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遊びに行ったその日も、俺は覚えてる。
近所のショッピングモールに行った。 皆の初めて見る私服姿は珍しくて、何故か感動した。 皆でお揃いのブレスを買った。 皆でタピオカを飲んだ。 皆でプリクラを撮った。 皆で笑って、楽しくて。
けど、俺はモイちゃんとの思い出が強かった。未だ、タキシードの胸元にはモイちゃんとのプリクラが入っている。
「ユイきゅんなら…」
いつか俺はモイちゃんに告白した。モイちゃんは苦笑いのまま、ユイきゅんなら…、と言った。 彼女の目元が光ったから、悲しくてそれ以上何も言えなかった。
「おい、コウ…」
そして、その場面をアツくんに見られた。ユイきゅんには見られていなかったようだが。
「モイちゃんも…、どうしたんだよ?」
返事ができるはずない。黙っていたらアツくんの端正な顔が不機嫌に歪んだ。
「もう良いや、モイちゃん、帰ろ」
「うん…また明日ね、コウ」
「ああ」
その後も、モイちゃんとアツくんは態度を変えずにいてくれた。 だけど、俺は二人といることがなんとなく苦しくてユイきゅんと付き合い始めた。
そうして、今日、 ユイきゅん、もといユイと結婚するのだ。