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「コウ。聞いてる?」
「ああ、ごめん聞いてなかった」
「もう。」
頬を膨らませてみせるのは俺の新婦、ユイだ。ユイとは高校以来の付き合いだ。
「モイちゃん、アツくんも呼んでるよね?」
「そうだな…」
モイちゃん、アツくんも高校時代の仲良しだった。
ユイの化粧が終わるにはまだ時間がかかりそうだ。 この間に、俺の昔話を聞いてほしい。
「ユイきゅん、アツくん、コウおはよう!!」
「モイちゃん!!おはよう」
「おはよ」
「モイちゃーん、聞いてよー!アツくんとユイきゅんが俺に罵声浴びせるー!」
「それは…ユイきゅん達の勝ちだよ」
くすくすと 笑うモイちゃん。 その時、俺の胸はどくどく鳴った。 そうなんだなー。好きだったんだなよ、モイちゃんがさ。
モイちゃんはいつも白いマスクをしていて、あまり目立つタイプじゃない。けど、さらさらの黒髪を2つに結んでて。モデル並の綺麗なスタ イルで。ちょっと切れ目風の美人顔。最終的には、相手を起てる、少し抱え込み気味な優しい娘。
好きになる以外の選択肢ねぇから。 だからさ、アツくんも好きだったんだな。二人でモイちゃんを奪い合ってた。もちろん、付き合って無かったから勝手にやってたんだけど も。 あ、けど、アツは頭良いし顔良いし。アツに断然勝ち目あったよな。
「モイちゃん。コウ。ユイきゅん。」
「ん?」
「今度さ、皆で遊びに行こうよ」
「あぁ、そういえば私達、仲良い割には一度も皆で遊びに行ったこと無いもんね」
「行こうぜ!!」
「部活はどうするの?」
そう。 俺らはそれぞれ違う部活に入っててさあ。だから一度も遊んで無いんだよな。
俺はバスケ。
アツくんは卓球。
モイちゃんが吹奏楽。
ユイきゅんは美術だ。
「日曜日なら…」
「私も日曜日は何も無いよ!」
「同じく」
3人が俺を見た。
「もちろん、空いてる」
歓声が上がっただった。