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 休日を挟んで登校するとカニーレから呼び出しを受けた。もちろんルドヴィカが。進路指導とか生活指導とか理由をつけて呼び出したルイズの肉体にはやはり魂がなかったらしい。結構大事なのだがことがことだけに信頼できるベテラン教師数名と学園長のみに報告してあるとのこと。


「禁術である傀儡魔術だからな。その使用が確認されただけで死刑もありうる重罪だ」


 重々しく語るカニーレの顔色はすこぶる悪い。ルイズの肉体に危害が及ばないよう、また傀儡魔術を使用した犯人を見つけるために休日の間ずっと護衛や情報収集に駆けずり回っていたという。その成果は芳しくない。ヘンリエッタはほとんど寝ていないようで、カニーレの後ろに控えているものの、壁に頭を預けて立ったまま寝ている。器用だ。


「ローは最近殿下とご一緒されていることも多いからな。学園長の判断で国家保衛部の精鋭と協力して事態の収拾に当たることになった」


「傀儡となったルイズさんを操ってアンリ様に害をなす可能性もあるということですね」


「まぁそういうことだな。昨日も2人で平民街で買い物やら食事やらしてたしな。高いものを貢がせて国庫を空にすることも食事に毒をまぜることも簡単だ」


<アンリとデート! なんてうらやま…違う! アンリに危険が迫ってる! 逃げてアンリ!!>


「最悪王太子であるアレク様と対立して国家転覆、なんてことにもなりかねませんね」


「いや、まぁ、それはそうだが…ないだろうな」


「ええ、まぁ、ないでしょうけど」


<え? なんで?>


 ルドヴィカは自分で言っておきながらありえないという。少しだけ空気が和む。


「ここ1ヶ月のルイズさんの行動と接触した人物をまとめました。また傀儡魔術を行使できる可能性のある魔術師を内外問わずリストアップしてあります。お役に立てるといいのですが…」


 そういうとルドヴィカは厚みのある封筒をカニーレに差し出す。

 カニーレはそれを受け取ると中身を上部だけ封筒から取り出す。ペラペラめくって


「私も含まれるんだな…」


 ポツリと呟く。


「既存の魔術に精通するカニーレ・ド・リシュリューが傀儡魔術を使用できないわけがありませんからね。もちろん、私の名前も含まれています」


 カニーレはなおも書類に目を落としている。


「在野の魔術師をよくもここまで調べたものだな。他国の魔術師まで…。さすがはスフィーア家の諜報部といったところか。いいのか? 渡してしまっても?」


「その程度は問題ありません」


 穏やかに微笑むルドヴィカ。「感謝する」と一通り目を通すと書類の束を封筒に戻し持っていた鞄に入れた。


「他にできることはありますか?」


「ない…と言いたいところだが学内でローの様子を気にして欲しい。出来れば魂を戻すことが出来ればいいのだが…。犯人に関してはこちらで対処する」


<私! 何度も言うけどここにいるから! どうやって戻るのか分かんないけど…どうしたらいいの! カニーレ先生!!>


「分かりました」


 ルドヴィカは一礼すると教室に戻った。


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