探偵ここにいるんですけど
ひさびさの休日、友人を家に招き入れた。
そいつは俺の幼なじみでリョウタという。
「よぉ、おはよう」
「はやかったな」
両手に何やらコンビニの袋を下げている。
「そりゃまぁ、昼飯おごってくれるって聞いたからな」
「言っておくが、ただじゃないぞ」
「その代わりに相談に乗るって話だろ?わかってるって」
狭いマンションの部屋だが、綺麗好きなこともあってか基本的には人を家にはあげない。だか、背に腹は代えられない問題が発生していたのだ。
ウッキウッキとリョウタは楽しそうに食卓の椅子に腰かける。
「オムライス、炒飯、焼きそば、カレー、ラーメン、プリン、チョコレート~」
「待て待て待て、何の歌だよ。まさか全部とか言わないだろうな」
「オムライスにはラブラブ愛してるぴょんって書いて欲しいな」
気持ちの悪い笑みだ。
「まさかお前……」
嫌な予感がする。
こいつがこんなに食うときは決まっている。
「おい、まさか」
「ラブラブぴょんぴょん愛してる」
「まさか、またなのか」
「愛してるぴょんぴょん」
野郎二人の間に僅かな沈黙が流れる。
「クッ、愛してたんだ。アヤコを!こんなにも君にホーリンラブだったのに!!!!!」
拳をテーブルに叩きつけられる。
「リョウタ、お前またなのか……」
にやりとリョウタの顔が歪む。
「ふっふっふ。そうだよ、アキラ今頃気が付いたか?昼飯に会うって約束だったのに、なぜこんな早朝に押し掛けたのか?この赤いおめめを見!!!。探偵のお前ならもうわかっているはずだ!!!」
そして、俺は冷静に分析する。
「ああ、そうだな。朝の三時だ。むしろ夜と言って過言ではない。リョウタまさか、また振られとか言わないよな。言うなよ、マジで」
「正解だ、アキラ。さすが探偵だな」
「俺は相談したいことがあるといったなよな?覚えているか?」
「イエスだ。だが、その前に俺とアヤコの失恋ストーリーも聞くのだ。話はそれからだ」
「お菓子もジュースも買ってきた。二人でパジャマパーティしようぜ、アキラ。今夜は眠らせないぜ。いつもみたいにリョウたんって呼んでいいんだぞ」
「いや、殴るぞ。マジで」
このリョウタこと、リョウたんは恋多き男、そして失恋の多き男だ。そんな失恋話が始まると三時間はしゃべりまくるクソ野郎だ。だが、そんなリョウたんを呼んだのには訳がある。
この男、実はとんでもない霊能力者なのだ。
「わかった。わかった。その話はあとで聞くから。先に俺の話を聞いてくれ」
らちがあかないので、まず俺は腕を見せた。
「ん~っ?」
リョウタはそれを覗き込む。
そこには油性マジックで書かれた正の字が二つ。
「ムムッ???」
「一本づつ増えてきて、いつのまにかこれなんだ」
「冗談で?」
「マジなんだけど??」
珍しくリョウたんが静かになって、凝視するように腕を見られる。
「何これ、こっわ!!でも、霊的なものや悪意は感じられないな。たぶんこれは霊というよりは人の感じがするな」
「人???逆に怖いわ」
アキラは内心引いた。
「アキラくん、これは俺より探偵とかに依頼だな」
「そうか、じゃあ誰か探偵を紹介してくれないか?お前、顔広いだろ?」
珍しくリョウタが黙ってじっとこちらを見ている。
?????
あっ。そうだ俺、探偵だったわ。