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ひとりぼっちとゆかいななかま  作者: 陽幸姫~ひこうき~
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それからそれから①

車一台に大男含め四人乗ってるだけでも暑苦しいのに、

何でもう一人乗せようと思ったのかってほどギュウギュウ詰めの

車の中で自己紹介タイムになった。


頭を撫でたおせっかい中年男はジャック。

髪はダークブラウンのセミロング。

後ろでひとつに結んでる。瞳はモスグリーン。射撃場を経営しているらしい。


優しそうな初老の男はマーロン。

金髪でオールバック。瞳はオレンジ。お金持ちっぽい。


黒人の男はダン。

長身で短髪黒髪。スカイブルーの瞳。笑うと白い歯がくっきり見えて

眩しい笑顔。マーロンと仲良し。


そしてここまで私を荷物の様に小脇に抱えてきたマッチョはトニーと言った。

飲み屋をやってるらしい。スキンヘッドで大きな目。肩でドラゴンのタトゥーが吠えてる。

男なんだからマスターだと思うのに、自分で飲み屋のママだと言ってた。おかしなやつ。


私は後部座席でジャックとマッチョに仲良し座りされたまま車は郊外へ。

運転はダンで時々助手席のマーロンと喋っている。何処まで行くんだろう。

そういえばボーズじゃないぞって訂正したほうが良いかななんて考えていたら


「おい。ボーズ。食い物の好き嫌いはあるか?」


横からジャックが私に聞いてきた。無言で首を振る。


「こらっ!口ついてんだろっ」


とジャックが私の頬をぎゅっと引っ張る。


「はりゃふぇってない・・・って、痛てぇなー」


ジャックの手を払い、自分の頬をさする。


「ほんとに減ってないのか、腹に聞いてみるか」


拳で殴る仕草をする。私はお腹を抱え込んで叫ぶ。


「減ってるーーーー!!」


マッチョが隣でくつくつと肩を揺らして笑っている。


「あれだけいい音出しといて、いい根性してんなぁボーズ」


みんなが笑う。ジャックが顔を覗き込みながら


「だから、好き嫌いはあんのかって言ってんだよ。あんのか?」


私はふくれっ面で睨みながら「ねぇよ」と言う。

すると「そっか」と言ってくしゃくしゃと私の頭を撫でた。





定食屋は男たちの馴染みの店なのか、勝手に料理が運ばれてくる。

というか、マッチョがキッチンから勝手にどんどん運んでくる。

此処はマッチョのお店なのかな?

お店の人も何も言わない。むしろ歓迎してる様に見える。

あ、迷惑だけど、見かけが怖くて言えないとか・・?


そんなマッチョのお陰でテーブルの上には飲み物のほか肉や魚、

サラダまでが全て山盛りで置かれている。

私の横には配膳を終えて満足気なマッチョが座り色々世話を焼いてくる。

無口な私にお構いなく話しかける。


「ボーズ肉は好きか。この魚も美味いぞ。野菜も食えよ」


料理が大盛りにされた小皿が目の前に幾つも置かれる。

手はきれいかとか、いつから飯食ってないのかとか・・。

正直うざい。

おまけに、濡れたタオルで私の顔までゴシゴシと拭く始末。

お前は母親ママンか!と突っ込みたくなる世話焼き具合に

私は辟易していた。

それに何度も言うが、私はボーズではない。

確かにガリガリの瘦せっぽちで髪はショート。

薄汚れたTシャツとデニムでは男の子に見えても仕方ない。

仕方がないが、だからと言ってボーズではない。

ないけど、別にこいつらと長く付き合う訳じゃないし

まぁいいか。その時はそぅ思っていた。



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