恐怖の克服
金曜日の朝はプロティン。
風は空を切り、かまいたちのように鋭くなる。
リカコはそれを紙一重でよけ、重い拳を繰り出す。相手はそれを受け流し、腕を掴み回転を加える。あっと思うた瞬間に体は宙を舞い地面めがけて勢いを増す。
とっさに受け身を取り衝撃を和らげ、ワンテンポのステップで起き上がり距離を取る。そして、強固な構えで全身に気を巡らせ攻撃の姿勢を取る。相手はそれをみて、体の力を抜いた。
「成長したな、リカコ。すでにお前は俺を超えている。次のお前の一撃で俺はやられているだろう。ここまでだ」
流れる汗をリョウたんは爽やかに指ではじいた。
「リョウたん師匠。有難うございます。これで私、戦えます」
リカコは感謝を述べた。
「礼なら、俺の元彼女のカンフーマスターに言ってくれ」
リョウたんはリカコの肩に手を置いた。
「苦しい戦いになるが俺達は前に進み続ける。そう、俺達の戦いはこれからだ!!!!」
「はい!!!!!!」
~完結~
その時、喫茶十三夜月の扉が開く。
「何やってんの?何勝手に終わらせようとしてんの?何も解決してないだろ。朝から近所迷惑だから中に入って下さい」
そして扉はパタンッと閉まった。
「おや、なにしてたのリカコちゃん?」
メガネ様に声を掛けられながら、私は店の中に入った。
「あっ、ショートコントです」
そそくさとリカコは席につく。
メガネ様は私にココアを差し出してくれた。
「いま、アキラくんが美味しいモーニングを作ってくれてるよ。一緒に待とう。リョウたんくんは?」
「え~と、シャワーですね」
ははっと笑いながら私は椅子に座る。
「どう?ここは快適?」
「はい。十三夜月の周辺は平穏で、命の危険にさらされることもないです」
「それはよかった」
メガネ様は微笑んだ。
「でも、おかしいなって思って」
「そう思う?」
「ここって、もしかして守られているんじゃないかって?」
「なぜ、そう思う?」
私はココアを一口飲んだ。
「私、実はミーちゃんの正体わかっちゃたんですよね」
「ほんとに?」
「ええ」
「アキラくんに内緒で聞かせてくれる?」
こそっと私はメガネ様に耳打ちをした。
「凄い、あたりだ」
「へへっ」
「君すごい探偵になるよ」
「じゃあ、この怪事件解決したら雇ってくれますか?」
「もちろんだよ」
メガネ様は嬉しそうにキラッと笑った。




