『逃げた天井』を「仕込みオチ(伏線回収)」でプラス「時間」
遠ざかっていく。天井に貼ってあるのは今嵌っている人気のアーティストのポスターだ。人気のあるバンドを応援するというのはそんなに好きじゃないんだけど、1回聞いた瞬間、その魅力に飲み込まれてしまった。そんな皆が、空高く飛び上がっていった。一体どこに行くというのだろうか。中々シュールな風景だ。
1日目
遠ざかっていったボーカルのユウヤはまだ見つからない。
これは夢なのだろうか。周りからライブ会場のような声が聞こえてくる。テンションが上がってきた。ちょっと楽しい。私も騒ぎたい。はしゃぎたい。ああ、やはりここは夢なのだろう。
2日目
遠ざかっていったギターのカエデはまだ見つからない。
ギターの音には程遠いけど、何かを引きずるような音が近くから聞こえる。黒板を爪で引っかいたような、そんな音だ。何かを動かしている音?夢の中で?…夢の中にしては、お腹がすいたな。
3日目
遠ざかっていったベースのタクトはまだ見つからない。
遠くから、ベースのような、そんな音、聞こえてきた。ベースにして、は、同じ音が、続いてる、弦楽器、て、凄い。
4日目
遠ざかっていったドラムのナオキはまだ見つからない。
オト、聞こえる。激しい、オト。ワタシ、たすかる?夢、ユメ、ゆめ、お、わる、?
5日目
私は結局、皆を見つけることが出来なかった。新曲は今月末発売だった筈だ。今度は天井より上に行ってしまうけど、そこでもあの人たちの音が、聞けるといいな。
『地震速報』
悪夢のような地震から8日経過した今日。生存者の捜索が一旦打ち切られることが決まりました。消防隊、自衛隊を含めた作業員により生存者の捜索は7日7晩、24時間体制で続いておりました。ですが8日目を迎えた本日未明、大平総理大臣は本腰を入れての救助活動は、被災者の生存確立が著しく低いと判断し、捜索を打ち切ることを決定したと発表しました。
7月11日午前2時に発生した今回の北陸大震災。新潟県東洋市を震源とし、マグニチュードマグニチュード7.0、震度7の地震が断続的に発生し、また山間部であるため避難も救助も困難であり、戦後最大の死亡者数の大地震となりました。
大塚コメンテーター。今回の地震の政府の対応についてはどう思われますか。
そうですね。自衛隊、救助隊ともに動き出すことが出来たのは地震2日目からでしたね。まずは瓦礫の表面近くにいる被災者の捜索が開始され、手作業による瓦礫の撤去が行われました。そこまでは上手くいっていたと思います。
ですが、ヘリや重機が導入されたのは地震の3日目からです。ここから大掛かりな瓦礫撤去の作業が開始されていましたが、地震の対応としては山間部であり導入が困難だったとしても遅すぎるでしょう。4日目にやっと各地から救助が届き、それまで手のつけることが出来なかった大型マンションの地下の捜索も行われましたが、生存者を見つけることは出来ませんでしたしね。
政府の対応が遅かったのも、今回の被害が大きくなってしまったことの一つの要因と、私は考えています。
大塚さん、ありがとうございます。一刻も早い被災地の復旧を祈ります。
続きまして…………