今生での実家のトワール
「ただいまかえりまちた」
「おかえりなさい。トワール」
地球から実家の男爵邸に帰ると…… お腹が大きくなったお母様が迎えてくれた。
「おかちゃま! だいじょうぶなの?」
「大丈夫よ。少しは身体を動かさないと弱ってしまうわ」
もうすぐトワールに妹か弟が生まれるので、邸内で過ごす男爵夫人のお母様の代わりにと、トワールと兄のハルトラインが領内の行事に参加していたのだが……
この前の襲撃から、トワールは行事に不参加になっていた。
「あなたとカナタが用意してくれる物が良くて、とっても助かっているわ」
地球で出産や育児に必要な物を調べては、此方で確率を操作して原料を見付け、カナタに製作して貰うを繰り返していたので……
男爵邸には、地球の様な現代的な品々が用意されていた。
「後は、私が無事に産むだけね」
優しくお腹を撫でるお母様の横には、昔からの侍女とカナタによく似た二人の侍女がいる。
カナタの生命型端末の2号の【ニナ】と3号の【ミナ】だ。
カナタの双子の妹として、私の家族と男爵邸を護る為に侍女をしている。
事故と病気の確率を0にしているし、確率を操作で100%安産にしているけど…… 育児は、大変な事を前世から知っているからね。
「この前のヨーグルト?と果物は、美味しかったわ…… まだ食べたいのだけど、頼めるかしら?」
日本から持ち込んだ食べ物は、お母様や邸の人達に好評なので……
カナタと、環境破壊にならない程度に生産できる様に試している。
空間魔力の問題で、地球産の植物が魔物化したりするんだよ……
この前なんか…… スイカの苗が魔物化して、蔦が触手になって襲われたし……
びっくりして、咄嗟に私の目から謎のビームが出て焼いたんだけど……
あのビームって、杖や手で放つむづい魔法だったみたいで、お母様をかなり驚かせて大変だった。
それからは、確率を操作してカナタの本体の宇宙船で品種改良してから、緑竜様に確認してもらって安全管理している。
開拓地の村と大森林内にある隠されたエルフ小国で栽培してもらっているけど、なかなかに評判が高くて辺境の特産になりそう。
「あとで、おんしゅつからフルーツをもってくるね♪」
地球の技術を吸収したカナタの技術教養で、山岳地帯の地下ドワーフ国と技術革新で協力したので、ガラスや金属の精錬加工技術の向上で辺境のガラスと金属の値段が安定して、安全な温室が作れる様になったから南国フルーツの栽培も始めている。
その関係で、お父様が辺境伯様に呼ばれたりしているらしい……
辺境の特産にしたいから、辺境伯家に技術教養して欲しいってね。
協力しているエルフとドワーフの国と男爵家には、辺境伯家から予算と売上金の一部が支払われるらしいよ。
「そう言えば…… トワール、辺境伯様達が視察に来たいらしいわ」
なんですと!? よし…… ニナとミナに任せて、地球に行こう。