ボクとクロちゃんの時間旅行
今回もギリギリ。
ボク、ユージーン。五才。
アルヴァノクスっていう国の、王子なんだ。
アルヴァノクスって昔は、アルヴァティアとノクスヴァールっていう二つの国だったんだけど、今は一つになったんだって。ボク、おべんきょうしたから知ってるんだ。
…でも王子なんて、めんどくさい。
おべんきょうに、剣のおけいこ、それからまほうのれんしゅう。やることがいっぱいなんだ。
もっとあそびたい。とうさまはちっちゃい頃、コッソリお城を抜け出してあそんでたんだって。いいなぁ。
もうすぐおべんきょうの時間。でもボク、もうちょっと休けいしてたいな。
…って、お城のろう下をおさんぽしてると、
((―――よぉ! また良からぬコト、考えてるな!))
あ! クロちゃん!
クロちゃんがボクのあたまの上に、スーッととんできた。
クロちゃんは、ボクにだけ見えるようせいさん。
青いお洋服に、トンボみたいな羽がはえてて、飛んでるときはキラキラしててキレイなの。
ボクが持っているほうせき、クロノアルヴァに宿ったようせいなんだって。
クロノアルヴァは、アルヴァノクスになる前の国、アルヴァティアの宝物だったんだ。
ボク、じつはクロノアルヴァのけいしょうしゃなんだって。とうさまとかあさまにはまりょくがないのに、ボクにまりょくがあるのは、そのせいなんだって。
…でも、けいしょうしゃってなんだろ。
((つまり、ずーっとオレといっしょ、ってことだぞ! よろこべ!))
うん! よくわかんないけど、わかった!
「―――あ! 若様! ようやく見つけましたぞ! ささ、おべんきょうの時間じゃ!」
わ! ドレイヴァン先生に見つかっちゃった…。
はぁい。今行きまーす!
✮ ⋆ ˚ 。 ⋆ 。 ° ✩
((―――ユージーン、話がある))
夕ごはんを食べ終わった後、クロちゃんがボクのそばに来て、そう言ったよ。クロちゃんは真剣な顔で、
((いいか? よく聞け。ようやくお前とオレのシンクロ率が安定してきた。だから『時渡り』をするぞ!))
? しんくろりつ? ときわたり? なぁに、それ? クロちゃん時々、よく分かんないコト言うよね。
((うーん、説明すんのめんどくさいな…。とりあえず、お前が『時渡り』をしないと大変なコトになる。…お前、消えちゃうかもしれないんだ))
え!? ぼ、ボク、消えちゃうの!?
((ああ。『時渡り』で『過去』に遡って、ユージーンがちゃんと生まれてこれるように、土台を作んないとな。だから、シルヴィアに「行ってきます」って言っとこうぜ!))
え? かあさまに?
((フッフッフ… 実はな、昔のシルヴィアに会いに行くんだぜ! ちょっと楽しいだろ?))
わぁ! 昔のかあさま! ちょっとたのしみ♪
でも、いつ帰ってこられるの?
((今から一週間ちょい、かなぁ。穣神の月3日、サルパの刻頃、中庭で待っててくれって言っとけ!))
サルパの刻…、お昼前だね。うん、わかった!
ボクはかあさまのお部屋まで行って、クロちゃんが言ったことを伝えたんだ。
✮ ⋆ ˚ 。 ⋆ 。 ° ✩
「そう…、とうとうあのときに行くのね」
かあさまはそう言って、ボクをギュッと抱きしめてくれたよ。
………でも、あのとき? かあさま、どういうこと?
「行けば分かるわ。…それから、クロノアルヴァ。そこにいるの?」
? クロちゃんのこと? うん! いるよ!
「…ユージーンを、お願いね」
((おう! まかせとけ!))
クロちゃんはかあさまに向かって、胸をドン! と叩いて見せたよ。でも、かあさまに聞こえてないと思うな。
「ユージーン…、あの時の私に会えば、あなたは驚くわね。…今なら分かる。きっと私は、あなたを怖がらせていたと思うわ。でも…」
かあさまはそう言って、もう一回ボクを抱きしめてくれたよ。
「…そうね。あなたが眠くなった時、私のそばに寄り添ってあげてね。…さあ、気をつけて、いってらっしゃい。とうさまには、私から言っておくわ」
? う、うん! じゃあ行ってくるよ!
あ! クロちゃんの周り、すっごく光ってる!
((おう! それじゃ、行くぞ!))
うん! 行ってきまーす!
ボクとクロちゃんは、キラキラした光の中に飛び込んだんだ。
✮ ⋆ ˚ 。 ⋆ 。 ° ✩
「―――ここ、どこ?」
光を抜けたボクとクロちゃんは、暗い森の中にいたよ。ちっちゃいけど、川があるね。
…あ! 人がいる! …騎士さんかな? 水をくんでるけど…。
あれ? あの人…、
「ねえ、クロちゃん。あの人、魔団隊長のラザルさんじゃない?」
((そうだな。お前が知ってるラザルより若いけどな))
ボクは、おーい! って声をかけようとしたけど、クロちゃんがあわてて止めて、ダメって言ったんだ。
((今のお前は、まだこの世にいないんだ。ないしょにしとかないと、未来が変わっちまうかも知れないだろ? かあさまのことも『シルヴィアさま』って言うんだぞ))
ええ…、しょうがないなぁ。…うん、でも、分かった。
ボクは知らないフリをして、ラザルさんに声をかけたよ。
「あ! あの!」
「…? …え!? こ、子供!?」
ラザルさんにビックリされちゃった。とりあえず、えーと…
「か…、…シルヴィアさまに、あわせてください!」
「!? な、何でシルヴィア様のことを…。君、一体何者なんだい?」
「………」
どうしよう。なんて言ったらいいのかな。
ボクとクロちゃんが困ってると、
「ラザル、どうし…、………え!? こんなところに、子供!?」
女の騎士さんがきた…、って、あれ!? 騎士団長のミネオラさん!?
((だから過去なんだって。まだ騎士団長じゃないぞ))
あ、そっか。
ミネオラさんもビックリしてる。ラザルさんが事情を説明してくれたよ。
「そ、そうか…。と、とにかく、まずはドレイヴァン様に相談しよう」
え!? ドレイヴァン先生もいるの!?
ちょっとうれしくなったけど、やっぱりクロちゃんにちゅういされちゃった。
((まだお前の先生じゃないからな。とりあえずユージーンは、あんまり喋んないようにしないとな))
うん、分かった。お口チャックするね。
✮ ⋆ ˚ 。 ⋆ 。 ° ✩
「何と…。この子供が持っている宝石は、正に…」
ああ、そっか。先生はクロノアルヴァのこと、知ってたんだね。
先生が、かあさまのところに案内してくれるって。やっと昔のかあさまに会える。楽しみだなぁ♪
…だけど。
ボクはコッソリと、クロちゃんに話しかけた。
「…ねえ、なんかみんな、くたびれすぎてない?」
どの騎士さんたちも、クタクタの、ボロボロだよ。
((そりゃあそうさ。今ここは、戦争してるんだ))
え!? せ、戦争!? 戦争って、人が死んだりして、コワイことじゃないの!? ぼ、ボク、ヤダよ! コワイよ!
((大丈夫だよ。お前が戦う訳じゃねぇって。…ほら、昔のシルヴィアに会えるぞ))
う、うん…。でも…。
「姫様、少しよろしいですか?」
ひめさま、って、かあさまのことだよね。ボクはドレイヴァン先生のあとについて、天幕の中に入っていった。
「―――!? …子供!?」
! か、かあさまの声だけど…、…あれが、かあさま!? …あんなにやせて、汚れてて…、そ、そんなぁ!
((…だから戦争中なんだってば。しょーがねーだろ))
ううう…、ヤダよぅ。戦争反対!
…って、あれ? 外からなんか声が…。
「………せ! 離せって! ちゃんと降伏しただろう!?」
! こ、この声、もしかして、…とうさま!?
((おい、だまってろ。…実はな、お前の両親、ここで初めて出会うんだ。お前が今『とうさま』って呼んじゃうと、未来が変わっちゃうかも知れないからな))
そ、そうなの!?
…うーん、しょうがない。ココでもお口チャック。
✮ ⋆ ˚ 。 ⋆ 。 ° ✩
「………僕は、あの城から逃げてきたんだ。何しろノクスヴァールはもう…」
とうさま、どっかから逃げてきたんだって。何だかあちこちケガしてるみたい。
ボク、おとなしくお話聞いてたけど、よくわかんない。どういうこと?
((つまりだな。今お前のかあさまととうさまは、敵同士なんだ))
ええっ!? な、なんで!?
((元々シルヴィアはアルヴァティアの、お前のとうさまはノクスヴァールの人間だったんだよ。だけどルシアン…、お前のとうさまがいた城は、おかしなことになってるんだ。…とにかく、このままだとルシアンは、悪者にされちまうな。…よし! いいか?))
ゴニョゴニョゴニョ。…うん、うん。
ボクはクロちゃんに言われたとおり、とうさまのそばに行って、ほっぺたを撫でてあげたの。
「………」
ボクのクロノアルヴァが光って、クロちゃんがとうさまのキズを、回復のまほうで治してあげたよ。スゴイや! クロちゃん!
((…よし、じゃあお前、とうさまに抱きついて甘えてやれ!))
え? いいの? ヤッタ!
ボクは、とうさま、大好き! って思いながら、とうさまに抱きついたんだ。そしたらとうさま、「ありがとう」って言ってくれたよ! エヘヘ♪
「…貴方は、間者としてここに来たのではないのですね」
あ! かあさま、少し優しいお顔でとうさまに話しかけてくれてる! よかったぁ。
((そうそう、とりあえず、ルシアンは悪者じゃないって、分かってもらわないとな))
うん! …それにしても。
「………は何故、執拗に我が国の宝を………」
「………ザフィールの身体は既に……… ………主要陣は全て、魔族と………」
…なんか、ムズカシイお話してる。ザフィール…? …って、だれだろ?
((ザフィールはルシアンの兄さまだ。…けどな、ザフィールはもう、魔族に殺されてるんだ))
え!? じゃ、じゃあ、戦争って、魔族が相手なの!?
((ああ、そうなるな。………どうやら、その魔族共を封じ込めるために、『封印の祠』ってとこに向かうみたいだ。シルヴィアとルシアン…、あと、たぶんお前も一緒に行くだろ))
え、ボクもかあさまたちといっしょに行けるの?
((ああ。一番安全なルートになるそうだからな。…でも、くれぐれも、かあさま、とうさま、って言うなよ))
う、うん。
………ところで、ねえ、クロちゃん。
((? 何だ?))
…ときわたり、もっと前に行ければ、とうさまの兄さまや、かあさまのとうさまたちも、助けられたんじゃない? 魔族に気をつけるように、って教えてあげなきゃ!
((うーん…、でも、そうなるとシルヴィアとルシアンは出会ってなかったかも知れないぞ。そしたらお前、生まれてこれないじゃないか))
あ! そ、そっか!
…うーん、しょうがないかぁ…。でも、おじいさまたちにも会ってみたかったなぁ、って、ちょっとだけ思ったんだ。
…ふわぁ。なんだかねむくなってきちゃった…。
「―――貴方、名前は? どこから来たの?」
ん? かあさまの声…。ボクに聞いてるの? えっと…、名前くらいなら言っても大丈夫だよね? クロちゃんを見たら、うんうん、って言ってるから、じゃあ…、
「………ボク、ユージーン」
「そなた、もしやクロノアルヴァの継承者なのか?」
わ! ドレイヴァン先生、気づいてるよ!
「! ―――ということは…、シルヴィア。この子は、未来の君が産んだ、君の子供…、ということか!?」
わ! とうさまにも気づかれちゃった! そういえば、かあさまがクロノアルヴァの次の主を産む、とか何とか、さっき言ってたような…。ど、どうしよう…。
((言わなくていいぞ。ないしょ、って言っとけ。くわしいことは言っちゃダメだ。…あと、ここに来る前、シルヴィアが言ってたろ? 眠くなったら私に寄り添ってくれ、って。…お前が眠ったら、きっとシルヴィアが抱っこしてくれるぞ))
…うん、わかった。かあさま…、ボク、もうねむすぎてダメだぁ…。
「………ないしょなの。くわしいことは言っちゃダメって、クロちゃんが………」
………zzz。
そこから先のコトは、ボク、よくおぼえてないや。
気のせいかな、クロちゃんが二人に見えたけど…。あれは…、この時代のクロちゃん………?
✮ ⋆ ˚ 。 ⋆ 。 ° ✩
朝起きたら、カゴに乗せられてた。
…あれ? ボクを背負ってる人…、騎士団長の副官さん? …シドさんだ!
「あら、起きたの?」
もう一人、女の人がボクに話しかけてきた。
…あれ? この人、遊撃隊のレムさん! ときどきボクに、街で流行ってるお菓子をコッソリくれるんだよね。
((余計なコトは言うなよ。とりあえず、おとなしく背負われてろ。これから『封印の祠』に向かうんだ))
ふぅん。シドさんとレムさん…、あと、とうさまとかあさま。それとボク。みんな、フードかぶって旅の冒険者さんみたいな格好してるね。
((だな。旅人に変装してるんだ。てか、お前にとっちゃ、ホントの冒険だもんな))
うん! ワクワクするね♪
((でも戦争中だからな。おまけに魔物も出る。気をつけろよ))
ええっ!? そーなの!? ちょっとコワイ…。
✮ ⋆ ˚ 。 ⋆ 。 ° ✩
「氷剣!」
! か、かあさま、スゴイ! かあさま、こんなに強かったの!?
―――旅の途中、森を抜けようとしたら、コワイまものがいっぱい出てきた。オークもゴブリンも、えほんでしか見たことなかったのに…。
((この頃はまだ、大地が封印される前だからな。お前が生まれた頃よりも魔物は多いんだ))
そーなんだ。…うう、イヤだなぁ。…あれ? とうさま? ボクのそばに、とうさまが来てくれたよ。
「ユージーンは僕の後ろに隠れててね。…『防御壁』!」
!? え!? と、とうさま、まほう使えるの!?
((この時はシルヴィアもルシアンも、まだ魔力を持ってたんだよ。ほら、見てみろ))
…わ! かあさまの剣が白く光ってる! あれは…、
((氷剣だ。シルヴィアは自分の剣に、氷魔法を乗せて戦ってたんだ))
うわぁ…! スゴイ! かあさま、スッゴク強い!
「…『身体強化』! 『攻撃強化』! 『俊敏強化』!」
え!? え!? とうさまもスゴイ!
シドさんとレムさんも、とうさまのまほうで、あんなに速く動いて…!
うわぁ! あっという間にまものをみんな、やっつけちゃった!
「―――ふぅ、誰も怪我はないわね」
「はいっ! ルシアンさんの支援魔法のお陰で、いつも以上に動けましたから!」
…す、スゴかったぁ。とうさまもかあさまも、こんなにまほう使えてたのに、何でまりょく、なくなっちゃったんだろ…。
((それはな、祠に行けば分かるさ))
? そうなの?
…このときのボクは、あんなコトになるなんて、まだ分かんなかったんだ―――
✮ ⋆ ˚ 。 ⋆ 。 ° ✩
「―――着いた。ここがそうだよ」
『封印の祠』に着いちゃった。
ココに来るまで、いろんな人がしんせつに、ゴハンをくれたり、泊めてくれたり、たのしかったなぁ。
みんなボクのこと「カワイイね」って言ってくれたけど、なんとなく不安そうだった。やっぱり戦争中だからかなぁ。
…って、あれ? とうさま…。一人で祠に向かってるよ?
((…さて、ユージーン。ここからがお前の大仕事だぞ))
? どういうこと? クロちゃん。
((いいか、よく聞け。ルシアンはな、この祠に自分の魔力と命を捧げることで、大地の封印を施す『鍵』の役割があるんだ。そして今、正にその役割を果たそうとしている))
え!? じゃ、じゃあ、…もしかしてとうさま、死んじゃうの!?
((ああ。だからお前、シルヴィアも連れて祠に入れ。ルシアンの命の代わりに、シルヴィアの魔力を捧げるんだ。そうすりゃ封印は為される。ここまでの旅で、ルシアンとシルヴィアは心が通い合ってるからな))
ふぅん、そうなんだ…。…じゃない! じゃあ急がなきゃ!
ボクはシドさんの背中で、「お願い! 下ろして!」って暴れたんだ。
「え!? おい、ユージーン…!」
ごめんね、シドさん! せつめいしてるヒマないんだ!
ボクは走って、かあさまの手をつかんで、とうさまの後を追いかけた。
「!? ユージーン! ダメだよ、ここに入ったら!」
とうさまがそう言うけど、ボクは、
「―――ダメ!!!」
力いっぱい叫んだら、とうさまもかあさまもおどろいてたけど、…えっと、とうさまって言っちゃ、だめだから…、
「ルシアンさまと、シルヴィアさま! ふたりとも、ここにいないとダメなの! いっしょなの!」
…こ、これでいいんだよね? クロちゃん!
((ああ、上出来だ。だけど、まだだぞ。気合い入れていけよ!))
うん!
とうさまが「僕の邪魔はしないと、約束してくれるかい?」って言ったよ。
ボクは、うん、っておへんじしたんだ。だって、これからボクがするコトは、ジャマじゃないもんね。
✮ ⋆ ˚ 。 ⋆ 。 ° ✩
祠に入って、とうさまが洞窟のしるしに手をかざしたよ。…しるし、光ってるね?
((ああなったら、もうルシアンは動けない。このまま命尽きるまで、印に魔力と生命力を吸い取られるんだ))
え!? た、たいへん! ど、どーすればいいの!?
…あ! かあさまが、とうさまの手に…!
「だ…、ダメです! 貴方の命と引き換えになど…!」
そ、そーだよ! ダメだよぉ! クロちゃん! どーすればいいの!?
((そのまま、お前の手を二人の手に重ねろ! シルヴィアに、「かあさまの魔力を全部あげれば、魔力は無くなるけどルシアンは死なない」って教えてやれ!))
! う、うん! わかった!
ガシッ!
ボクは、とうさまとかあさまの手の上に、ボクの手をのっけたんだ。
「!? ユージーン! 何を…」
「………まりょく! かあさまのまりょくも、ぜーんぶ、あげちゃうの! まほう、きえちゃうけど…、しななくなるんだよ!」
クロちゃんに言われたとおり、教えてあげたよ。これでもう、だいじょうぶだよね?
((バッチリだ! ほら、シルヴィアが自分の魔力を送ってる。分かるだろ?))
…うん。とうさまとかあさまにまりょくがないのは、このせいだったんだね。
まほうを使ってるときのかあさまたち、すっごくカッコよかったけど…、でも、とうさまとかあさま、わらってる。
まほうが使えなくたって、ボクのとうさまとかあさまは、サイコーにカッコイイや!
((ああ、ユージーンの言うとおりだ…、………!? 悪ぃ、オレ、ちょっとヤボ用が出来た。すぐ戻るから、おとなしくしてろよ!))
え!? く、クロちゃん!?
…えええ、どーしちゃったんだろ………、って、え!? あ、あれ、何!? か、かいじゅうだぁ!
「キャアッ!」
わわ! レムさん、ふっ飛ばされちゃった! シドさんも…! うわーん! コワイよぉ! …!? え!? か、かあさま!? かあさまが、剣をかまえて…、とうさまが叫んで…、
「シルヴィア!」
「…大丈夫!」
ザシュッ!
す…、スゴイ! かいじゅうが、まっぷたつだ! まほうがなくなっても、ボクのかあさま、メチャクチャ強い!
…ん? クロちゃん…、かいじゅうと何か、おはなししてる? …あ! もどってきた!
((ハハッ! オレが出るまでもなかったな! やっぱシルヴィア、スゴイや! …さあ、元の世界に帰るぞ!))
え? 帰るの? そっか…、もう用事は済んだんだね。昔のかあさまたちのスゴイところも見れたし、今のかあさまたちも、きっとまっててくれてるだろうし…。
うん、帰ろう! …わわ! ボクのからだ、浮き上がったよ!
「ユージーン!」
あ、かあさま! とうさまも…。
ごめんね、ボク、もう元の世界に帰るんだ。このキラキラした光の中に入ったら、時間旅行はおしまいなんだよ。
タイヘンだったけど、ボク、たのしかった!
((そうだな。…ああ、そうだ。もう『とうさま』って呼んで大丈夫だぞ。お前が生まれる未来は、これで確定だ))
! そうなんだ! ヤッタァ! それじゃあ、
「エヘヘ、じゃあまたね! かあさま! …とうさま!」
ボクはかあさまたちに手をふって、光の中に飛び込んだんだ―――
✮ ⋆ ˚ 。 ⋆ 。 ° ✩
「ただいま! かあさま!」
「おかえりなさい、私の天使…」
シルヴィアの腕の中に飛び込むユージーンを見ながら、クロちゃん…、クロノアルヴァは、
(天使、ねぇ…。実はアイツ、本当に天使の生まれ変わりなんだよね)
そう思いながら、昔々のことを思い出します。
クロノアルヴァを作ったのは、アルヴァノクスより前の国、アルヴァティア国を創造した、天使・アルヴァティアなんです。
アルヴァティアは、クロノアルヴァがさみしくならないように、時々生まれ変わることを約束したのでした。
―――今回久しぶりに、ユージーンとして生まれ変わったアルヴァティア。
これは、クロノアルヴァだけが知っている、ないしょのお話。
☆ おしまい ☆
あらすじにも書いたとおり、こちらは戦記として書いた『白刃の王女と、戦場に舞い降りた天使』の、ユージーン視点のお話です。
シルヴィア視点のお話はコチラ↓
https://ncode.syosetu.com/n2533lq/
大人達の事情が書かれております。未読でしたら、お時間&ご興味あれば(^^)




