超女性上位時代 小学校の思い出
これは作者の実体験を多少交えてはありますが 妄想・願望によって書かれた完全な作り話です。被虐的な倒錯が全編を貫いています。ご注意ください。
圧倒的に女性上位な世界 (剣も魔法も出てきませんが異世界、もしくは近未来)で主人公の僕がどうやって生きてきたか
まずは小学校高学年篇です。
高校卒業から12年ぶりに実家に住むことになった。残念ながら心身ともに健康とはいかない。勤め先の会社での心を削られるような仕事で精神を病んでしまい退職を余儀なくされ、アパートも引き払い 恥ずかしながら 帰って来た。一時は外出もできないような状態だったが仕事から離れたおかげか徐々に回復しつつある。30歳近い大人が実家に頼りきりで情けない限りだが仕方ない。頼れる実家があってラッキーと思うことにした。昨日は退職した会社の総務部から電話が来た。楽な部署に移すから全快したら復職しないかと言われた。人手不足が深刻らしい。返事は保留にしておいた。
実家近くの公園のベンチに腰を下ろしていたら 上から女性が見下ろしてきた。「谷脇じゃない?」
かなり大柄な女性だ。「私よ 長谷川」その瞬間 僕の頭の中は19年前の夏の日に戻っていた。
僕の家は19年前に県外からこの町に越してきたのだ。夏休み中の登校日新しいクラスメイトの前で挨拶をした。「谷脇真一です よろしくお願いします。」消え入りそうな声で言い終わらないうちに「もっと大きな声で言いなさいよ!」クラスの最後列から大きな声がした。色黒で背の高い女子が席を立ってぼくをまっすぐ見ている。整った顔立ちで笑顔だが 僕は気おされて顔を見返すこともできなかった。「もじもじしないのよ!」さらに別の女子の声がして、クラス中に笑い声がはじけた。担任の先生はその騒ぎを静めると、ぼくにクラス委員長の長谷川の隣に座るように言った。最初に声をあげた色黒の女子だ。「よろしくお願いします。」「よろしくね。わたし長谷川久美子 色々教えてあげるね」
その長谷川久美子が今、30歳の僕の顔を見下ろしている。久しぶりに会う彼女は少女の頃と同じ溌剌とした明るさとエネルギーを発散していた。
「ずいぶん久しぶりね。18年ぶりかしら。」突然の再会に頭の中は真っ白 という状態だった。この長谷川久美子は小学校卒業と同時に別の町に引っ越して、それ以来連絡を取っていなかった。近況報告をしあった。彼女は実家があったこの町に帰ったわけではないそうだ。小学生のころからの友達を訪ねて、ついでに実家のあったこの近所に足を向けたのだという。「私のことなんて忘れてたでしょ 顔に書いてあるわ」「いや・・・まあ」「小学校のときはよく遊んだのにね。」仕事で一度壊れかけた頭だったがだんだん当時の記憶がよみがえってきた。
彼女と初めて会った日 先生のお話が終わり解散になると、長谷川久美子は僕を、友達二人に引き合わせた。「あたし米山」2人目に声を上げた子だ。米山は長谷川と同じくらい日焼けしていて、身長は長谷川より低いが肩幅は広かった。「あたし八木」八木はやや色白だが切れ長の澄んだきれいな目をしていた。三人とも見るからに活発なタイプだ。3人とも同じ学年と思えないくらい背が高い。僕は長谷川のみぞおちの位置から見上げることになった。僕は成長が遅く、いつもクラスで一番背が低かった。体の線も細いし色白だった。「谷脇って、髪の毛も目もちょっと茶色いし、ハーフなの?」日焼けした腕をタンクトップから突き出した米山が言った。「ちがいます」ぼくは顔を赤くして答えた。「谷脇って小さくて可愛いね。」ぼくの顔をのぞきこみながら八木。「この子 言葉遣いちゃんとしてるし、偉いじゃん。」長谷川がぼくの髪の毛をくしゃくしゃにしながら言った。「この子がいじめられたりしないようにあたしらで守ってあげようよ。」二人とも異口同音に「それいいね!」「あたしら3人 年上とけんかしても負けたこと一度もないんだから 女子でも男子でもね。任せときなさい。」3人は腕組みしながら宣言した。確かにこの3人中学生相手でもケンカで勝てそうだ。僕はというと思いがけない展開に言葉が出なかった。「いいよね 谷脇ちゃん?」三人はぼくを見下ろして言った。「はい」これだけ言うのがやっとだった。「よろしくお願いします でしょ!」米山は念押しした。「よろしくお願いします。」深々と頭を下げながら僕。この3人との関係がこれで決定した。3人は僕を連れて長谷川の家に行った。僕の家の近所だった。長身で美人の長谷川の母親が冷たい飲み物を持ってきてくれた。 「いらっしゃい ボク何年生?」
新学期が始まる日の朝、集団登校の集合場所で長谷川は手招きしていた。「遅いわよ こっち こっち」走って行くと、2人の女子が話しかけてきた。「あなた 何年生?」「名前は?」ちっちゃーい 可愛い つんつんと指先で突っついてくる。「だめよ あたしの友達なんだからね。」長谷川がやんわりと止めた。この2人は4年生、年下だった。長谷川、八木、米山は教室ー5年3組ーに着くと僕に勉強や学校のことなど 色々世話を焼いてくれた。それを見て何人かの女子がやって来た。「この子、谷脇だったっけ?可愛いね。」「ちょっと遊んであげようか」いたずら心たっぷりの顔だ。「いじめはだめよ 谷脇ちゃん か弱いんだから。優しくしてあげないとね。」長谷川が窘めた「いじめなんかしないよ。人聞き悪いなー。」「この子長谷川たちのペットなの?同じクラスじゃんよ 女子みんなで共有しようよ」「独占はないでしょ」「・・・ 少しならいいかな。ほら 遊んでもらいなさい」 クラスで一番、いや多分学年で一番強い長谷川だがクラスメイトの意向を無視するわけにはいかないようで、あっさり譲歩した。僕の都合は全く無視だったが。「サンキュー ほら、こっち来なさい」早速「赤ちゃんごっこ」で僕は女子全員の「赤ちゃん」にさせられた。体格のいい子が僕を「高い 高い」と持ち上げた。「おっきい 赤ちゃんねー」と白い歯を見せて笑い、はい、パス と順番に持ち上げられたり、抱っこされたり、ハイハイさせられたり、思うまま玩具にされた。「残念、オッパイは出ないからね」「明日哺乳瓶持ってこようか」「おしめ取り替えてあげようか」(!)あはは、冗談よ
次の休み時間に長谷川は僕を犬にして、四つん這いで教室や廊下を歩き回らせ、「ポチちゃん お散歩よ。」「お手」「お回り」「チンチン」と命令した。僕が命令に従うたびに女子達は盛り上がった。こうして女子全員のおもちゃに認定され、「ポチ」というありがたい名前もいただいた。
それからは毎日のように、「赤ちゃん」になって、哺乳瓶からジュースを飲まされたり、「犬」になって廊下を散歩したり、3,4人の女子の中心に据えられ「おしくらまんじゅう 押されて泣くな」と背中と尻で圧迫されたり、ドッジボールのボールにされたりした。女子2人で僕を押し飛ばし それを他の女子2人がキャッチするのだ。しかし、彼女たちは決して僕が怪我するようなことはしなかった。体にあざを作ったりしたこともなかった。彼女たちは男子を玩具にして遊ぶことに慣れていたのだ。玩具は壊れないように大事に扱う。女子達にとってこれがルールなのだ。
僕だけでなく他の男子も程度の差はあれ全員が女子に弄ばれていた。女子は男子を体格・体力(勉強でも)勝っている上に数も多かった。どこのクラスでも男子は女子の三分の二から半分程度だ。プロレスの技をかけられたり、尻や腿を蹴られたり、四つん這いにさせられて、背中を女子の足置き台にされたりする男子は普通に見られた。給食、掃除などの当番もすべて女子が仕切っていて男子は言いなりだった。昼休みは校庭に連れだされて、女子との外遊びに参加しなければならない。本好きな僕は学校に本を持参で来たが、読む時間はなかった。前の学校でも同じだったが、3年生ぐらいになると女子は男子よりも強い存在であることを自覚するようで、日常的に男子を玩具扱いすることで、それを確認する。逆に男子は女子には絶対勝てないと教え込まれる。どこでも、女子と話す時に男子は敬語を使っていた。女性に逆らっても無駄だ。従順に振る舞うしかない。
11月のある日 昼休みに僕はこっそり教室に戻り本を広げた。区民図書館で借りた推理小説の文庫本だ。体の成長は遅かったが読書ではマセた子供だった。子供向けにリライトした本では物足りなくなっていたのだ。 本に取り組んでいると長谷川たち3人が帰って来た。「ポチちゃんいた! だめでしょ 勝手なマネして」八木のよく通る声にぼくは縮みあがった。「ポチちゃん 何読んでるの」長谷川は椅子に座っているぼくの背後から両手を回してのしかかってきた。11月だったが外遊びで火照った体温と吐息が伝わってきて、なんだか変な気分になった。僕が机に隠した文庫本を目ざとく見つけだした長谷川は本を手にとって「なにこれ ちょっとやらしい感じ」僕の顔を覗き込みながら意地悪そうに笑った。表紙カバーに服を少しはだけた女性のイラストが描いてあったのだ。米山「ポチちゃんはお子ちゃまなんだから こんなの読んじゃだめでしょー」すごく嬉しそうだ。いじるネタが見つかって大喜びしている。米山は本を手に「これ没収ね」と言った。「困ります それ図書館の本なんです」僕は懇願したが、3人を喜ばせただけだった。米山は本を持った手を頭上高く上げ、「取り返してみなさい」本に飛びつこうとしたが頭を押さえられ半泣きの僕に米山は逞しい腕でヘッドロックをかけた。「ポチちゃん 苦しい?」長谷川が止めに入りヘッドロックを解いてもらえたが、次は八木が正面からぼくを抱き寄せ背中に両手を回してはがい締めにした。ベアハッグだ。僕の両足が浮いて、正面から半泣きの顔を覗き込まれた。八木の利発そうな顔が笑っていた。「手加減しなさいよ、あんた馬鹿力なんだから。」長谷川と米山は笑いながら、僕の頬をツンツンしていた「ポチちゃんの頬っぺた柔らかい 赤ちゃんみたい」と米山「ダメでしょ 勝手なことしちゃ」「すみません・・・」「ホントに反省してる?」「二度としません。」「よし 許してあげるね。」八木は僕を下ろすと、自分が締め上げた僕の腕や背中を優しく撫ぜ、僕のおでこに軽く唇を当てた。「痛いの痛いの飛んでけ」もう一回 おでこに唇を当てた。
授業が終わると教室その他を当番制で掃除するのだが、気が重い時間だ。女子が男子を嬉々としてこき使うし、なんのかんの難癖をつけては「お仕置き」という名の肉体的なイジメが始まるのだ。長谷川は担任の先生が「じゃ、あとはお願いね」と言い残して教室を去ると、教室掃除当番の(僕や長谷川も含めて)男女15人に「今日はクラス委員長の私から提案があります。」「今日の昼休み、このポチちゃんは一人教室でこんな本を読んでました。」僕から取り上げた本を右手に持ち、左手をぼくのか細い肩に回して言った。男子たちは気まずそうに顔を伏せた。「ポチちゃん 悪い子」「これはお仕置き決定だね」女子たちは口々に言った。八木と米田はトイレ掃除で教室にいなかった。女子たちは机、椅子を教室の後ろに寄せた。そして僕を除く男子6人を廊下に出し、「廊下掃除は任せたから」言い捨てると長谷川はドアを閉めた。女子達は僕をとり囲んだ。「すごい怖がってる」「そんなに怯えないで 優しく教えてあげるから」これから何をされるんだろうか 「ほら こっち」長谷川はぼくの手を握って引き寄せた。「これから 変形おしくらまんじゅうをしまーす。」長谷川を含む女子8人は円陣を作り、真ん中にぼくを置き、背中を向けず正面から押し包むように、円陣を狭めた。女子8人に囲まれ、圧迫され、どこにも逃げ場がない。「ポチちゃん つぶれて無くなっちゃう」「楽しいー!」女子達の体温と嬌声に包まれ、女子達の手が体中をまさぐり、膝や腿が締め付けた。熱気と圧迫感と恥ずかしさで気が遠くなった。彼女らは僕を一旦解放したが 終わったわけではなかった。長谷川はへたりこんだ僕を助け起こすと「次はお馬さんよ」僕は四つん這いにさせられ、背中に女の子がまたがった。乗ったのは比較的小柄な女子だったが それでも僕よりはずっと大きかった。そしてもう一人 僕の細い体を足で締め上げた。さらに長谷川がうなだれてる僕の首を跨いだ。そしてゆっくりと尻を僕の後頭部に落とし、両腿で締め付けた。弾力のある逞しい内腿の感触が首と顔に伝わってきた。「このくらいでいいでしょ」気絶する寸前でやっとお許しがもらえた。長谷川は廊下掃除中の男子6人を教室に入れ、てきぱきと掃除の指示を出した。「お仕置き」は時間的には5分にも満たない短い時間だった。僕から取り上げた本を長谷川はもちろん返してくれた。
翌日、米山と八木は「お仕置き」の内容を聞いて、自分たちが参加できなかったことを「不公平だ」と言い出した。長谷川は宥めたが、納得できてないようだった。八木は僕の手を包み込むように握ると、僕の目を覗き込み「ポチちゃんとお馬さん遊びしたいな ポチちゃん いいよね」「あんた 今日スカートでしょ それでポチちゃんの頭を跨ぐの?」と米山が止めた。「あたしは構わないけど」「駄目 エッチだから」長谷川も止めに入り、八木はあきらめたようだったので、ほっとした。
その日は朝から雨降りで、ぼくは昼休みに学校図書館に行ってみた。(もちろん3人に許可をもらった上で)読み物や図鑑などをつまみ読みして、図書館を出た僕は八木に捕まった。八木は一階の階段下の誰もいないところに僕を引っ張っていった。「ねえ 谷脇」「は、はい」名前呼びだ。どうしたんだろう。表情も真剣だ。「長谷川のこと好きなの?」「いや そういうわけでは」「じゃあ どうして昨日 あんなことさせたの?」お馬さんで頭を股で挟まれたことを言ってるのだ。「違います。されたんです 」「長谷川のこと何とも思ってないなら あたしにされてもいいよね。四つん這いになりなさい。」無茶苦茶な理屈だが逆らうことは絶対できなかった。「早く!」強い調子で言われ 観念した僕は床に膝をついた。彼女は勝ち誇った顔で僕を見下ろしスカートをたくし上げた。その時 階段を下りてくる足音がした。担任の佐野先生だった。八木は僕を引っ張り起こし、何事もないように装った。「予鈴が鳴ってるわよ。教室に戻りなさい。」先生が去ると 彼女は僕を抱き寄せ「覚えておきなさいね ポチちゃんはあたしのものなんだからね。」耳元で囁くと教室に走って行った。
次の日だった。米山が自分の家に寄っていこう と提案した。彼女たちは平日も米山は体操教室、長谷川は水泳教室、八木はレスリング教室に通っていて多忙だったが、その日は皆 体が空いていた。米山の家は僕や長谷川とは逆方向だった。途中で公園にさしかかった。かなり広い公園だ。いくつかの女の子の集団が遊んでいた。男子も数人遊んでいたが遠慮がちにしていた。相撲をとっていた女子グループに米山が声をかけた。「ねえ この子 混ぜてあげてくれない?」 「この子」とはもちろん僕だ。女の子たちーたぶんみんな年下だーが僕を見た。「このヒト、5年ですか?」リーダーとおぼしき子が米山に聞いた「そうよ、あたしらと同じクラス。男子にはハンデあげないとね。」僕は縋るように長谷川の顔を見たが、彼女は「いいじゃない 揉んでもらいなさい」と僕の背中を押した よっしゃー かわいいw 女の子たちは盛り上がった。「この子 ポチちゃん よろしくね」米山が行司を務め、長谷川、八木は僕が怪我したりしないように後ろを固めていた。 対戦した女の子は3年生 体格的には僕と互角だが始まると 僕は押しまくられて 手も足も出ず負けた。「大丈夫?」八木は僕の肩に手を回していたわってくれた。次に米山は遠巻きに眺めていた男子4人を強引に引っ張りこんだ。「みんな あたしの知り合い 男子も女子もね」自慢げだ。結果は悲惨なもので、4人の男子は、全員5年生で僕より体は大きかったが、3,4年の女子グループに歯が立たず、押し出され、投げ飛ばされ、全敗だった。泣きべそかいている子もいた。女子グループの「男子って弱すぎて 面白くないです。」この言葉で男子4人は解放されたが、僕はこの後、米山と相撲を取らされることになった。ハンデをつけるため僕が米山の腰に組み付いた状態から始めたが、米山は圧倒的な力で僕を持ちあげ、肩に担ぎ上げ、飛行機投げの要領でグルグルと回した。そして、僕を優しく地面に立たせて「ポチちゃん 目が回った?」女子グループは大いに盛り上がった。その後 米山の家で彼女の個室に腰を下ろすと、「あんた ちょっと乱暴じゃない?怪我でもしたらどうすんのよ?」八木が米山に食いついた。「大丈夫 あたしはあの子たちよく知ってんだから 乱暴な子たちじゃないし」「あんたは知っててもポチちゃんは知らないでしょ。可哀想じゃない」「・・・まあ そうね。ポチちゃん ごめんね もうあんなことしないから」「大丈夫です 怪我もないですし」黙っていた長谷川が「でも 米山の気持ち あたしは分かるな」 「気持ち?」と八木 「ポチちゃんって こう・・・くちゃくちゃにしたくなるのよ」「そう」米山が同意した 「時々このぬいぐるみのクマちゃんを ギューって押しつぶしたりしてるんだけど」米山は くたびれたクマのぬいぐるみを手に取っていった。「そんな感じ」「ポチちゃんは人間なんだから ぬいぐるみと同じにしたら駄目でしょ」と八木 「わかってる。悪かったわ ごめんなさい」 ジュースを飲み、クッキーを食べながら話をした。「ねえ、ポチちゃんって転校する前の学校で、どうだったの?」米山が聞いてきた。「・・・よく女子にいじめられてました。」やっぱり と言う顔で長谷川 「まあ、女子の方がつよいもんね。」と八木。「前の学校では男子にも時々いじめられてました。で、やり返して、ケンカしたりしてました。」八木が「ポチちゃん 結構気が強いんだね。」意外そうに言った。「チビですから よく負けてましたけど。女子とはケンカしても一度も勝てませんでした。年下の女子とケンカしてもすぐ押さえつけられて・・・」4年生のときに3年生の女子にいじめられて、つかみかかったが、あっさりと抑え込まれ、居合わせた女子全員に尻を叩かれたことを打ち明けた。僕を四つん這いにさせ「女子に逆らう悪い男子にはお仕置きしないとね。」と宣言したその子の意地悪そうな顔が今でも瞼に焼き付いている。5,6人の女子に繰り返し尻を叩かれ、「もう二度と逆らいません。ごめんなさい。許してください」と哀願した。とばっちりを恐れて男子はどこかに逃げていた。それ以来、年下の女子まで僕をいじめにくるようになった。「ポチちゃん 可哀想だね。この学校では酷いことされないようにあたしらで守ってあげるからね。」長谷川が宣言した。
それからしばらく 女子達は僕をあまりいじらなかった。毎日ではないが、昼休みに図書館で読書したりできるようになった。それ以外にも変化があった。5年生の秋までは授業は全て男女一緒に受けていたのが 月に2時間くらいだが、男女別々の時間ができた。僕たち男子は校庭の草むしり 体育館の掃除など清掃活動をしていた。一方女子は視聴覚室で授業を受けていた。「ほけんたいく」だそうだ 内容はわからない。男子にとっては怖い女子がいない気楽な時間だったが、若くて美人だが時々怖い担任の佐野先生が見ているので手は抜けなかった。それまであまり打ち解けられなかったクラスの男子たちと共同作業をすることで仲良くなれた。女子が男子を圧倒している状態は相変わらずだが、いくらかクラスの雰囲気が落ち着いた感じだった。そのまま、クリスマス そして正月を迎えた。冬休み中は長谷川たちにバスケットボールやバレーボールを教えてもらったりした。
そして僕は6年生になった。
6年生に進級して、12歳になった僕は少し身長が伸びた。
「背が伸びたね エライえらい」3人組はぼくを見下ろして頭をなでた。6年でも長谷川、米山、八木は同じクラスだった。勉強は男子の中ではクラスで一番だったし、体育も鉄棒や短距離走などが得意種目になった。放課後の校庭や公園で練習したおかげだ。教室の雰囲気はだいぶ落ち着いていたが 女子のぼくに対する玩具扱いがなくなったわけではなかった。特に長谷川はぼくを完全に家来扱いしていた。彼女が所属する女子バスケットボールチームの練習や試合にもたびたびつき合わされ、雑用係としてこき使われた。5月のある土曜日の午後、バスケットボールの試合の帰りに彼女の家に誘われた。彼女の部屋には何度か入っていたが、その日彼女の両親は留守だった。ジュースを飲み、学校の英語の授業でも聞いたアメリカ、イギリスの歌のCDを聞きながら話していたが、だんだんと長谷川の口数が少なくなった。試合で大活躍だったから疲れているんだ と思った僕は「ぼく そろそろ・・・」腰を上げかけたぼくの手を長谷川が掴んで引き寄せ抱きしめた。強い抱擁と汗の匂いにくらくらしている僕の耳元に彼女の声がささやいた。「ポチちゃん いつもありがとうね。本当はすごく感謝してるんだよ」「いえ・・・そんな」「本当だよ 米山も八木もポチちゃんのこと好きだって。」(好き?) 「あの2人には悪いけどポチちゃんはあたしがいただくから」困惑しているボクの頬を両手で包んだ彼女はそのまま唇をぼくの唇に重ねた。一度目は激しく2度目は優しく包み込むようなキスをすると長谷川は僕を軽々と抱え上げベッドに運んだ。彼女の匂いが残るベッドに投げ出された僕は彼女に両手首をつかまれて押さえこまれ見下ろされた。ぼくは身動き一つ出来ず彼女のなすがままだった。おびえる僕を見下ろし、「怖いの?ポチちゃん」僕の目を覗き込んで「ポチちゃん 何にも知らないのね。」彼女は体をずらして僕を抱き起した。「今日はキスだけにしましょうか。」僕の頭を撫でながら「ごめんね いきなりで怖かったでしょ。」僕は放心状態だった。「でもこれで終わりじゃないから。覚悟してね。」言い終わると再び僕を抱き寄せ3度目のキスをした。長い優しいキスだった。立ち上がりかけていた僕は膝と腰が抜けたようにへたり込んでしまった。彼女に家まで送られて帰った後もぼくの放心状態は続いた。僕は性に関して全く無知だった。キスの次に何をするのか。それよりも「好き」とはっきり言われたことに驚いていたし、信じられない気持ちだった。
週明けの月曜日に顔を合わせた長谷川には変わったところはなかった。僕も何事もなかったように振る舞った。
6月のある日の放課後 僕は当番で男子トイレの掃除をしていた。掃除を終え、クラスメイトと「じゃあ」と別れた僕を八木が呼び止めた。「手は洗ったでしょうね」八木はその日女子トイレの掃除当番だった。「ポチちゃん いいもの見に行こうよ さっきのお詫びよ」八木と一緒に居たのは鈴木という、八木と同じくらい大柄で元気のいい子だ。クラスでは何人もの男子をおもちゃにしていた。僕も彼女のお気に入りの一人だった。その日も鈴木を含む4人に強引に女子トイレに連れ込まれ、「ポチちゃん変態」と囃し立てられ、もみくちゃにいじられた。2人に手を引かれて「フィットネスルーム」の扉の前まで来た。ここは先生方のために運動器具が置いてある部屋で、生徒は立ち入り禁止 利用するのは女の先生だけだった。だが、その部屋から男性の声が聞こえる。「先生、まずいですよ」「大丈夫よ。男ってほんと臆病なんだから」いつもジャージを着ているニコニコして優しい加藤先生だ。男の先生の名前は知らないが、よく加藤先生のお手伝いをしている若い男の人だ。転校する前の学校でも同じだったが、学校の先生は校長先生をはじめほとんどが女性だった。若い男の先生が何人かいたが、低学年のクラスで女の先生の手伝いをしてたようだった。木の扉は30センチぐらい開いていた。僕たち3人は隙間から中を覗いた。体格でも体力でも圧倒的な加藤先生は男の先生を豊満な胸に抱き寄せた。加藤先生はジャージを脱ぎ捨て、Tシャツをめくり上げると男の顔をTシャツで包み込んだ。それから先生は上気した男の顔を両手でつかむと、激しく唇を奪い、されるがままの男をそのままマットに押し倒した。僕はそれ以上は見ることができず、顔を背けた。顔を背けた僕の背後で扉が静かに閉まる音がした。二人は僕の手を引き、部屋から離れた。僕は心臓が破裂しそうにドキドキしてたし、八木と鈴木も顔が赤かった。廊下の角を曲がると鈴木は「すごかった!!あれが大人のキスなのねー」 「小さい声で話しなさいよ。」八木が諭した。「先生はね、私らに見せてくれるって約束したの。」(!?)「大人のキスを見せてあげる これも勉強だからって そう言ってくれたの」レスリングで有名な選手だった加藤先生は八木と鈴木が通うレスリング教室でコーチをしていて、今では何でも話せる年上の友達なのだという。鈴木は「でも、見ていいのはキスまでだって。まだ私たち小学生だから」すごく残念そうだ。一応疑問は解消した。鈴木はわざとらしく僕から距離をとって八木に質問した。「八木って もう、ポチちゃんにキスしたの?」「2回した・・・」小声で八木「唇にしたの?」「おでこに」「なんだ 割と奥手なんだね」「別にいいでしょ!」「いや いいけどさ。長谷川や米山もキスしたのかな?」「してない、はず」「そうなの ポチちゃん?」「・・・してないです」「ふーん」「あんたはどうなの? 男子にキスしたの?」「いや あたしもないけどさ 好きな男子いないし。」二人とも無言になった。僕を挟んで左右に立っていた二人は、僕の両手を強く握った。校庭横の坂道、誰も見ている人はいなかった。八木は見下ろすように僕の正面に立ち、両肩を掴み、僕の唇にキスをした。続いて鈴木。順番に2回づつ僕の唇を奪った。もうすぐ梅雨に入る。曇り空の午後3時半だった。
梅雨が明けて夏空の土曜日の午前 ぼくは長谷川のバスケットボールチームの雑用係を務めていた。米山、八木が所属するバレーボールチームも隣で練習していた。お昼に練習が終わり、体育館のモップ掛けをしていた僕に長谷川、米山、八木の3人が近づいてきて「校舎の下駄箱で待っててね」言い捨てると、更衣室に走って行った。学校が休みの土曜日でも 読書会や中学受験のための勉強会などがあり、学校は開いている。待つほどなく3人はやって来た。「どこかに寄るんですか」「まあ とにかく来て」長谷川と八木の2人が僕の手を左右からつかみ 米山は後ろから背中を押して校舎の中に連れていった。女子トイレの前だった。僕は(やばい)逃げようとしたが三人にガッチリ押さえられている状態では到底無理だった。個室に連れこまれた僕を静かにさせてから、長谷川は「ポチちゃん オシメをかえてあげましょうね」と言った「やってみたかったんだ。」と八木 「あたしら 来年は中学生よ。大人の勉強もしないとでしょ」と米山 長谷川は上蓋を閉めた洋式便器に座り、ぼくを腿の上に乗せた、八木、米山は僕の半ズボンを脱がせ、さらにブリーフも抜き取った。長谷川は右手で僕の両手首をつかみ、左手で僕の口を塞いでいた。僕のペニスはまだ未発達で包皮が被った状態だった。毛も全然生えていなかった。「小さいね ビデオと違う」と米山「ポチちゃん まだ子供だし 仕方ないよ」八木は恐怖で縮みこんでいるペニスを指先でつまんで、軽く前後に動かした。「気持ちいいんでしょ。ポチちゃん」柔らかい八木の手で優しく動かされ、ペニスが反応してきた。「怖がらないで 優しくしてあげるから リラックス リラックス」八木に目を覗き込まれながらささやかれ ペニスは硬く大きくなり包皮から頭を出した。「おっきくなった おっきくなった 八木 上手じゃん」「全部 剥いちゃいなよ。」米山と長谷川がはしゃいだ。八木は包皮を完全に剥いて押し下げた。ピリッとした痛みが走り 僕は顔をゆがめた。「痛い? でも我慢よ」八木は米山が差し出したウエットティッシュで露出した亀頭を拭いた。米山、長谷川と順番に僕のペニスをしごき、僕のペニスは痛いぐらいに勃起していた。時々 朝早くペニスが硬く大きくなることはあったが これは全く未知の経験だった「ポチちゃん おちんちんに皮が被ってると不潔だから お風呂で毎日皮を剥いて洗うのよ。」長谷川が言った。そのことは知ってはいたのだが皮を剥くと痛いのであまりやっていなかった。「今度から 毎日チェックしようか」 「ねえ 出させちゃう?」 「当然でしょ ここで止めたら 可哀想だし」
一番乗り気なのは八木だった。「ほら こちょこちょこちょ」八木はぼくの睾丸の裏からペニスの裏を爪の先でくすぐりあげ、米山は前後にペニスをストロークしていた。未知の気持ちよさに丸のみにされながらも、(出させるって?)という疑問が頭の中をグルグルしていた。長谷川が「二人ともズルい 替わってよ」 しかしその時 「そろそろ学校の玄関をしめるわよ。校舎から出なさい」廊下から先生の声がした。3人は舌打ち顔をしたが、「すいません すぐ出ます」長谷川が答えた。誰もいないことを確認してから まず僕を廊下に出した。僕は彼女らが出てくる前に校門の外に走り出た。まだペニスは硬くなったままで、走りにくかったが、逃げろ。「待ちなさいよ ポチちゃん」長谷川の声だ。米山、八木も一緒だ。僕は諦めて立ち止まった。「ポチちゃん 怖かった? ごめんね 無理やりで」八木は本当に申し訳なさそうな顔をしていた。「でも、怖がらなくてもいいのよ。大人はみんな やってるんだから」米山 「女子は去年から保健の授業で勉強してるんだから 男の子のアソコのことも知ってるのよ」と長谷川 そうか「ほけんたいく」だ。男子が掃除をしている間、女子はそういう勉強をしていたのか。「これから 私の家に行かない?」八木が僕の手を握って言った。「さっきの続きよ」こうして僕は八木の家に連行された。彼女の個室に入り、八木家の冷蔵庫にあった冷凍ピラフとジュースで簡単な食事をすると、僕はすぐに床に寝かされズボンとパンツを膝まで下ろされた。ペニスはまだ硬くなったまま亀頭も包皮から露出していた。「行くわよ」八木がそれを両手で包んだ。長谷川が「ちょっと 私にやらせなさい」「ここは あたしの部屋でしょ。2回目はやらせてあげるから」長谷川は ちょっとだけ膨れたが諦めたようで僕に膝枕をして上から顔を覗き込んだ。そして僕の頬や唇をいじくって変顔をさせた。「やめなさいよ。これは真面目な事なんだから」八木と米山が窘めた。八木に優しくしごかれた僕のペニスはあっけなく白い液を放出した。「ポチちゃん、これが射精よ 覚えておいてね」八木が言った。生まれて初めての経験だった。何が起きたのかわからなかった。僕の靴下の辺りまで飛んだ精液をきれいに拭き取ると、2番手の長谷川はベッドに腰かけて、僕を後ろから抱きかかえ、覆いかぶさるように唇にキスをした。そのまま右手で僕のペニスをしごき 再び勃起に導いた。「長谷川 ずるい」八木の声が聞こえた。彼女は左手で僕の口を開けさせ、舌を入れてきた。生暖かい舌の感触と体の中身を吸いだされる様な力強さを感じた瞬間、僕のペニスは2回目の射精をした。3番手の米山はベッドに腰を下ろし、僕を膝に載せると髪の毛をなぜながらキスしてきた。最初は頬っぺた 次に唇に。「3回目なんだから少し休ませないと」八木はもうすぐ母親が帰って来るといって急かした。「あたしポチちゃんともう少し遊びたい」と言って僕をきつく抱きしめた。僕は息が止まりそうになった。「じゃあ、あたしと替わって」と八木 「ダメ!あたしもポチちゃんに出させるの。」米山の手が僕の股間に下りていった。全身を米山に締め付けられる感覚の中 僕は3回目の射精をした。
6年生になってからいろいろなことが起きた。しかし 僕はそれらの出来事の意味を解ってなかった。つまりキスや射精の意味が分からなかったのだ。その当時の僕は どうやったら子供ができるか全然知らなかった。いや考えたこともなかった。
夏休みが始まり、長谷川たちは学校のスポーツチーム等で忙しそうだ。「ごめんね 今度遊ぼうね」と彼女らは言った。僕も暇なわけではなかった。まず我が家は両親と姉二人、そして僕の五人だ。母は仕事で毎日忙しいし、父もパートタイムとかで働いていて、あまり家に居ない。姉は高校生と中学生でクラブ活動だの勉強会だので忙しい。そのため家事を僕がかなり負担させられる。普段から食後の皿洗い、買い物、洗濯など担当していたが、学校が休みになると、さらに仕事が増える。「学校休みなんだからいいでしょ。」というわけだ。母や姉の靴磨き 庭の草花の水やり 料理 掃除 何でもだ。普段は父と家事を分担するのだが、「休み中はお父さんに楽させてあげなさい」という母の一言で2年前から夏休み中の僕は家事で忙しい。我が家ではーどこの家でもそうだがー母の言葉は絶対だ。姉二人は僕をこき使うのが楽しいようで、帰るなりすぐに靴を磨かせたり、わざと脱ぎ散らかした靴下を洗わせたりした。「こういうの将来役に立つわよ」と言っている。父と母は6年前に結婚した。両方ともいわゆるバツイチで、僕は父の連れ子、姉二人は母の連れ子だ。母は自分と血がつながってない僕も姉二人も平等に愛してくれたが、男は女に従って当然と考えている。そのため時々、厳しい顔を見せることもある。
8月になり、バスケットバールの合宿に行っていた長谷川から連絡があった。「学校のプールで泳ごうよ」同じくバレーボールの合宿から帰った米山、八木も来るという。父さんがパートが休みの日に行く約束をした。タンクトップと半ズボンから日焼けした手足を出した3人は、さらに逞しくなったようだった。3泊4日のバスケットバールとバレーボールの合宿は海の近くであったので、毎日練習後に泳いでいたそうで、やや色白だった八木もきれいに日焼けしている。「ポチちゃん 毎日家事してるの?男の子は大変だね」八木が言った。「でも 夏休みらしいこともしなきゃ 今日はあたしたちが水泳教えてあげるね。」スイミングスクールに通っている長谷川は学校で一番水泳が上手い。小学生水泳大会でも何度も入賞している。米山、八木の二人も長谷川には及ばないがかなり上手い。学校のプールに入り、まず覚えたてのクロールで泳いだ。「結構 上手だね」「夏休み前より上達してる」3人が言った。上手く泳げるようになりたい僕は一人で学校プールに通っていた。「ポチちゃん エライ 男子にしてはかなり上手だよ」米山も言った。僕は誇らしい気分になった。「でも、もっと改善できるね。水泳はまず正しいフォームだから。正しいフォームを身につければ体力のない男子でも速く泳げるから」長谷川が手取り足取り僕にクロールを教えてくれた。「ねえ、ポチちゃん」米山と競争していた八木がやってきた。「バックドロップやらせてくれない?」(?)「・・・何でですか?」「一度 ポチちゃんにバックドロップしてみたかったの。プールの中なら怪我しないし」八木はレスリング教室に通っている。「しょうがないわね。じゃ、ちょっとだけポチちゃん貸すわ」八木は僕の背後に回り、体を密着させた。八木の胸や腰が僕の背中と尻に押し付けられた。「行くぞー それ!」僕の体はきれいに半回転して背中から着水し、水中でもう半回転して足からプールの底についた。「ポチちゃん、怖かった?」「いえ、ちょっと面白かったです。」「今度はフロントスープレックス行くわ」今度は正面から僕のわきの下に両手をさしこんだ。抱きすくめられ、水着と素肌の感触に僕は顔を赤くした。それに気が付いた八木はいたずらな笑みを浮かべ、「覚悟はいい?行くわよ!!」そのまま後ろに反り、僕を水中に投げ込んだ。八木は二回とも痛くないように上手に投げたので、面白かったけど、痛くはなかった。「そこの二人、プールで暴れたらダメ!」プールサイドで監視していた佐野先生が怒っていた。八木と僕は即座に謝った。競泳用水着姿の佐野先生はプールに入って来た。プールからつまみ出されるのかと思ったが、「谷脇くん、先生がクロールを教えてあげるわ」 長谷川は不満そうだった。「先生、監視員はいいんですか?」「ちょうど、加藤先生と交代する時間なの。」というわけで佐野先生からマンツーマンで指導を受けることになった。先生の教え方はさすがに上手だった。ただ、先生は何度となく僕を体ごと包むように抱き寄せ、そのたびに僕は先生の逞しく柔らかい腕や胸におぼれかけた。「そろそろ、時間ね。」先生が言った。規則でプール使用は一人一日一時間となっていた。結局、40分ほど先生に指導され、くたくただった。帰り道、三人は不機嫌だった。「佐野先生のあれ、絶対わざとだよね」長谷川が言った「絶対そうだよ 佐野って変態じゃん」と米山 「ポチちゃん 何とも思わなかったの」八木は真面目な顔で僕に聞いた「・・・あ、あれって 何ですか?」三人は怒っているのか呆れているのか分からない顔をした。「佐野先生、水泳教えてた時、ポチちゃんのこと何度も抱きしめたでしょ?気がついてないの?あれ、わざとやってたんだよ。絶対そうだよ。」八木は興奮して早口になった「ポチちゃん、子供だからママに甘えてたみたいな感じ?」長谷川は逆に落ち着いていた。「でも、先生は大人でしょ。何で子供の僕にそんな・・・」米山が「そういう教師って結構いるんだって。知らないの?」 何と言っていいか分からなかったが「気をつけます」と言った僕を八木が「ポチちゃんが悪いんじゃないけど、佐野先生には近寄らない方がいいよ」とフォローしてくれた。「ポチちゃん、また学校のプールに行くの?」米山も心配そうだ。「クロール上手になりたいから、行こうと思ってたんですが」ちょっと考えてた長谷川が「佐野先生が来ない日なら大丈夫。さっき監視員の当番表見ちゃったから」「やるじゃん 長谷川」八木がはしゃいだ「それ 教えて」プールにはいつも先生が2人いる。一人は監視員 もう一人は生徒に水泳の指導をする係だ。それから3日後の午後、僕は一人でプールに出かけた。この日は佐野先生はプール当番ではないはずだった。しかし、プールには水泳指導をしている佐野先生の姿があった。佐野先生は僕の姿を見つけると、ウインクし、「谷脇くん、熱心ね」と声をかけてきた。「この子たちの指導が終わったら教えてあげるからね。」一人で練習していた僕の目の前に佐野先生が現れたのは、30分後だった。笑顔で「谷脇君、熱心ね。男の子でも、女子と同じように元気にスポーツするのは良いことよ。」実際、プールで男子を見かけることはほとんど無かった。「先生、毎日プールに来るんですか?」「毎日じゃないけどね、今日は当番の三浦先生に交替してほしいって頼まれたの。」そういうわけで30分間みっちりとクロールの基礎を個人指導された。たびたび「よーし 上手いぞ」と抱きしめられたり、正面から目を覗き込まれながら、頭をなでなでされたりした。持ち時間の一時間が終え、僕はプールから上がり、更衣室に向かった。「あ!ポチ先輩!」4人組の女子だ。そのうち2人は集団登校班で一緒の一年下の内山と熊谷だ。「あ、こんにちは」苦手な相手だ。この二人は初めて会った時から、隙あらば僕をいじろうとしてくるのだ。そのたびに長谷川が止めるのだが、今日は長谷川はいない。「一人ですか?一緒に泳ぎませんか?」「いや、僕は帰るところだから」そそくさと更衣室に逃げ込んだ。男子更衣室を使っているのは僕だけのようだった。その一人きりの更衣室のドアが開けられ、内山、熊谷とその他2人が入ってきた。四人はお気に入りの玩具を見つけた風情で僕に笑いかけると「ポチ先輩、お着換え 手伝ってあげます。」着替えを終えて帰るところだった僕は熊谷に腕をつかまれて、女子更衣室に連れ込まれた。「やめてください もう帰るんですから」抵抗もむなしくあっさりと抑え込まれてしまった。「はじめまして 5年2組の斎藤です」「菅原です」 内山は僕を見下ろし、「ポチ先輩って5年生の間でも人気なんですよ」「そう、ペットにしたい男子ナンバーワンなんですから」と熊谷が続けた。 内山が「長谷川先輩、ずるいよね。いつもポチ先輩を一人占めにして」「今日はいい機会だから先輩をカイボウしようって」斎藤という見慣れない子が、僕の両腕を頭上で広げて押さえつけながら言った。言い出したのはこの子か。見るからに好奇心旺盛な顔つきだ。「まず 靴と靴下からね」熊谷と内山は靴の横に揃えた靴下を置いた。「次はシャツね その次はズボン そして次はいよいよ」その時女子更衣室のドアが開けられ、「こら!何してるの!」佐野先生が入ってきた。パンツ一丁で押さえつけられてる男子と押さえつけている女子4人。誰の目にも状況は明らかだ。「あなたたち4人 今日はプール使用禁止よ。職員室に来なさい」職員室で佐野先生のお説教を受けた四人は意気消沈した顔で出てきた。自分たちが僕にしようとしたことが「性的ないじめ」であると認めたのだ。佐野先生は4人を僕に謝らせた。4人が帰った後、先生と話をした。「谷脇君は長谷川、八木、米山さんたちと仲がいいわよね。」「はい」「3人からもいたずらされてるの?」「いえ・・・そんなことは」「嘘ついても 先生にはわかるのよ。夏休み前 土曜日に女子トイレに4人で居たでしょう。何してたの?」あの時、先生は気づいてたのだ。「言わなくてもだいたいわかるけどね。こういうこと前にもあったし。」僕は何も言えなかった。先生は知っているのだ。「あの3人から 無理やり変なことされてるなら先生に言いなさい。」「それは違います。無理やりされているんじゃないです。あの3人は・・・」後が続かなかった。先生は僕を抱き寄せ、強く抱きしめ、耳元でささやいた。「困ったことがあったら 先生に相談しなさい。いいわね。」先生の髪からプールの消毒の匂いがした。
長谷川の家に八木、米山に加えて鈴木、そして僕が集まったのはその3日後だった。自由研究の相談をするためだった。「警察の仕事の話を聞きに行こうと思うの」鈴木が始めた。「うちの母さん、警察官だから交番のお巡りさんに話を通してくれるって。」というわけで僕たち5人は学校の近くの交番を訪ねた。応対してくれたのは二人の若い警察官だった。優しい顔だちの美人だが、体つきは逞しい。「いらっしゃい。可愛い男の子も一緒なのね。君、お名前は?」「谷脇といいます」警官と話すのは初めてだった。「昔は警察官は男性が多かったらしいんだけどね。今はほとんど女性なのよ。」山田巡査長という人が僕らに麦茶をすすめつつ言った。話し好き、子供好きな人のようで、警察官の日常の仕事、また過去に重大事件が起こった時のことなど色々話してくれた。「あの、警察の人は武道を練習するんですよね?」八木が聞いた。「ええ、剣道と柔道は必須よ。そのほかレスリング、合気道、ボクシングクラブなんかも本署にはあるわよ。」「レスリングもあるんですか?わたしレスリングやってるんです。」「それじゃあ 本署のレスリングクラブに顔を出してみる?」というわけで、僕ら5人はその3日後警察署の格技場を訪問した。八木、鈴木はレスリングクラブに、長谷川、米山、僕の3人は柔道場に行った。その日は警察官以外も参加できる柔道教室が開かれる日だった。山田巡査長さんは更衣室で僕を子供用の柔道着に着替えさせてくれた「さあ、準備運動からね。」準備運動、受け身さらに投げ技の見本を見せてくれた。「寝技を教えてあげる。谷脇くん」「はい」「そこに仰向けになりなさい」指示に従った僕の袖をつかみ、抑え込んだ。子供の僕が怪我しないように優しくだが、全く動かせなかった。「これが上四方固めね。次は袈裟固めよ」山田巡査長の胸が僕の顔に押し付けられ窒息しそうになった。さらに横四方固めと進んだ。「わたしたちも やりたいです」長谷川、米山が言った。「あなたたち、体格が同じくらいだからちょうどいいわね」二人は僕と寝技の掛け合いをしたかったようだが、山田さんは許さなかった。体格差がありすぎて怪我をさせそうだというのだ。「谷脇君、逃げてみなさい。乱暴されちゃうわよ」髪を後ろでまとめ、口紅を塗った真っ赤な唇の山田さんの顔が、もがく僕の顔を見下ろしている。山田さんは僕をいろいろな形で抑え込んだ。年下の女子4人にプールの女子更衣室で抑え込まれたことを思い出し、必死に抵抗したが、大人で柔道熟練者の山田さんはびくともしない。山田さんは胸元に僕の顔を押し付けた。大人の女性の体臭に頭がくらくらした。さらに、Tシャツをまくり上げ僕の顔を中に押し込んだ。山田さんが柔道着の下に着ていたTシャツは胸の下までしか丈がないタンクトップだった。柔らかな感触が顔を包み、気が遠くなりかけた。山田さんはいったん僕に息継ぎさせてくれたが、さらに逞しいわきの下で僕の鼻と口を塞いだ・・・気がつくと僕たち3人は正座して山田さんに「ありがとうございました」と挨拶をしていた。僕の着替えを手伝ってくれながら、山田さんは「谷脇君、ちょっとやりすぎちゃったわ。ごめんなさいね」「いえ・・・」「よかったら またいらしゃい。」頭がクラクラしていた僕は「ありがとうございました」というのが精いっぱいだった。
8月の後半は図書館で本を読んだり、長谷川たちと夏祭りに行ったりで、夏休みも残りわずかとなった。8月最後の土曜日 長谷川たちと公園で花火をした。小学生だけでは危ないので、八木の姉が加わった。八木の姉は県外の全寮制の高校に通う高校1年だ。「初めまして 谷脇君 わたしは八木さゆり 香の姉よ」「初めまして 谷脇真一です」さゆりさんは八木香とよく似たきれいな目の美人だった。体も大きい。妹と同じくレスリングの選手なのだそうだ。花火をしながら、さゆりさんと話をした。「あの子、谷脇君のこと しょっちゅう話してるのよ。」(・・・)「あの子とキスしたの?したのよね。あいつから聞いたわ」「はい しました」「あいつのこと 好きなの?」「はい・・・」「谷脇君 よくわからないかな まだ子供だしね」4歳年上のさゆりさんは何でも分かっているようだ。「よく分かりません けど」「何?」「僕は中学生になっても八木さん、長谷川さん、米山さんと一緒にいたいです。」僕が言えるのはそれだけだった。さゆりさんは笑いながら「谷脇君はまだ あの子たちをお友達としか思ってないんだね」と言った。そう、僕はこの3人といつまでも楽しく過ごしていけると思っていた。「ポチちゃん お姉さんに甘えてる」米山の声だ。「ポチちゃん こっちに来なさい」八木が呼んだ。「はい 今すぐ行きます」花火を手に3人は僕をちょっとにらんだ。「ポチちゃん 最近年上の人に可愛がられ過ぎじゃない?」長谷川「そうだよね この間の警察の山田さん、その前の佐野先生 今度は八木のお姉さん」米山「ポチちゃんに誰が飼い主か 教えてあげようか?」僕の傍に立って八木が言った。「・・・すみません そんなつもりでは」僕は弁解になってない弁解をした。八木は笑って僕を見下ろしながら「別に怒ってるんじゃないから 安心して」と言って僕の頭を撫ぜた「来週から 2学期だし その時の楽しみにしようか」打ち上げ花火を3連発してこの日の夜は解散した。
新学期が始まり、学校は10月の運動会の準備モードに入った。「10月15日の日曜日 運動会です。」佐野先生は黒板に種目を書き出した。僕が運動会で苦手なのはフォークダンスだ。1年生から5年生まで振付を覚えられたことがないのだ。去年もクラスで一番下手だったと言われ3人組にお仕置きされたのだ。二学期最初の体育の授業でフォークダンスを練習したが、やはり僕は目立って下手だった。「放課後練習ね」そういうわけで放課後、3人組に連れられて体育館に行った。3人は交替でダンスのパートナーを務めてくれた。4時になり長谷川と米山はそれぞれスポーツの教室があるので帰った。八木と僕はその後30分ほどダンスを続けた。「ポチちゃん 疲れた?」くたくただった。八木もかなり汗をかいていた。ホットパンツとタンクトップの八木の体が僕には直視できないほど眩しく見えた。汗で体に張り付いたタンクトップから突き出した日焼けした腕、長い脚ー僕はいつの間にか性を意識するようになっていたのだ。「もう一回だけ踊って、終わりにしよう」八木のリードで手をつないでくっついたり 離れたり 手を叩いたり クルクル回ったり
その時 僕の足がもつれ転びかけた ところを八木が抱きとめてくれた。「ポチちゃん、大丈夫?」「大丈夫です すみません」「こっちこそ 無理させてごめんね もう帰ろう」八木は僕の両ひざの裏から片腕を回すと僕をヒョイと持ち上げた。「大丈夫ですよ 歩けますから」「いいから 大人しくして」八木は僕を軽々と体育館の外に運んだ。体格は僕より2回り大きくレスリングをやってる八木と僕とでは力の差は歴然としていた。体育倉庫に僕を運び込み、積んであるマットに座らせた。「本当に大丈夫?」「大丈夫です。」八木は僕を抱き寄せ、持ってきていた水筒からスポーツドリンクを口に含んだ。そして僕の口を開かせると口移しで飲ませた。「おいしい?」(・・・)「もう一回ね」再び八木の顔が迫り、汗と唾液の匂いと一緒に口移しでスポーツドリンクを飲ませられた。さらに舌が侵入してきた。強い力で抱きすくめられ、口を吸われ、僕は勃起していた。八木は僕を抱き寄せるとマットに寝かせ、自分も横になった。母親が子供に添い寝するように。「胸、触ってみる?」僕の手を握って言った。「まだ あんまり膨らんでないけどさ ブラジャーつけてるんだ」恐る恐る八木のTシャツの胸の辺りに手を伸ばした。「もっと強く 触っていいよ」軽く触れた程度だったが、確かに膨らみを感じた。「弱虫ポチちゃん!このくらい強くよ」八木は僕のTシャツに右手を入れ僕の平べったい胸を強くもんだ。(あ・・・)何だか気持ちよかった。八木の左手は僕の脇腹を優しくまさぐっていた。「気持ちいいんだ やっぱり姉貴が言ってた通りなんだ」「ポチちゃん ダンスしてる時、あたしの体見てたでしょ」「すいません。悪気は無いんです」「いいのよ ポチちゃんも 来年は中学生なんだし 当たり前のことよ」見抜いていたのだ。先生だけじゃない八木も。「帰りましょ」見回りの先生が来る時間だった。次の日の放課後もダンスの練習をした。「中学に行っても 私たち一緒に居たいね」長谷川が言った。僕はそれが当たり前だと思っていた。4人とも同じ地区に住んでるのだから、同じ公立中学に進学するんだ と信じて疑わなかった。
運動会の当日 僕は短距離走に出場し、一番になった。フォークダンスでは練習のかいあってパートナーの女子のリードに上手く合わせて踊れた。
中学校でも4人は一緒だ そんな期待が幻想だと知ったのは11月のある土曜日の午後のことだった。長谷川の部屋に招かれた僕は3人から小学校卒業後のことを聞かされた。八木と米山は県外にある全寮制の中高一貫校に進学するという この学校はスポーツの名門校で、八木はレスリング部、米山はバレーボール部から勧誘されたらしい。長谷川は親御さんの仕事の都合で遠い〇〇県に引っ越すという。突然の発表に僕は言葉がなかった。米山と八木が「夏休みとかには帰れるから」「帰ったときに遊ぼうね」などと言ってたようだが、まともな返事もできなかった。長谷川は「手紙出すから」とだけ言って、寂しそうに眼を逸らせた。
その日からしばらく3人とはギクシャクした感じだった。
11月の風が冷たい放課後、僕は鉄棒の練習をしていた。米山に教えてもらった「蹴上がり」ができるようになりたかったのだ。男子の友達2人と一緒だった。長谷川たちは居ない。そこに女子4人がやって来た。集団登校で一緒の内山と熊谷、その友達の斎藤、菅原だった。この4人は夏休み中に学校プールの更衣室で僕に乱暴しようとしたのだ。彼女達のいる5年2組の女子の間で「6年生男子狩り」が流行っているらしく、この4人組は特に恐れられていた。4人を刺激してしまうのが怖くて僕ら3人は逃げることもできなかった。蛇ににらまれた蛙みたいに。「ポチ先輩 こんにちは」「鉄棒の練習ですか?わたし得意ですよ 教えてあげましょうか」内山と熊谷は体操の教室に通っているらしい。熊谷が高鉄棒で蹴上がりからクルクル回り始めた。僕とはレベルが全然違う。(すごいな)感心していた僕に「ポチ先輩 熊谷のパンツ見てる」いたずらな顔で内山が突然言った。確かに熊谷は短めのスカートだったが、「見てないですよ」「先輩、やらし―」「お手本見せてるのにいやらしい目で見るなんて」「この人たちも見てました 間違いないです」僕のクラスメイト2人もオロオロしている。「お仕置きだね」「先輩たちの教育のためにもビシッとね」「ごめんなさい。勘弁してください」詰め寄られて反射的に謝ってしまった。「認めましたね やっぱり 見てたんだ 」彼女らは僕ら六年生男子3人の首根っこをつかみ、砂場で正座させた。「反省してますか?」「はい・・・」許してもらいたい一心で僕らは頭を低く下げた。「どうする?」「まずは電気あんまね」僕らを仰向けに押し倒すと両足をつかんで足を開かせ、足(靴は脱いでいた)を股間にあてがい、電気あんまを始めた。「ほら、ぐりぐりぐり」痛さと快感に声を上げそうになった僕の口に熊谷が脱いだ靴下を押し込んだ。「飲み込んだらダメですよ。窒息しちゃうから」内山、菅原、斎藤の3人が電気あんまで盛り上がっている時、熊谷は仰向けの僕の顔をまたぎ、スカートを持ちあげ「ポチ先輩 見えますか?」白いパンティーがはっきり見えた。熊谷は僕の両方のこめかみを両膝で挟むようにして腰を下ろした。上から僕の顔を見下ろし「可愛い」熊谷はスカートで僕の顔を包んだ。さらに僕のわきの下や脇腹をくすぐってきた。「聞きましたよ 長谷川先輩たち3人とも県外に行っちゃうって」「来年春からはあたしたちがポチ先輩の飼い主ですからね。」「先輩は中学でもすぐに飼い主ができそうですけど、この町では私たちが飼い主です。」「先輩の家も知ってますし、逃がしませんよ」彼女らは口々に言った。電気あんまの後は太もも絞めだ。すらりと伸びた足で首を絞められ、苦しむ顔を彼女たちは楽し気に覗き込んできた。さらに砂場に仰向けになった僕ら3人をお尻で順番に押しつぶした。「今日のところはこのくらいにしておきましょうか」「先輩たち卒業しても、ずっと可愛がってあげますから 覚悟してくださいね」僕は小学校卒業後が予想できた気がした。この学校に転校してきて一年、小学生離れした体格体力、そして優しさを持つ長谷川、米山、八木に甘やかされていたのだ。中学に行ったら彼女たちは居ない。代わってどんな女子が待っているのか。内山たちは卒業後も僕を逃がさないといっている。逃げ場はどこにもないようだ。
「バスケット教えてあげるよ。」12月のある日の昼休み 長谷川たち3人は校庭のバスケットコートにぼくを連れていった。「ドリブルシュートを教えるわ」学校のバスケットバールチームの主力である長谷川はもちろん、米山、八木も難なくできた。僕はかなりてこずりそうだ。手と足の動きがかみ合わない。初日はほとんど進歩なしだ。「これから 毎日練習よ」教室に戻る途中、「ポチちゃん、一緒に中学に行けなくてごめんね」僕の肩に手を回しながら長谷川 米山、八木も「ごめん」「ごめん」鼻の奥がツーンとしたが、笑顔を作って「しょうがないですよ 僕もすごく残念だけど そう思ってくれるだけでも」それ以上は言えなかった。長谷川が僕に覆いかぶさるようにして唇で僕の口をふさいだのだ。米山と八木も同じようにした。
楽しい日々は着実に残り日数を減らしていった。ドリブルシュートが身につき、蹴上がりもできるようになったころ、卒業式まで数日を残すのみとなった。長谷川一家は卒業式の次の日に他県に引っ越すことになっている。米山と八木も春休み中に中学の寮に入るという。この日僕たちは長谷川の家に集まった。長谷川家のお別れパーティーだ。長谷川のご両親も忙しい中、手料理でもてなしてくれた。米山、八木、僕に加え、鈴木も来た。もっと呼びたかったのだろうが、家が引っ越し準備で散らかってるので、少人数にとどめたのだ。「みんなありがとう。」しゃくりあげながら長谷川が声を絞り出した。下を向いて泣き顔を見られまいとしていた。つられて僕も涙目になった。米山たちも涙を懸命に抑えていた。鈴木は僕と同じ地元の公立中学に進学するそうだ。鈴木にも八木と同じく名門校のレスリング部から誘いがあったが、断ったらしい。鈴木の両親が賛成しなかったそうだ。「公立中学にもレスリング部はあるし。ポチちゃんとも一緒に居られるし ポチちゃん 中学ではあたしが守ってあげる」「心配してくれてありがとうございます。」「あたしの友達もみんなポチちゃんの味方だから ポチちゃんに変なことするやつは許さない 女でも男でも教師でもね」鈴木の強い言葉に少し驚いた様子だったが、「鈴木、ポチちゃんのこと頼んだよ」八木は鈴木の手に自分の右手を重ねて言った。「でも、でも あんたこそポチちゃんに変なことするんじゃないわよ 中学生になるからって」米山は身を乗り出した。「えー何のこと?わかんなーい」鈴木がとぼけた それがおかしかったので、長谷川が吹き出し、湿っぽい空気が一掃された。「僕も頑張ります。運動も勉強も」泣き笑いしながら僕に言えたのはこれぐらいだった。
卒業式の日がやって来た。僕は泣かないように下唇を噛みしめていた。5年生の夏休み前 学校を転出した時には悲しくも寂しくもなかった。別れを惜しむ友達もほとんどいなかったのだ。クラスの番長だった女の子とその友達3人だけは握手して「元気でね」と言ってくれた。僕は4年生から5年生の夏休み前まで毎日のようにこの子達に弄ばれてたのだが。今は長谷川達3人と離れ離れになる悲しさと寂しさで押しつぶされて背中が曲がりそうな気分だった。先行きが不安だったのも確かだ。中学に行ったらどんな生活が待っているのか。小学校の延長で女子の玩具にされるのはほぼ確実だ。卒業間近になって六年男子への同学年、下級生からのイジリが酷くなったのも僕の不安をあおった。式が終わって教室に帰り、担任の佐野先生が、長谷川、米山、八木がこの町を離れることをみんなに告げ(みんなとっくに知っていたのだが)「3人に応援の拍手よ」3人とも晴れ晴れとした顔だった。僕も泣いたりするのは恥ずかしいと思い直し、力一杯手を叩いた。「未練がましい男、メソメソしてる男は嫌われるぞ」落ち込んでいた僕に母と父が言った言葉だ。「向こうで落ち着いたら手紙書くから」「ポチちゃんも鈴木も頑張ってね」「夏休みには帰るから」僕も精いっぱいの笑顔を作って3人に手を振った。「きっと また 会おうね」