勇者召喚されたがどうやら俺は勇者じゃ無いらしい 前編
皆さん、おはようございます!こんにちは!!こんばんわ!!!
からしニコフです!さて今回からやっと異世界の話ですね!!って書いてるの私ですが………
さて!長い話は置いといて本編にいってみよう!!
あまりの光量に目を閉ざし、手を翳しても尚、目を潰さんとする光は衰えることを知らず、例え目を瞑って居なくともこの光は辺りの風景を白く塗り潰しているだろう。
どれだけそうしていたのか分からない、それでも少しずつ光が収まっている事が分かると、恐る恐る目を開けていく。
しかし、先程まで、瞼の裏からでも目を潰しそうな程の光を受けていたのだ、直ぐ様辺りが確認出来る程視力は回復していない。
視界は霞み、色調も光の影響か若干薄く見える、これではまともに周りの状況を把握することは出来ないだろう。
それでも、俺達は理解している……いや、理解してしまっていると言った方が良いのかもしれない。
俺達は教室でHRをする直前だった、つまり全員椅子に座り担任である郷戸は教卓に手を付いてる所だったのだ。
しかし、今は椅子に座って無い事から、床に直接座っていることになる。手触りからして大理石、勿論そんな場所は俺達の学校には無い。
つまり、俺達は教室に、それどころか学校ですら無いところに居ることになる。だがそれはあり得ない、俺達が目を瞑ってる時間なんて1分に満たなかった筈だ。
そして、気を失った感じもしなかった。つまり、俺達は目を瞑って居た、たった1分程の時間に違う場所に居ることになる。
勿論それがどんなに現実離れしてることかは分かってる。分かっているからこそ現実味が無くパニックにならずに済んでいる。しかし、ひとたびその均衡が崩れれば終わりはおのずと顔を出し始める。
「ど、どこなんだ……ここ………」
一人の男子生徒が呟く、少しの焦りを含ませたその言葉は波紋となって広がっていく。
「なんなんだよこれ!どこなんだよここ!!訳わかんねぇよ!!!」
「うるせぇぞ!俺に分かるわけ無いだろ!!少し黙ってろよ!!!」
「んだと!てめぇ!!!」
人とは不思議なもので、最初は少しの焦りでもそれが広がるに連れ焦りは苛立ちに変わる、これだけなら唯の暴動で済むだろう。
暴れてストレスを発散すれば、心の均衡が戻り冷静になれるだろう。
しかし、ここでもう1つの感情が爆発すると、どうなるのか??
「いやぁぁぁ!何なのこれ!!どこなのよ!!!」
「私にも分からないわよ!!」
「私達どうなっちゃったの!!」
俺は人間の焦りは2つの感情の派生が在ると思ってる、1つは男子達が陥ってる【怒り】
そして、もう1つは女子達が感じてる【恐怖】もしどちらか1つならば冷静な奴が止めてくれるだろう。
しかし、こんな状況だ冷静な奴が居るとは思えない。つまりどうなるかと言うと……
「ここはどこなんだ!」「俺が知るわけねぇ!」「私達どうなったゃったの!!」「いやぁぁぁ!」
こんな感じのパニックになる、しかも収まりが付かない集団パニック、そして一番厄介なのは恐怖が伝染すること。
遠くで担任の郷戸が生徒達を鎮めようとしてるようだが、先生も若干の恐怖があるのか焼け石に水だ。
そんな中、俺は今の状況の分析に入る。なぜ他の奴等を落ち着かせないのかはちゃんとした理由があっての事だ。
生徒の数は俺を抜いて30人担任の郷戸も合わせると31人、この人数を俺1人で冷静にさせることが出来るかと言われると無理だ、まず俺すらなぜこんな所に居るか分からない。
つまり、何も知らない状態でこの集団パニックを鎮静化させることなんて出来る訳がない、だから俺は敢えて何も喋らずこの状況を推測することにした。
(俺達が居たのはこの大理石の台座の上か、大理石は直径15mの円柱ってところか、そして大理石の円周に別の石材、何か書いてあるが全く分からんってかそもそも文字ですらない。そしてこの部屋の確認だな、部屋の大きさはっと、約30mの正方形って所か)
これで大体の部屋の感じは分かったが其だけだ、それ以外の情報と言えば天井に4つのシャンデリアが有るくらいの物だ。
(よし、何にも分からん!が取り合えず、あとは時間が解決してくれるだろう。何故なら俺達が突然現れたにしろ、連れて来られたにしろこれだけ騒いでるんだ誰か来るだろう。)
そんな俺の思いを受け取ってくれたのか知らないが部屋の扉が開かれた、そこには頭に王冠を付けた髭面のおじさんと紅いドレスに身を包んだ10代前半と思われる少女。
これだけならまだ仮装パーティーの可能性が在るが、全身甲冑姿の人が約10人。
(おいおい、流石にこれは仮装パーティーって感じじゃねぇな、それと髭面のおじさんと少女が驚いてる事から俺達を拉致したって可能性は無くなったな。)
因みに騒いでいた他の奴等もこの人達が現れてからは静かになった、と言うより呆然としてる感じだ。
すると少女が口を開いた。
「お父様!こんなに沢山の勇者様が召喚に応じてくれましたよ!!」
「そうだな、これでまた世界は平和を取り戻せる……」
そんな事を言いながら少女は目を潤ませて、おじさんに至っては目を手で隠しているがその隙間からは涙と思われるものが流れている。
(なんだ?俺達の事を勇者って言ったか??それと召喚に応じた???となるとこれはまさか、今話題の異世界召喚ってやつか??)
すると、担任の郷戸がおじさんに話し掛ける。
「あ、あの失礼ですが貴方達は??」
担任の郷戸の言葉に生徒達は固唾を飲んで見ている。
「あぁ申し訳ない、私はアルベルト・モーガンこの国の王をしております、こちらは娘のセリアです。」
「セリア・モーガンです。どうぞよろしくお願いします。」
「こ、こちらこそお願いします!」
アルベルト達の軽い会釈に対して郷戸の礼は最上礼、つまりほぼ直角の90度に頭を下げた。勿論、他の生徒達も例(郷戸)に漏れず同じお辞儀をした。当然俺はお辞儀なんてしていない、それどころか相手さんは俺の姿すら見えてないだろう。
何故なら俺は大理石の台座の後ろに居るのだ、つまり、扉の前に居るアルベルト達と俺との間には31個のお辞儀のオブジェクトが有るのだ、俺が見えるわけが無い。
「そ、それで、勇者と言うのは私達の事でしょうか??」
「勿論です、その前に皆さん、ステータスと唱えてください」
生徒全員郷戸も含めセリアの言う通にステータスと唱えた、すると半透明のウィンドウが現れる、勿論それは本人にしか見えず盗み見される心配はない。
ステータス
名前 三嶋孝介
年齢 17
性別 男
職業 付与術師
HP
1200/1200
MP
1500/1500
物理攻撃 130
物理防御 90
魔法攻撃 125
魔法防御 95
身体速度 90
幸運 80
スキル
空きスロット3
称号
異世界人
勇者召喚に巻き込まれた人
どうやら俺は勇者じゃ無いらしい………