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太陽の化シン  作者: 直弥
第二章「親友」
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その3

 反面焦げてしまったオムライスをどうにか食べ終わった陽介とカチューシャは、適当に時間を潰した。神経衰弱、大富豪。五目並べにモノポリー。更には、三国志を模したチャイニーズチェッカー(=ダイヤモンドゲーム)と、二人が続け様に遊んでいる内に時間は五時を回り、ターニャも起き出した。

 陽介は、ここではないところに二人を預けようと思っている旨をカチューシャの口からターニャに説明させた。彼女が起きている時にこの話をしなかったのは、これが狙いだったりする。カチューシャを先に納得させておいて、彼女の口から言ってもらった方が、ターニャのことも御しやすいと思ったのだ。それでも説得には時間が掛かったが、預ける相手が女性であることも話すと、ターニャは一時間ほどで折れた。

 その後、ターニャは夕食に腕を奮った。もっともそれは、カチューシャが『久しぶりにターニャの作ったボルシチが食べたい』と言ったからであり、間違っても陽介のためではない。彼女は、冷蔵庫の中にあったもので、まるで店で出されるような本格的なボルシチを作って見せた。

 夕食と、その後の腹ごなしの後。陽介たちは件の女性の元へと向かうため、夜の街を歩いていた。陽介の右手には二つの紙袋が提げられている。

 例の〝斧〟が効果を奏したのか、人通りは昨日より少ない。

「途中で襲ってきたらどうしましょう」

「もしそうなったら、君らは、さっきターニャさんに渡した地図の場所に向かってくれよ?」

「でも、この地図で本当に分かるのかしら」

「大丈夫、多分一発で分かりますよ。かなり大きな屋敷ですから」

 走るというほどではないものの、なるべく早足で彼らは歩いていた。辺りを警戒しながら。

 だが結局、道中で敵が現れることもなく、三人は目的の地に着いた。

「着いたよ。ここだ」

「本当に大きな家ね」

「如何にも日本のお屋敷! って感じですね」

 二人はそれぞれの感想の言葉を洩らす。

 確かに、三人の眼前にあるのは、かなり大きな家である。馬鹿デカイと言っていいかもしれないぐらいに。周りの家が蔵か何かに見えてしまうほどに巨大で、純日本風の〝お屋敷〟。その屋敷のインターホンを鳴らして、陽介は言った。

「陽介だけど」

 返事はない。

 代わりに、ばたばたと、家の中から誰かが走ってくる音がする。その音はやがて玄関の扉の前で止まり、ガラッ と、その扉が一気に開かれた。

 扉の奥から、女性と少女の狭間にあるような人物が現れる。その顔は、何かに、誰かに呆れているようだった。そんな彼女が、男性のような口調で第一声を洩らす。

「まったく……。ホント、お前は〝夜〟だの吸血鬼だのが好きだな」

「別に好きで関わってるつもりじゃないって。嫌いでもないけど」

 吸血鬼二人を引き連れた陽介を、彼の幼なじみにして親友、北条由孝が迎えた。

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