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4.二人の少女

「失礼します、ルーファス様」

「あぁ」

ルーファス様がベッドにいるのを見ただけで罪悪感を感じてしまった。


今日はテオドール伯爵のお屋敷に来ている。お見舞いのためだ。

あの後、ルーファス様はすぐにお医者様に見てもらうことができ、数日寝てすっかり熱も下がった。



「ルーファス様…私…本当にあの時…ごめんなさい」

あの時、私がもっとしっかりしていれば。

ヒロインみたいに気がきく子だったら…

ルーファス様が倒れるまで無理をさせずにすんだのに…

この思考があの日から無限ループする。


「顔を…あげてくれ。俺こそすまなかった…その、、怒鳴ってしまって」

「ルーファス様っ!顔をあげてください!あなたは何も悪くないのですから…」

「いや、俺が悪い!ミルドレッドをあんなに振り回して、終いに怒鳴って倒れるとか…ほんとにごめん」

「いやいや、私が悪いんです!全然ルーファス様に相応しい行動ができなかったですし、そりゃ婚約破棄されるわって思いました!このまんまじゃ死刑が早まりそうd……」


自分の失言に気がついた時にはもう後の祭りで急に手首を掴まれルーファス様に引き寄せられた。

あぁ、なんでこんなに口がもろいんだぁ

「あ…あのぉ近いですぅぅ」

「うん。すっかり忘れてたけど、ジェイクのことと、君が今言ったことについて話して」


目の色が変わったのがわかった。

私はまたもやおされて話してしまった。


「えー、つまり、この前話していたその女子生徒と俺がくっつくルート以外にその他3人とくっつくルートがある。ジェイクはその中の一人だった。そして、この4ルートのどれになっても君は断罪・死刑されるだとぉぉっ」

「は、、、はい」


ルーファス様が綺麗な顔をくっしゃっとさせて私を真っ直ぐに見る。

「君は最初から死ぬのを分かって俺と婚約したの?」

ここでは嘘はつけない。そう感じた。

「………はい。」


しばらくの沈黙が私たちをつつむ。


「………絶対そんなことにはさせない。」

何かをルーファスさまが呟いた。消え入りそうな声のボリュームでーー

「すいません。今なんと?」

「なんでもないっ!俺寝るから」

「えっ、ええ!あ…すいません!」

「謝らなくていいってば。そのかわりそばにいて」

ドレスの端をそっと掴まれた。


懐かしいな…無性に前世の家族を思い出した。

わたしには歳の離れた弟がいた。こうやって寝込んだ時はよくそばで看病した。


私はしっかりルーファス様の手を握った


「私でよければ」

婚約破棄されるまでは、どうか…どうかあなたの1人の婚約者にさせてください。

頬をつたってしょっぱい何かがつたって、ドレスに染み込んだーー


***



「ふぅぅっ、これで仕事は全部ね!」


アールド・ソフィアは窓から空を見上げた。

(私もいつか広い世界に出れる日が来るのかしら?)


5歳の時に母と父は流行病で死んだ。

父と母は駆け落ちで実家を出たため、わたしには頼れる身寄りが誰一人いなかった。

そんな私はあっという間に誘拐されサンドラ伯爵家に売られた。

今思えば幸運だったと思う。メイドとして働かしてもらい、衣食住までととのっている。

ましてや、勉強する環境さえあたえてくださった。


「ソフィア!」

「ラック!どうしたの?」

「実は刺繍を教えてほしいんだ!」

「え?どうして?何を刺繍すればいいの?」

「いや、僕がやるんだ、自分で!エミリアに刺繍入りのハンカチを渡したくて!」

「そうなの…わかったわ!一緒にやりましょう!」

「ありがとう!じゃあ、また後で」


ラックはこの家の子息だ。

幼い頃からエミリア様という公爵令嬢と婚約しているが、溺愛だ。

おそらくこのまま結婚すれば良い夫婦となるのが目に見えてわかる。


(私もエミリア様のようなお家に生まれたら、ラックと結婚できたかも知れない。)

ソファアはラックが好きだ。身分的にも許されない恋。

けれど、エミリア様と会ったり、ラックがエミリア様のことを話すと、心が締め付けられる。

(それに…私はママとパパの子でよかったと思っているもの!そんなことでクヨクヨしてはだめね!)


この少女はのちにミルドレッドとルーファスの運命を大きく動かすことになるーー

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