表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/32

 

<うっわ! ちょ! デビット!! 女の子突き飛ばすとかダメでしょ! ダメダメでしょ!!>


 ただ、見ていた人はいる。


「ルイズさんよりもデビットを驚かせてしまいましたか」


 机に触れると炎が出る魔法陣をルドヴィカ自身・・の机に施し様子をうかがっていたのだが、結果は惨敗。デビットに抱きしめられていた所為でルイズには何が起こったのかよく分からなかったはずだ。その分デビットの驚愕が倍増された。


「ルイズさんは変わらずのようですし、失敗ですね」


 誰に言うでもなくひとり言。小さなため息とともにきびすを返す。ルイズに魂が戻ったかどうかを確認するため、また、怪我や火事など不測の事態に備えていたのだが、どの事態にも至らず変化なしに終わった。


「ルイズさんに確実に成果が向くような方法を考え直さなければなりませんね」


 今回の作戦はヘンリエッタに許可をもらい、ルドヴィカの机に炎の魔法陣を描くことから始まった。放課後はアンリたちと生徒会室で過ごすことの多いルイズが教室を出るときに鞄を置いていくようさりげなく誘導した。そしてその鞄をさりげなくルドヴィカの机の脇に吊るしておく。あとはルイズが取りに戻るのを待つだけ。魂の無い状態のルイズなら、いつもの自分の席に鞄がなくても、他の人の机に鞄がかかっていても、疑問に思うことなく「鞄を持つ」事だけを考えるだろうと予想していた。疑問に思ったところで鞄を取るために机に触れれば魔法陣は発動するのでどちらでも構わない。

 デビットと一緒に来たのは想定内だったが、あそこでラブシーンを演じ始めるのは想定外だった。せめてもう少し早くか遅くだったらよかったのに。

 驚愕で魂が戻ればもうけもの。戻らなくて魔法陣のことを抗議されても、ルドヴィカの席にルドヴィカが魔法陣を描いていただけなので、言い逃れの余地が出来るというわけだ。







<でもデビットがあんな人だなんて思わなかったよ。いっつも女の人は大事にしなきゃって優しく褒めちぎってナンパするプレイボーイだったのに。>


 デビットの本性を見た気がしてちょっと落ち込む。いろんな人にかわいいかわいい言ってるデビットだから自分にかわいいって言われても本気になんかしてないけれど、でもちょっと嬉しかったりもしてたのに。いやほんとは結構嬉しかったのに。

 いざというときは自分の身を優先する人間だったようだ。生物としては正しい反応なのだろう。でも女の子からしたらそれはそれは残念な男の子になってしまう。いや、なってしまった。この先デビットに「かわいい」とか「好き」とか言われても「でも危なくなったら一人で逃げるんでしょ?」ってなってしまう。


 実に残念。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ