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2/2

始まり2

(ああ、何で自分はゴブリンなのだろうか。他の種族は襲うし不潔だし、どうしてゴブリンなんかに)

そんな自分の生まれを呪うかのように、ゴブ朗は壺の中で頭を抱えながら身を潜めていた。

(自分も見つかったら絶対に殺されるに違いない。ばれないようにしないと・・・)

だが、ゴブ朗の願いもむなしく壷が傾き、勢いよく転がり始める。

(???ああぁぁぁ!?)

壷が壁へとぶつかり、中に入っていたゴブ朗が外へと放り出される。

かなりの衝撃が彼を襲い、逃げるどころか動くことすら儘ならなかった。

何人かの話し声が聞こえ、その後に弓を構える音が耳に飛び込んでくる。

自分の最後は弓矢なのだろう。迫り来る死の恐怖の中、せめて自分を射ぬく相手の姿だけでも見ようと、恐る恐る目を開けてみる。

その目に映ったのは美しい女性の姿だった。

色白の肌にピンっとした耳、そして何より気品に溢れたその姿。

(ああ、何て綺麗で格好いい女性だろう。最後にこんな素晴らしいエルフに出会えたんだ。自分の生まれに少しは感謝しようかな)

そう考えていると、ふとエルフと目が合った。

?少しばかり動揺しているように見える。何か気になることでもあったのだろうか。

そんな彼にエルフが近付いていく。

(ここまでか・・・来世はゴブリン以外でお願いします!)

淡い願いを抱きつつ、強く目をギュっと閉じた。

・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・?

何も起こらない様子から、そっと目を開けてみる。

驚いたことに先ほどのエルフが自分を覗き込んでいた。

不思議そうに自分を観察しているエルフと目が合う。

途端、エルフが何かに驚き慌てている。

(何に驚いているんだろう?やっぱりエルフから見ても僕は異端な見た目なのか・・・)

悲しい気持ちになりながら、エルフの様子を窺っていると、彼女の仲間が自分の側に集まり、同じように自分を覗き込みはじめる。

やはりエルフと同じように驚いている。そんなにおかしな見た目なのだろうか。

その証拠になにやら全員で叫んでいる。

人の言葉がわからないため、ゴブ朗には何を言っているのかわからなかった。

(わからなくて良かったのかもしれないな。わかったらもっと悲しくなってたかもしれないし・・・)

しばらくすると体格の良い男が縄を取り出し、伸ばし始めた。

(ああ、絞め殺されるのかあ・・・苦しいかなあ?いっそ楽に死なせてほしかった・・・)

男が近付くと、ゴブ朗はグッと力強く目を閉じた。

キュキュ、キュキュ。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・苦しくない。

生きてる・・・?

どうやら縄は絞め殺すためのものではなかったようだ。

(でも、キュキュって音がしてたような)

ゆっくりと目を開けてみる。

縄はゴブ朗の手!足!にしっかりと巻かれていた。

??????

状況がわからずに固まっているゴブ朗を、体格の良い男がヒョイっと持ち上げ、肩にのせる。

そのまま何事もなかったかのように、ゴブ朗と共に彼らはその場を後にしたのだった。

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