枯れているみたいだ。

「サクラ?サクラなの?ねぇ、今どこ?」

「あっ、えーっと、どうも今晩は。マサハルです」

電話の向こうが一瞬、静まり返る。

「えっ、えっ、えーっ!」

まるで、時報だった。


3回同じ事を喋って、ことの次第を呑み込めた伯母さんは、電話そっちのけで、周りにいるだろう人たちと喋りだした。

僕は、もう叱られないよと、スマホをサクラに手渡す。向こうが出ると、サクラは話始めた。

「詳しいことは帰ってから話すけど、とにかく、『幽霊の本当の話』、様々なんだからね」

きっと、そう言われても、あっちには分からないだろう。

僕らは立ち上がった。

少し、サクラがよろめいた。僕が、支える。

体に着いた草を払い、足元に散る、二人の契りの証を、見つめる。

「そういえば、まだ言ってなかったね」

僕の言葉にサクラが頭を傾げる。

「助けてくれてありがとう。大好きだよ、サクラ」

抱き締めて、今度は僕から、口づけた。


次の日は、朝から大学病院で精密検査を受けた。

一通り終わって、担当の医者先生の総評を訊く。

「どこも悪くない。これはマサハル君が、そのぉ~、この世に居ないときから一緒だけど」

話すと面白い先生かもしれないと、思った。

「何か、異常に気づいたら、また、病院に来れば良いよ。今回は、オールクリアだ」

そう言って、ドアの方を指すので立ち上がると、

「ひょっとしてほんとに、幽霊の仕業?」ボソッと医者先生が、言った。

そうなんですけどね。

僕は、心の中で呟いた。


父と母が待っていた。

僕らは、鹿児島市の海の近くにある、与次郎ヶ浜の、ザボンラーメンで昼食を取った。

「話があるんだけど」

畳席に座って、食べ終わる頃に僕は、おもむろに話始めた。

「僕だけ・・・、きっとそうなるだろうけど、僕だけ、鹿児島で暮らせないかな?つまり、こっちの高校に、行くことって、無理かな?」

父と母は、しばらく黙っていたけれど、

「暮らす場所を確保しないとな。お金のことは心配いらない。マサハルの思う通りにすればいいさ」父の言葉に、母は頷いていた。

3時を回る頃には、鹿児島中央駅にいた。

父と母は、東京に帰る。

仕事を放ってはおけない。確かに、働かなきゃ、誰も食べてはいけない。

今の僕なら、深いところで、その意味を理解できた。    

 新幹線のホームで父が、

「ごめんな、母さんと帰るけど、大丈夫か?」と言うから、

「うん、大丈夫。なんかあったらまた、サクラが生き返らせてくれるさ」そう答えて、僕ら3人は笑った。

「さっきの、話の答えは、急ぐことはない。今回のようなことは、そうそうあるわけじゃない。人は簡単には死なないようだし。でも、父さんと母さんに話してくれて、ありがとな」

父が、言う。

やがて、時間を知らせるベルが鳴り、父と母は、名残惜しそうに、乗り込んだ。

僕も、涙が出そうになるのを堪えていた。

新幹線が小さくなる。見えなくなるまで見送った。

見えなくなったのは、涙のせいもあるけれど。


加治木駅に着く。

「マサ君、ここ、ここ」

あの日のようにサクラが駅のベンチで、待っていた。

「ひょっとして」

僕は、やっぱりなと思った。

「二人乗りだよーん!」

やけに嬉しそうなサクラを後ろに乗せて、走り出す。

「イケイケゴーゴー!」

「バカっ、恥ずかしいからやめろよ」

「ねぇ、美人とオッパイ、どっちが好き?」

「オッパイに決まってんだろっ」

「マサ君のスケベ~」

ふたりは、周りを気にせず大声で、笑った。

家に着くと、玄関がすぐに開いて、伯母さんが、

「帰って早々、悪いんだけど、『送り火』やってなくて。今から、ひとっ走り、墓まで行くから、よろしく」と言われて、僕らは顔を見合わせる。

走るのかと思ったら、なんだか笑えたけれど「送り火」、大事なことなんだと、思った。


楓が、昨日から居なくなった。

きっと、昨日の「送り火」で、帰ったんだろう。

また、1年後。お盆の日まで、さようなら。


あの日から、10年が経った。

僕は、結局、あれから地元の高校に行くことにして、鹿児島には住まなかった。

僕がいることで、両親が夫婦でいられる気がしたからだ。

それぞれの地元で就職して、僕もサクラも、それぞれの相手と結婚して、家庭を持った。

その間、お盆になると、鹿児島に帰省していたけれど、赤ちゃんがいる間は、何年か、行けなかった。

そして今年、5年ぶりに帰省した。


お互いの家族の型通りの挨拶が済み、あの頃とほとんど変わらない中学校裏手の墓地から、迎え火を終えると、伯母さんと、サクラと僕の奥さんとで、夕食の仕度が始まる。

その間、伯父さんとサクラの旦那さんと僕とで、呑み交わし、ほどほどに出来上がったところに、食事が運ばれてきた。

それぞれの奥さんの料理を誉め合い、お互いの近況を報告しあった。もっぱら、子供の話が中心になったけれど。


僕の両親は相変わらず、離婚することなく、それでも、家に二人が揃っていることも少ないけれど、いがみ合うことなく夫婦を続けていた。

孫を可愛がってもくれる、好好爺と、人の良いお婆さんになっていた。


幸せなときが、流れた。

僕は、伯父さんとお酒に弱いサクラの旦那がダウンした頃、ひとりで風に当たってくると言い残し、夜の散歩に出掛けた。


春日橋をわたり、春日公園に向かう道すがら、すっかり様変わりしたその近辺に、驚いたし、一抹の寂しさも感じていた。

公園までの、一本道は拡張されて、車2台がすれ違えるほどになり、田んぼだらけだった両脇には、個人宅が立ち並んでいた。

ここら辺だったよな、と見当をつけて歩いていると、見つけた。

両隣を家に挟まれた、春日公園が昔と変わらず、いや、少しくたびれて、現れた。

3オン3のコートは、地面は色褪せ、ボードもリンクも色が剥げ、ネットも付いていなかった。

奥の遊具も、暗くてわからなかったが、それなりの時を刻んでいるだろう。

「やっぱり、ここだった」

僕は、驚いて、後ろを振り返ると、そこにいつのまにか、サクラが立っていた。

「楓は、いないみたいだ」

僕が、サクラに残念そうに言うと、

「来てるよ、ほら」

そう言うから振り返ると、コートのなかでドリブルをしながら、あの頃と全く変わらない楓が、いた。

僕は、サクラと笑いながら、公園のなかに、入っていく。

あの日に戻るかのように。


おわり



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