表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひとりぼっちとゆかいななかま  作者: 陽幸姫~ひこうき~
2/29

生まれた時から母しかいなかった。

父の事は知らない。母は何も話してくれなかったし、

父なんて別にどうでもよかった。


母は生活の為に昼も夜も働いていて、家に帰らない事も茶飯事だった。

帰ってきたかと思えば、古い雑誌や時代遅れのゲーム機が枕元に置いてあったりした。

いつもひとりぼっちの私の友達はゲーム機の中のキャラクターだった。


だから、スクールに行くようになっても、

他人との関わり方がわからなかった。

話かけられても無反応で、頷くことも、首を振ることも出来ず

笑うなんて芸当は自分とは絶対に無縁だと思っていた。

だから、当然友達なんていなかったしそれでも自分は平気だった。


働き積めの母だったので少しばかりの貯えもあったが、

あっと言う間に高い病院代に消えた。世の中は厳しい。

命をぶら下げれば誰からでも金は芋ずる式に取れるとふんでいる。

そして母は亡くなり、私は無一文になった。


右も左もわからない子供に家賃を取り立てる大家。

払えないなら体で稼いで来い。働き口はいくらでもあると。

数日前から大家が頻繁に来てせっつくので、修道院にでも逃げ込もうかと

荷物をまとめて部屋を出ていくところだった。


ドアを開けたらこの男たちとの邂逅。

最初は大家の回し者かと思ったがそうじゃなかった。


よくわからない面子で、しかも花束まで押し付けてきた。

花なんてもらっても食えないし、もうここには母の物も何も無い。

だから今さら憐憫にも浸れない。

情けない自分を隠そうと下を向く。

弱い自分すべてを見られたくはなかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ